表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/142

大きな依頼

ロッキード国からの依頼が来てすぐの夜。

ミザリーさんがいつも通りの様子で部屋に入ってきた。


「ど、どうだった?」

「ふぅ…流石の大国も隣国の危機には動かざるおえません。

 よって、この依頼は予想を遙かに超える速度で承認されました」

「や、やったぁ!」

「まさか、国王様がリリアン姫を招待してまで話すとは予想外です。

 更にサンドラット王国の姫君まで隣席とは…

 いやまぁ、依頼の規模が規模ですからね、国の奪還作戦。

 まぁ、ざらにあると言えばありますがね…

 たまにドラゴンの襲来などもありますし」

「ドラゴン襲来とか…冗談じゃないって感じよね」


ドラゴンは魔物の中でもかなり上位に位置する存在だからね。

攻撃力、防御力、機動力、殲滅力、全てにおいて最上クラス。

生半可な装備ではダメージを与える事さえ出来ない。


流石にミルレールお姉様並の防御力があるって事は無いけど

それでもまともに戦って勝てる見込みは無いと言えるくらいに強い。

被害も甚大だし、まさしく天災と呼べる存在。


「しかしながら、はいこの問題は由々しき自体だったりします」

「どう言うこと?」

「ドラゴンですよ、他人事じゃないんです」

「まぁ、いつ来るか分からないからね、ドラゴンって」

「えぇ、因みに現在ドラゴンの被害を受けた国の防衛率は0%なので」

「……え? そ、そんなに低かったっけ…

 一応前までは30%は防衛率が」

「何故、それだけ防衛出来ていたか、分かりますか?」

「兵器の存在がデカいんじゃないの?」

「いえ、冒険者の存在がデカかったんですよ。

 ドラゴン襲来となれば、多額の報酬が用意されます。

 それはもう高ランクの冒険者がこぞって依頼を引き受けますよ」

「そうよね、報酬良いもんね。まぁ私は相性もあるから引き受けなかったけど。

 上空相手に攻撃する手段がないし、私には厳しいからね」


ドラゴンは良く空を飛んでるからね。

討伐となれば定石なのが飛行しているドラゴンを魔法で撃ち落とし

落ちたところを一気に叩くってのが基本戦術になる。


でも、国の防衛となれば国の兵器が使えるから

上空の相手への攻撃はより簡単になるとは思うけどね。


「地上に叩き落とすところまで行ければリトさんも活躍できそうですがね」

「まぁね、でもま、その頃の私って

 アンデッド絶対ぶっ殺すウーマンだったから」

「今もでしょ?」

「今は自重してる方よ」


昔はどれだけアンデッドを狩ってきたんだろう…

今が自重してるって事は本気だと相当…あはは…


「まぁそれは良いとして、今の防衛率が低い理由ですが

 単純に戦力が致命的に足りないという事です」

「戦力が? そんなに人類は消耗してたのか?」

「理由はいくつかあります。まず勇者候補の乱立です。

 これにより、実力ある冒険者は勇者候補の補佐となります。

 勇者候補に割く戦力がちょっと多くなりすぎてる。

 勇者候補は基本的に弱いので高難易度の依頼は受けません」

「貴族連中が大半らしいからね。私達は例外だけど」

「うん! エルちゃん強いから!」

「まぁエルさんが規格外なのは間違いないとして

 リズさんも勇者候補の中ではかなり上位に位置します」

「そうなの!? やっぱり毎日頑張ってるからかな!」

「えぇ、それが大きな理由でしょう。

 ここまで頑張ってる勇者候補は非常に珍しいですからね」


高難易度の依頼は受けてるし、今度は国の奪還の依頼。

…て言うか、考えてみれば私達が受けてる依頼ってまだ3つだよ…

ゾンビの撃退に巨人アンデッドの撃退、そして今度は国の奪還。

全部アンデッドに関する依頼だけど、リトさんが居るからね。


「高難易度の依頼を任せる事が出来る勇者候補は珍しいです。

 まぁ、お2人の場合は面倒な依頼を流されてるだけというか…」

「面倒と言う事は、それだけ困ってる人が多いと言うこと!」

「それはそうですけどね。ですが慈善団体じゃないんですし

 もう少し欲というか、そう言うのがあっても…」

「欲があったら国の奪還とか受けるって言わないでしょうね。

 ゾンビ襲撃も巨人アンデッドの件も欲があれば引き受けないわ。

 割に合わないからね、普通なら。

 ま、あんたが選んだ依頼だから受けるんだけど」

「ありがとうございます」


ミザリーさんが持ってきてくれる依頼は私達の事を良く理解した上で

大丈夫だと判断した依頼が多いからね。

依頼の報酬が少ないのは仕方ないって思うしかないけどね。


「で、もうひとつの理由ですが、こっちは実力ある冒険者が

 何者かの襲撃により死亡している事が多いからです」

「やっぱり何者か…なのね、ほぼ分かってると思うけど」

「えぇまぁ、恐らく魔王の娘達による物かと」

「あいつらが国を襲わないで力ある冒険者を襲ってるのは何でかしら。

 あれだけの実力があれば、国は簡単に吹き飛ばせそうだけど」

「それはまぁ、本人達に聞くしか無いでしょうね」

「聞きに行ったら簡単に死んじゃいそうだけどね」

「でも! 勇者ならいつか越えないと行けない壁だよ!

 絶対に強くなって、あいつら倒すんだから!」

「勇気と無謀は違うので、冷静に考えてくださいね」


それは間違いないね…勇気と無謀は全くの別物。

敵わない相手に挑む事は勇気じゃないしね。


「…しかし、話が脱線しすぎましたね。では元に戻しますと。

 ロッキード王国の奪還依頼は私達が引き受けることになりました。

 出発は後日、リリアン姫様と合流し、共に向います」

「戦力、私達だけ?」

「唐突に舞い込んだ依頼です。招集を掛ける暇はありませんよ。

 まぁ強いて言えば、私達が先鋒部隊であり

 それで苦戦するようであれば本隊が到着という感じでしょう。


 ロッキード王国に恩を売れるのは大きいですからね。

 私達だけの戦力提供よりは、国全体の戦力提供の方が

 恩を大きく売れるという物です。国としては私達は時間を稼ぎ

 後に到着した本隊が全部かっさらうのが理想でしょうね」

「へぇ、それなら殲滅に時間を掛けた方が良いのかしら?」

「まさか、本隊が到達する前に潰しちゃってください。

 良い機会です。あなた達の実力をこれでもかと示してください。

 そうすれば、いくら傍若無人の国王様と言えど

 私達の存在を無視出来なくなりますからね」


ミザリーさんが悪い笑みで呟いた。

その言葉を聞いたリトさんも楽しそうに笑う。


「最高ね! やってやりましょうか! さて、示すわよ。

 勇者候補の補佐として、大事な大事な勇者候補の2人を

 大々的に宣伝してやろうじゃないの! 貴族だとかくだらない!

 真の勇者は地位何かじゃなく、心と力で決るもんだって教えてやるわ!」

「少しでも早く取り返せば、国の人も喜ぶもんね! 頑張るぞ!」

「良いな、2度目の大立ち回りという奴か。今度は売り込みだ」

「うん、頑張ろう!」


この依頼で大きく踏み出さないと!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ