魔法の改良
うん、しばらくゆっくりと休むって事になったけど
でも、私には確かな課題が、あの戦いで見えてた。
それはこのドレインフィールドの事だった。
何とかして、このドレンフィールドを改良して
色々な状況に対応出来るようにしないとね。
強力だけど、今はまだ限定的で柔軟性に欠ける。
あの時の戦いだってそうだよ。もっと上手く改良できていれば
操られてしまった彼女達を眠らせてあげる事が出来たんだ。
「うーんと」
ひとまず、ロッキード王が用意してくれた自室で練習した。
今回は同一部屋では無く、全員別々のお部屋になってる。
部屋は近いけど、完全な個室になって、少し新鮮な気分。
「指先だけ展開」
ちょっとした攻撃を吸収するならこれ位で良いかな?
でも、元々ドレインフィールドの発動速度は凄く速いし
規模を小さくした所で何か大きな事があるわけでも無い。
所詮は引き裂く形のドレンフィールドの下位互換でしか無いかな。
あれも指先でドレンフィールドを展開して、引掻くように打ち消すからね。
あれは即座に吸収できるから便利だよ。指先展開だとそんな感じなのかな。
「次は…うーん」
色々と試行錯誤をしてみて、どんな風に展開するかを考えてみる。
こう、網状にバッと展開して、相手を包み込むように発動させるのは?
この場合なら相手の強化魔法を簡単に打ち消せそうだし、便利かも?
こう、指先で編むように…ドレンフィールドを展開して、投げる!
……うーん、ちょっと難しいかな。じゃあ、指先で編むように展開して
今度は投げ綱みたいなのを私の手に取り付けて、投げる。
あ、上手く行ったかも? 投げたドレンフィールドが消えない。
ふんふん、意外と融通聞くかも知れないね、ドレンフィールド。
今度はこんな風に、壁と壁に投げ綱みたいに投げて、壁に引っ付けて離す。
あ、やっぱり消えちゃった…体に繋いでないと効果発動しないのかな?
やっぱり吸収した魔力を溜める何かが無いと消えちゃうのかも?
なら、今度は魔力を溜めれる魔法陣を展開してみて、壁に設置。
そこに投げ綱みたいに投げて、離して…あ、よかった消えてない。
でも、少ししたら消えちゃった。展開した魔法陣に溜めてあった
魔力が無くなっちゃったのかな? じゃあ、今度は供給してみて。
っと、同じ様に展開して、今度も投げ綱みたいに繋げて離す。
そして小規模の魔法を私が放って、魔力を送ると…
お、おぉ、消えない…なる程なる程、これは便利かもね。
「なる程なる程、これをこうすれば維持できるんだね」
なら、もしかしたら蜘蛛の糸みたいに展開できるかも知れない。
ちょっと練習してみようかな、使えたら便利かも知れないし。
そしてそうだなぁ、魔力を溜めた魔法陣をどうしようかな。
よっと、あ、魔法陣を消したら少し元気になった気がする。
あの魔力をため込む魔法陣を消せば溜めた魔力は私の元に来るみたい。
うんうん、これは非常に便利だよ、上手く活用したい。
「っととと、よし出来た!
ドレンフィールド・スパイダーネット…何てね」
うんうん、綺麗に出来たよ、これなら広範囲を守れそう。
ドレインフィールドを線みたいに展開するから
より広い範囲を守れる、完全に蜘蛛の糸って感じだよ。
これなら、広範囲攻撃を防いで被害を軽減できるかも。
でも、建物とかそう言うのが無いと展開できないかもなぁ。
この魔法陣を空中展開すると、より魔力の消耗が激しくなるしね。
「えっとー、次はどうしようかな。別の魔法でも研究しようかな。
ドレインフィールドはある程度出来たし、魔法魔法。
召喚系の魔法が良いかな、サモナーみたいな感じの。
まだこう言う召喚系の魔法はアシッド・スネークとか
ポイズン・スネーク位しか無いしね。強いけど使わないし。
今度は自分で考えて行動してくれる感じが良いかも?
この2つの蛇を強化して、自立行動する様にしたり?
うん、良いかも知れない。そうと決れば魔法陣の研究だよ。
えっとえっと、とりあえずどんな風に新しく組もうかな」
こんな風に魔法の研究をしていると、本当に楽しいと感じる。
凄く楽しい…これをこうして、こうやって、こんな感じにとか
イメージした通りの物が出来ていくってのはやっぱり楽しいよね。
何かを作ってるみたいな感じでとても楽しいよ。
これが最終的に仲間を助けたり、誰かを支える事が出来る。
そんな目的や結果に希望や期待が持てるから楽しい。
何だろう、今までは自身の身を守るために極めてたけど
今は仲間の為に…そんな風に思いだして、より研究が楽しくなった。
「ふんふふーん、ここを改良して~」
「…え、エルちゃーん」
「んー? あ、リズちゃん。どうしたの?」
「あ、いや、楽しそうだから、ちょっと話し掛けるタイミングが…」
「あはは、ご、ごめんね。こう言う魔法陣を改良してると楽しくて」
「そうなんだ、やっぱり私もそんな風に楽しまないと魔法が上手く」
「うーん、そうだね、楽しんだ方が上手くなるかも知れないよ。
それで、どうしたの? 私の部屋に来たって事は何かあったの?」
「ちょっとリト姉ちゃんのお部屋に行って遊ぼうと思ったんだよ。
リト姉ちゃん、ちょっと辛そうだったから少しでも気を休ませたいから」
「そうだね、あんな事があっても、やっぱり楽しく過ごす方が良いもんね」
「うん、だからミリア姉ちゃんにも声を掛けようと思ったんだー
でも、その前にやっぱりエルちゃんに話し掛けるのが気楽でさ」
「あはは、私達は同い年で友達同士だもんね」
「うん、それでエルちゃん、一緒に行こ?」
「うん、分かったよ」
魔法の研究も大事だけど、やっぱり仲間との交流も大事。
いざと言う時に気安く色々と言える関係が1番良いからね。
これから一緒の長い時間を過ごす仲間だもん。
仲良く過ごした方が、絶対に良いもんね。




