ロッキード王国の人々
ロッキード王国の国民達が避難した場所へ到着した。
避難する事しか出来なかったんだろうけど
ここに居る国民達は全員覇気のような物を感じた。
「姫様!」
「お待たせしましたわ、皆様」
私達が到着すると、すぐにリリアンさんに兵士達と
国民達が駆け寄ってきた。全員、やる気が凄い。
「ようやく…あ、あなた方が。あの時は本当にありがとうございます!
あなた方が来なければ、私達の家族は…」
「だ、誰も怪我とかしなかった?」
「はい、おかげさまで誰1人欠けることもなく…うぅ…」
私達の存在に気付いた国民や兵士達は
私達へ何度も何度もお礼をしてくれた。
誰も私達に何かしらの文句を言う人は居なかった。
きっと、私達の母国であれば、こんな事は無い…
「一緒に、戦ってくれるのですね、勇者様!」
「あ、一緒に戦うのは戦うけど、私達は勇者じゃないんだよ。
勇者候補ってだけで、勇者って言う訳じゃ」
「いえ! 私達からしてみれば、あなた方は勇者様です!
あなた方が来てくれなければ、私達はきっと」
「そ、そんな事無いよ、きっと兵士さん達が何とかしてくれたって」
「ですが、あなた方が来てくれなければ、もっと酷い被害が出ていました。
ですので、あなた方のお陰で、軽微な被害ですんだんです!」
「で、でも、国は制圧されちゃったし…」
「いえ、国は取り返せますから!」
「……」
国民の皆さんも兵士の皆さんも…全然堪えてるようには見えなかった。
まだ諦めてないし、その目には確かな覇気を感じた。
「そうだね、取り返せば良いだけだもんね! 死んじゃったら駄目だけど
国だけなら、取り返してもう1度頑張れば直せるもんね!」
「はい! その通りです!」
凄い活気だ…私達の国だったら、こんな事は無い。
これがロッキード王国…こんなにも力強いなんて。
「それでは姫様もご到着なされて
リスデット様と勇者候補の方々も到着。
国王様! 今こそ号令を! 我々に国を取り戻せと!」
「国王様!」
金色の鎧を纏った兵士の人が国王様に声を掛ける。
すると、豪勢な衣装に身を包んだ人が大きな馬車から姿を見せる。
「…我が国民の方々よ、土地を失った無能な王である、この私を
まだ王として崇めてくれて…誠に感謝する!」
「我々は国王様に救われてきた民です! どのような状況だとしても
我々は必ず国王様に付き従うと決めております!」
「ありがとう…私に付いてきてくれて。ひもじい思いをさせてしまっただろう。
宿も殆ど無く、屋外で眠るしかない民も…本当に申し訳無い。
だが! そんな生活も今日、終りを告げる! 我が娘である
リリアンが我々を救ってくれた、英雄を連れてきてくれたのだから!」
国王様の言葉で国民や兵士達の視線が私達の方に向いた。
少しだけビクッと反応してしまった…ちょっとバツが悪そうな表情を
私達は全員してるんだと思う…
「さぁ、こちらに来てくだされ、勇者の皆様!」
「うぇ? ま、マジで…その…」
「す、凄いプレッシャー…」
「ほ、ほら、お呼びですよ、行ってくださいよ」
「あ、あなたも来なさいよ…ほら」
「あ、いや、私はそんな目立つべき立場じゃ、あ、ちょっと!」
かなり嫌そうにしてたミザリーさんをリトさんが引っ張る。
私達もリトさんの後を追うように、一緒に進み国王様の隣に出た。
「彼女達のことは知っているな!?
ロッキード王国を守ってくれた英雄達だ!
彼女達のお陰で、我々は大きな被害を出さず助かることが出来た。
まだ恩を返すことも出来ていないというのに
再び我らのために共に戦って貰おうなど、おこがましいかも知れない。
しかし、我らが勝つには、彼女達の協力が必要なのだ!
リスデット殿、そして名も知らぬ勇者の皆様!
誠に申し訳ありませんが、今1度、我らに力を貸してくだされ!
必ずやご恩はお返します!」
「ロッキード王、頭をお上げください。我らは既に共に戦うと決めました。
あなたの愛娘である、リリアン姫に説得され、馳せ参じたのです。
既に共に戦う覚悟は出来ております。さぁ、共にロッキード王国を
あなた方の国家を取り返しましょう!」
「あ、ありがとうございます! リスデット殿!」
す、凄いなぁリトさん、動揺してないよ。
あまりこう言うのは慣れてないって言ってたのに…
「さぁ、共に進みましょう!」
「はい! よし、我らは今! 力強い味方を得た!
今こそ、我らが故郷を取り戻すとき!」
「うおぉぉお!」
「国民達よ、我らは必ず君達の故郷を取り戻す!
我らが勝利を祈り! 共に前を見てくれ!」
「いえ! 我々も共に戦います! 我らが故郷は自分達の手で!」
「ならぬ! 君達は国の宝なのだ!
君達を失えば土地を取り戻そうと無意味だ!」
「君達の故郷は、必ず我々が取り戻そう!
我らは兵士! 国の矛だ! そして君達を守る為の盾だ!
我々は必ず、我らが故郷を取り戻し! 吉報を持ち帰ろう!
だから、信じてくれ! 信じて、我々に託してくれ!」
金色の鎧を身に纏った兵士さんが国民の方々を説得した。
力強く、猛々しいその声は国民達の心を動かした。
共に戦いたいと言う国民達は彼の言葉を聞き、1歩引いた。
「し、しかし…私達の故郷を取り返す戦い…なら、私達も」
「君達は国の宝。故郷を取り返しても帰る物が居なければ
まるで意味が無い…故に待っていてくれ、我らの帰還を!
我らは誇り高きロッキード王国の兵士! 必ず戻るぞ!」
「はっ! 騎士団長!」
「では行こう! 我らが故郷を取り戻すのだ!
我らが英雄、勇者の皆様! 我らに力をお貸しください!」
「任せて! 私達は絶対にあなた達の国を奪い返すよ!」
「何と心強いお言葉。では、向いましょう!」
「はい!」
私達は全員覚悟を決めて、兵士の皆さんと共にロッキード王国へ向った。
取り戻すんだ、奪われた国を…私達の国じゃないけど
私達に助けを求めてくれたんだ、必ず応える!




