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いざ探索へ!

ジャガイモの収穫をしてから、食料が完全に安定した。納屋の横に、地面を掘った食料保存庫も作り、そこには、野菜を置いておくことにした。中は二重壁にして、少しだけひんやりとしている。ハジメは、ドナルドとジャガイモの残量を確認して、壁の木材に書き込んだ。

「これだけあれば、夏の間は大丈夫そうですね。」

「はい、この品種は日持ちもよいので、このくらいの温度なら、平気でもちますよ。」

ジャガイモは大量にあるが、今の調子で食べ続けると、秋までは食べきりそうだ。村には、先日さらに二人の入植者が増えたので、これからまた消費量も増えそうだ。

「今度はいつくらいに植えはじめますか?」

「夏の暑さが落ち着いてから、なんて祖父はよく言ってましたが、9月末には植え始めましょう。」

「また大仕事になりますね!」

(ジャガイモがあるから、しばらく行商人さんからパンを買わなくていいな。そうなるとやっと……)


村の設備も安定してきたので、昼食のときに、全員にこれからの方針を伝えた。

「みんな、聞いてほしい。」

広い食事場の20人弱がハジメの声に耳を傾ける。

「ジャガイモが収穫できたことで、バルヴェニの食料事情はずっと安定しました。中心となってもらったドナルドさんとラリーさん、ありがとうございました。」

「いえいえ、そんな。」

ドナルドとラリーはペコリと頭を下げた。

「そのため、我々の新たな目標を提案します。」

「新な目標…」

「1つは、これが1番なんですが、家畜の獲得です。」

「お!いいな!肉が食い放題になる」

「今は羊と馬がいいと思ってますが、どうでしょう」

「羊は肉、乳、毛と無駄がないですからね。」

「羊の毛でベッドつくろう!」

ヒューゴは目を輝かせている。

「馬はどうしてですか?食用には向きませんが……」

クロエは不思議そうだ。

「うん、馬は運搬と遠征用にしようかと思って。」

「馬がいれば活動範囲はかなり広がりますわね。」

「それでも最悪食えるしな。」

「ただ、どちらもお金がかかりますね。野生のを捕まえるって手もありますが。」

「捕まえる……それは知識はないので、ちょっと分かりませんが、買う方に

は、考えがあって、それがまた別の目標です。」

「ほう、と言うと?」

「はい、買うためには資金がいります。しばらくはパンを買わなくてもいいので、その分を節約しながら、売り物も増やしてお金を稼ぎます!」

「もっと骨の飾りを作るんですか?」

「いや、鉄製品を製作してもらおうとおもっているんです。」

「鉄!?」

「よっし!やっと俺の出番か!」

ダネルは立ち上がり、歓喜する。

「溶鉱炉はもう作っててもらっていて、石炭は‐」

「俺の魔法で、少しあればどうにかなるぞ!」

ダネルは息巻く。

「とのことなので、まずは鉄鉱石を探すのがメインになりそうです。」

「結構、村の外での活動が多くなりそうですね。」

「はい、我々、これまでとはまた違った、次の段階に入ることになります!」

「おおー!」

昼食会場な緩やかな興奮に包まれた。


こうして、ハジメたちはいくつかの班に分かれて活動しはじめた。探索班は3人一組で、周辺の小山まで行き、鉄鉱石を探す。それらしき鉱物を見つけたら、地図(手書き)に記し、持ち帰る。防衛班は、村と子供を守りながら、食事の準備をして待つ。さらに、今後を見越して荷車を作る。車輪の作り方はダネルとドナルドが頭をひねり、どうにかなりそうだった。

探索開始から3日目には、アイザックとデュアンとバーバラの班が石炭を見つけた。それなりの量があるし、少し険しい道を通るが、距離的にはそれほど遠くもなかった。

しかし、鉄鉱石は一向に見つからなかった。来る日も来る日も空振りで、村から4㎞ほどの範囲にある目ぼしい場所はことごとくはずれだった。

時間が過ぎていくなかでも、小さな喜びや驚きはあった。

「ほら!こんなに採れたよ!」

ヒューゴはミゲルと一緒にかごいっぱいのスピナッチをハジメに見せた。

葉物野菜は数日おきに種を植えたので、これからしばらくは毎日、野菜を食べることができる。それにニンジンだって、もう収穫できる。

「やっと、まともな食事になりますわね!」

バーバラは嬉しそうに料理をする。たんぱく質、ビタミン、炭水化物が安定して取れることで、バルヴェニの人々の健康度は一段よくなった。比喩ではなく、鑑定魔法で見て、分かるのだ。「健康な食事」で疲労度の回復が早くなっている。

また、弓の練習をしていたクロエに興味をもったパロマがたわむれで弓を撃ってみると

「ね、ねぇ……なんでこんなによく当たるの?」

クロエは顔を白くするほど、パロマの腕前はよかった。畑をまたいだ、80m弱ほど先の的にパロマは外すことなく当てるのだ。驚くべきは、その日が初めて弓を触ったのだと言うことだ。

「弓の腕前だけならすぐに王都の警備兵になれるだろう。」

ブレイクのお墨付きなのだから、よっぽどだ。

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