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いつもの悪酔い

「…うーん…あぁもう…はぅ…あぁぅう…」

「…リト姉ちゃん」

「全くリトめ、酒を呑むというなら私を呼べば良いのに」

「そ、そこですか？」

「リトさん、全くここは他国の城内なんですよ？

　そんながっつり飲んで、状況分かってるんですか？」

「んぁー？」

あ、凄く酔ってるように見える。最近はあまり飲まなかったのに

やっぱり精神的に結構厳しかったのかも知れない。

「あぁもぅ、エルちゃ～ん、リズちゃ～ん！」

「うわ！」

フラフラと私達の方に近付いてきたと思ったら

唐突に私達２人に抱きついてきた。

「ど、どうしたのリト姉ちゃん！　後お酒臭いよ！？」

「うぅ～、私は今…凄く落ち込んでるの

　だから～、私を妹パワ～で、慰めてぇ～」

「リトさん、全くあなたは本当に…被害が出たというのに

　何故そんなにものんきにお酒なんか…」

「被害が出たから酒を呑むんだ、辛いからな。

　酒は辛い時にだって飲むだろ？

　私は楽しいときに飲みたいと思うがな」

「私はお酒はあまり呑まないんで、分かりませんね」

「エルフの雫をがっつり飲んでたのによく言うな」

「あ、あれは名酒中の名酒ですし、１度は飲みたいと…

　た、確かに口当たりは素晴らしく、とても飲みやすいお酒でした。

　飲み易すぎて、飲み過ぎちゃいましたが…気付いたら酔ってた…」

そこまで言ってるのを聞くと、何だか飲んでみたい気がするけど

でも、私達はまだ未成年だから飲めないんだよね、先の事を考えると。

「お酒を呑むのは私達出来ないからさ、リト姉ちゃん。

　えっと、どうしようかなぁ…慰めると言ってもなぁ…」

「おや、皆様お揃いで…と、おや？　リスデット殿

　何故お二人に抱きついておられるのですか？　後、お顔が」

「リリアン姫様！？　な、何故こちらに！？」

「いえ、皆様の様子を確認しようと思いまして。

　そして…おや、お酒ですの？　申し訳ありませんわ

　今すぐ城の者に伝え、最高のお酒を出させますわね」

「えぇ！？　い、いや、あのお酒はその…」

「しかしどうしましょう。リズ様とエル様は未成年。

　お酒を呑まれては健康に支障を来してしまいますわ。

　申し訳ありません、お２人には特性のジュースを用意させますの」

「うむ、なら兵士達も招待して欲しいんだ、その方が賑やかで良いだろう？

　折角戦いに勝ったんだ、どうせやるなら兵士も集めて盛大にしたい」

「それもそうですわね！　では、兵士の皆様にもお声をおかけしますわ！」

そう言って、リリアン姫はすぐに私達にお辞儀をして何処かへ走っていった。

「…ミザリー、私はお酒を飲みに行くぞ」

「ミリアさんまで…何言ってるんですかもう、お国の兵士さんまで呼べって…

　今、ロッキード王国はそんな事が出来る状態じゃありませんよ？」

「勝利したんだ、多少は褒美を貰っても良いだろう。

　これは前借りという感じだ、本番は復興が終わった後だな」

「それでも緊張した場面だというのに…はぁ、まぁ良いでしょう」

「それは良かった、では行こうか」

「まだまだ飲むわよぉ～」

「…あまり飲み過ぎないでくださいね…リトさん…」

そんな事を言っても、兵士達だって騒ぎたかったんだろうね。

宴会という形になって、兵士達もがぶがぶお酒を呑んで

当然、ミリアさんもリトさんも沢山お酒を呑んだ。

「うぅ…飲み過ぎたぁ！」

「もうリト姉ちゃん飲み過ぎだって…」

「うぅ…後5杯…」

「ミリアさん、もうベロンベロンじゃないですか」

「くぅ…ちょ、ちょっと飲むだけだったはずなのに…」

「……ミザリーさんも結局飲んじゃって…それで良いんですか？」

はぁ、結局ミザリーさんも飲んでベロンベロンに酔っ払った。

やっぱりこう、お酒って言うのは人を惹き付ける魔力があるのかな？

リトさんもミリアさんもミザリーさんまで負けちゃう誘惑って。

……いや、2人は負けるどころか対抗しようともしてなかった。

「はい、お部屋にっと…」

私達は2人で手分けをして、3人を部屋に連れて行った。

私はミリアさんとミザリーさんの2人を連れて行った。

けど、どうかな…何故かリズちゃんが帰ってこない。

「はい、ミザリーさんお休みなさい」

「うぅ…頭が…世界が回ります…」

「ゆっくり寝てくださいね？」

そう言い残して、私は部屋から出る。

でも、リズちゃんの姿が無い。

うーん、とりあえずリトさんの部屋に行ってみようかな。

「あ、エルちゃん…えへへ、その…助けて欲しいなぁ…」

リトさんの部屋に入ると、最初に目に入ったのは

ベットで思いっきり抱きしめられてるリズちゃんの姿だった。

リトさん、結構リズちゃんの事、お気に入りなのかも知れない。

酔ったときは結構リズちゃんを抱きしめてるもんね。

「また抱きしめられてたんだね、リズちゃん…」

「うん、連れて行って寝かせようと思ったら捕まっちゃった。

　リト姉ちゃん、力強いから抵抗できないんだよね…

　だから、助けて欲しいなぁと」

「私の力でリトさんの力に勝てるわけ無いじゃん…」

「そ、それは分かるんだけど、2人なら可能性あるし！」

「そ、そうだね」

まぁ無理だとは思うけど、私もリトさんの方に近寄って

一緒にリズちゃんを掴んでるリトさんの腕を剥がそうとする。

「っしょ、っしょ」

「うぅ、凄い力…」

「うぅ…あ！　やった！　何かいきなり軽くなって」

「へ？　はわぁ！」

うぅ、わ、私も捕まっちゃった…

「あ、ありゃ…い、一緒に捕まっちゃったね…」

「うぅ、苦しい…」

「リト姉ちゃん！　苦しいから離してよぉ！」

「うぃ～、リズちゃ～ん、エルちゃ～ん…ありがとうね～」

「うぇ？」

「うぅ…すぅ、すぅ…」

「え？　何のお礼？」

でも、結局リトさんはそれ以上は何も言わず、眠った。

私達も結局リトさんの力に勝つ事が出来ず、そのまま眠ることになった。

でも、やっぱり抱きしめられると…その…暖かい…かな、あはは。