判決
目覚めると、変な表情のミザリーさんが立っていた。
その背後ではリトさんがニヤニヤと笑ってた。
ミリアさんも何だか半笑いだよ。
「……おはようございます、エルさん…」
「あ、おはようございます…その、ど、どうしたんですか?」
「いえ、不純同性交遊を取り締まろうとしていまして」
「えぇ!? な、何の事ですか!?」
ま、まさか目を覚ましてすぐにそんな事を言われるなんて!
「リズさんと昨夜何をしていたのですか!?
同じベットで眠って! 抱きしめ合うなんて!
もう服とかびしょびしょじゃないですか! 何をしてたのですか!?」
「な、何もしてませんよ! って、わぁ! 本当にびしょびしょ!」
「エルちゃんエルちゃん、涎付いてるわよ?」
「よだ、って、あぁ! り、リズちゃん涎凄い! 胸元べっとりだよ!」
「わ、私が必死にあの魔術師の罰を軽くして欲しいと願ってる間に!
こんのぉ! 何処までのんきなんですかあなた達は!
と言うかリトさん! しっかりしてくださいよあなた保護者枠ですよ!?」
「え!? 私も悪いのこれ!? と言うか、何処が悪いのか不明なんだけど!」
「不純同性交遊でしょうこれ!」
「り、リズちゃん昨日凄い落ち込んでたから
エルちゃんが励ましに行っただけだって。
多分あれでしょ? その時にリズちゃんがエルちゃんを抱き枕にして
そのままグッスリとお互い眠っちゃったとか、そんな感じでしょ?」
「じゃあ、どうしてエルさんの胸元がリズさんの涎でべっとりなんですか!?」
「た、ただの涎だって、ほらエルちゃんもリズちゃんも服着てるし」
「ただ眠っててあそこまで涎出るんですか!?」
「それはほら、個人差あるから」
あ、朝からミザリーさん、凄い怒ってる…でも、私達何もしてないよ。
と言うかリズちゃん、なんで起き無いの? どんだけグッスリ寝てるの!?
「人間も同性で子孫を繁栄させられるのか? 生えるのか?」
「生えません! と言うか、これはそう言うのじゃないんですよ!
た、ただリズちゃんが涎凄いだけで!」
「ふぁ…あ、暖かい…あ、エルちゃんおはよう…あ、顔近いね? どうして?」
「リズちゃん、昨日私を抱きしめたまま眠ったの、忘れたの?」
「あ、あぁそう言えばそうだった! 不安だったからつい…ごめんね」
「ほ、ほら! そう言うんじゃ無いって! 分かったでしょ?」
「……いやそれでも、この状況は駄目でしょ」
「あ、この声…み、ミザリー姉ちゃん!」
「うわ! わ、私に! って、リズさん! 涎拭いてください!」
「ど、どうなった!? あの魔術師の人、どうなった!?」
「は、話しますから! ちゃんと話しますのでとにかく涎拭いてぇー!」
リズちゃんはリトさんに引っ張られてミザリーさんから離れた。
その間、私は服を着替えて、前の寝間着を洗濯籠に入れた。
ベトベトだよ…あ、ブラジャーも若干ベトベトしてる。
むむぅ、胸元も少しねっちょりしてる…どれだけ涎出てたんだろう。
少しだけシャワーで流して…うん、少しだけスッキリした。
急いで服を着替えて、ミザリーさんの話を聞かないと。
どうなったか、私も気になるしね。
だけど、雰囲気からして悪い結果ではなかったんだとは思うけど。
「うぅ、制服が…」
「それで! どうなったの!?」
「はぁ、大丈夫です、死刑は免れました」
「本当!?」
「えぇ、ですが私はしばらくの間、あなた達と行動出来なくなりました」
「ど、どう言うことですか?」
「単純な理由ですよ。彼女が死刑を免れるための条件として
もし彼女が逃走した場合、私に罰がくだると言う事になりました
魔法の使用を確認した場合も、私が罰を受けます」
「え!? な、マジで!? あなた、そこまで!」
「私としても、勇者候補である2人を見捨てたくなかったんですよ。
きっと彼女が死ねば、あなた達は後悔して進めなくなるでしょう?
私はあなた達2人に希望を見出している。
あなた達に立ち止まって欲しくはない。
それにまぁ、彼女の事も一応は信用してやるつもりです。
もし私を裏切ったら、地獄の底まで追いかけてやりますとも」
「は、はぁ…結構執念深いのね」
ミザリーさん…そこまでして私達の事を…
「でも、それじゃミザリー姉ちゃんが…」
「私は私がしたいことをするまでですよ。
とは言え、クエストの管理は今まで通り私がします。
国から出られないと言うだけですからね。
と言う訳で、はいどうぞこの書類です」
「ん? これは?」
「例のアンデッド巨人の依頼書ですよ、リトさんが管理してください。
私は国から出られなくなったので、あなたが管理するしかないんですよ。
クエストの報告の仕方は当然知ってますよね?」
「そ、そりゃまぁ、私は冒険者だしね…でも、私が管理すんの?
私、こう言う書類書くの面倒だから、結構報告しない依頼多いのに」
「絶対に報告してくださいね! 勇者候補の補佐なんですから!」
「うぅ、わ、分かったわよ…」
「そう言えば、あの勇者候補と補佐はどうなったんだ?」
あ、そう言えば保護してた2人の事、忘れてた。
「あの2人は命に別状はありませんよ、エルさんの回復がありましたからね」
「よ、よかったぁ…」
「ま、あの2人が死んでいれば、魔術師の子は死刑でしたね。
女は誰も殺していないとは言ってましたが」
「信じたの? 上の連中が」
「一応は信じる事にしたそうですよ。逃げ出した場合は嘘だとしますが。
因みに彼女には上の人達が1ヶ月後に処刑という風に伝えています」
「どうして?」
「彼女を試す為でしょう。1ヶ月後処刑だと言われている状況で
本当に1ヶ月の間逃げ出さないか。逃げ出さなかった場合は
上の方達も彼女を全面的に信頼すると言っています。
魔術師側の事情も聞き出す予定ですし、1ヶ月どうなるか」
「じゃあ、面会は」
「はい、無しですね。彼女に死刑ではないと知られてしまえば
この彼女を試す為の計画は無意味ですからね。
さて…彼女は逃げ出すのかどうか…気が抜けませんね」
「じゃあ、しばらくは」
「いえ、依頼に行ってきてください。アンデットの巨人なんて危険です。
あなた達は冒険者であり、そして勇者候補です。
何よりも市民の安全を第一に…お願いしますよ?」
「…うん、任せてよ」
問題もあったけど、私達はもう一度アンデッドの依頼へ向う。
このまま放置は出来ないもんね…頑張らないと。




