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裏切り少女のやり直し~200年後の再挑戦  作者: オリオン
第1章、新しい再スタート
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襲撃の指揮者

私の参戦は人類には大きな助けになったみたいだった。

これでも元は魔王の娘。人間の中では最上クラス。

だけど、私程度じゃまだまだお姉様達にはとても届かない。


それにしても、巨人族が相手って言うのは少ししんどいところがある。

だって、こいつらは魔法を殆ど使わない、使えない種族だからね。

私の戦術は基本的に魔力を奪っての反撃がメイン。

魔法が使えない相手だと魔力が減る一方。

相手を倒した場合でも相手の魔力を奪う事が出来るけどね。


「ふぅ、中々の連戦だが、お前がいるお陰か大分楽だな。

 スタミナも少しだけ回復している気がする」

「そうなんだ、助けになれてるみたいで嬉しいよ」

「助けも何も、お前1人で殆どのブレイカーは倒しているじゃないか」

「火力担当だから当然だよ」


人間の常識から考えてみれば凄まじい実力なんだろうけどね。

私は既にもっと上の存在を知ってる。だから、天狗にはなれない。

だって、テイルドールお姉様が本気を出せば国1つは容易に消し飛ぶ。

魔法に関する技術は完全にテイルドールお姉様の方が上だし魔力量も尽きない。

私がこれから相手をしなくてはならない相手はそう甘くは無いんだから。

だから、たかだかブレイカー程度に遅れを取るわけにはいかない。


「全く、我が娘ながら恐ろしいよ。だが、これでブレイカーの襲撃は全て撃破か。

 よし、エル。お前は避難所に戻ってくれ。俺達は生存者の捜索をする」

「それなら、私も」

「駄目だ、あれだけの魔法を使ったんだ。魔力も殆どないだろう?

 それに、これは本来俺達大人の仕事だしな」

「…うん、分かったよ」


お父さんは私を少しでも休ませたいんだろうなぁ。

かなりの魔法を撃ってたし、疲労してるって思ったんだろうね。

でも、私は倒した相手の魔力を奪えるから連戦には強いんだけどね。


「そうだ、エル」

「何?」

「お前のお陰で本当に助かった。ありがとう、礼を言わせてくれ」

「…うん! 何かあったら頼ってよ、お父さん」

「あぁ、お前も何かあったら頼ってくれよ? 頼りない親父かもしれないが

 お前の力になれるよう、尽力するつもりだからな」

「あはは! 勿論だよ、お父さん。何か欲しい物があったらおねだりするね?」

「う…で、出来れば安い物で頼むぞ…」

「うん!」


何だかこんな会話をするのが、楽しいと感じた。

家族との会話はとても楽しい。いつも緊張した雰囲気を経験してた私にとって

エルとしての家族との会話は本当に楽しい物かな。


さてと、それじゃあ、急いで私も帰ろう。

避難所に戻って、何か手伝えることがあれば良いけど。


「……」

「ん? 女の子? ねぇ、何処に行くの? 避難所は」

「……」

「あ、待って!」


何、この女の子。どうして私から離れようとするの!?

生存者じゃないの? じゃあ、誰? 何をしようとして。

……いや、でもこの動き…まるで私を……駄目だ、足を止めたら駄目だ。

彼女が何者かは分からないけど、ここは避難所から近い。


「ま、待って!」


私がこの子の狙いに気付いているってバレてないのかな?

ドンドンと人気の無いところに誘導されている。


「……ふぅ、ここなら良いかしら」

「どうしたの? 私を誘導して何がしたいの?」

「あら、誘導だってバレてたの? なら、なんで付いてきたのかしら。

 まぁ良いわ、あなたにも何か狙いがあるのかも知れないけど

 あなたの狙いに関係なく、私は私の狙いを果たせたんだから」

「私も狙いは果たせてるよ」

「……お前のせいで私の計画は失敗だ。魔王が蘇る前に人類を制圧して

 勇者と言う抑止力を得ようとしたってのに邪魔しやがって。

 それとも、あなたが勇者なのかしらね? だとすれば好都合なんだけど」

「残念だけど、私は勇者じゃないよ」

「あら、それは残念。でも、あなたという存在は出来れば消したい」


彼女が掌を私に向けると、彼女の手が急速に巨大化する。

そして、一瞬で私を握りつぶせるほどにまでデカくなった。

この特性…まるで巨人! でも、彼女の見た目はただの小さな!


「死ね」

「ッ!」


不意の出来事で流石に驚いたけど、急いで魔法陣を組んで

辛うじて彼女が私を握りつぶす前にテレポートで避ける事が出来た。


「はぁ、はぁ…」

「チッ! 完全に不意打ちだったってのに異様な程に発動が早いわね!」

「あなたが何者なのか分からないけど…て、敵対するなら…」

「…そう、なら自己紹介をしてあげる。私は巨大な人を統べる者。

 最初の巨人、ユミル」

「ユミル…なんで…」

「歴史かなんかで私の事を知ってるのかしら。なら特別に良い事を教えてあげる。

 今、私達魔物はあなた達人類が思ってるほどに優しい状況ではないわ。

 各種族が派閥を作り、世界を牛耳ろうと動いて居るのよ」

「なん!」

「そして、あなた達人類は各々の派閥が勝利するために重要な鍵。

 魔王の娘達が動いて私達を止めようとはしてるみたいだけどね」


だから、あの時…テイルドールお姉様が…あんな場所に…

あり得ないと思ってた、そして、目立たないように動いてるのも不自然と。

あれは自分達の行動が他の派閥にバレないように動こうとしてたんだ。


テイルドールお姉様が居ないと言うことはお父様の護りが甘いという証拠でもある。

だから、極力バレないように動いて…人類の制圧を狙ってた?


「でも、人類を狙う理由は」

「勇者の取得。生まれて間もない勇者であれば成長も仕切っていないでしょう?

 勇者が脅威なのはその成長性。だから、生まれて間もない勇者を捕まえたいの。

 そして、勇者の意思を奪う。そうすれば、私達は勝利出来るって算段よ」


勇者は人類の中でも特殊で、成長の速度が極めて高いはず。

その仲間も影響を受ける。基本的に成長が出来ない魔物からしてみれば天敵。

でも、逆を言えば成長しきる前の勇者なら…って、事かな。


「しかしまぁ、不思議よね。魔王も人類を滅ぼせば良いのに。

 そうすれば、自身に迫る脅威は消えるって言うのに変よね」


お父様の力が維持されているのは、人類が居てこそ共いえるんだったよね。

そして、お父様は今まで歴代の勇者を倒している。

多少の負傷はして居たけど、少し治療に専念すれば回復出来たけど。


「ま、どっちにせよ娘に殺され掛けてちゃ世話無いけどね。

 でも、エビルニアの馬鹿には感謝しないと。

 あいつが魔王にここまでの負傷を負わせてなかったら

 私達が派閥を作って魔王に喧嘩を売るなんてあり得なかったしね」

「何を…」

「あぁ、ごめんごめん、人間のあなたに言っても分かるわけ無いか。

 まぁとにかくよ。勇者じゃないならお前は死ね!」

「死ぬわけには行かない!」


最初の巨人、ユミル。そんな存在が居るという話は聞いたことがあるけど

まさか、こんな少女だったなんて思わなかった。

でも、彼女はかなり強力なのは間違いないよ。

巨人族を統べる程なんだから、巨人ではあるけど知性はあると言う事は間違いよ。


知性のある巨人は強靭な肉体に強力な力に知性があるんだから。

だけど、彼女の攻撃はワンテンポ遅い。


「さぁ、潰れなさい!」


左右から私を叩き潰すように巨大な手が迫る。

だけど、この攻撃はどう考えても自分の視界を塞ぐことになる。

怪力だし、この質量だから潰されたら無事では済まないだろうけど。


「さぁ、これでどう?」


かなり大きな衝撃音が周囲に響く。

だけど、勿論あまりにも動きが遅すぎる。


「オーバーヒート!」

「え? 後ろ…うぐ!」


攻撃が当る瞬間に背後にテレポートで移動してのオーバーヒート。

あまり連発は出来ない魔法ではあるけど、私の最高火力の魔法。


「う…ぐぅ…」


私のオーバーヒートを受けたユミルは吹き飛ばされ

何度も地面に激突し、転がり倒れる。


「はぁ…はぁ…」

「……やっぱり侮れないか…でも、大した火力は無いわね」

「はぁ、はぁ…やっぱり再生能力も高いんだ…」

「そんな攻撃で何が出来るってのさ!」


彼女が全力で拳を私に向って振ると同時に巨大化する。

攻撃と同時に素早く巨大化されたせいでテレポートは間に合わない。

でも、ギリギリで防御魔法で防ぐ事は…出来たけど。


「うぁ…」


流石に…勢いまでは…殺しきれなかった。


「……さぁ、潰れて死ね」


振り上げられた巨大な掌。

動けない私はその巨大な壁が迫ってくる光景を見ることしか出来なかった。

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