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裏切り少女のやり直し~200年後の再挑戦  作者: オリオン
第3章、違和感の始まり
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帰還の道中

ゾンビの殲滅後、私達はリディアちゃんとスイカさんの護衛をしながら国を目指した。

彼女達は非戦闘員。依頼の場所に来るまでは2日程度だったけど

国へ帰るのには1週間は掛りそうだね。もうすでに5日経ってるけど

まだ距離あるし、あと2日は時間が掛りそう。

流石に冒険者でも無い2人を連れて無理に進むことは出来ないからね。


帰路もより安全なルートで進みたいから遠回りにもなるしね。

その間で何故か分からないけど私はリディアちゃんに懐かれた。


「エルお姉ちゃん! こんな感じで良いかな!」

「うん、上手に出来たね」

「えへへ!」


お母さんを守りたいからなのか、リディアちゃんは私に魔法を教えてくれと言ってきた。

魔法を扱うのは少し難しいから、5日で使えるようにはなれないと思う。

でも、ひとまずは魔法陣の組み方を教えることにした。


最初は上手く出せなかった魔法陣だけど、5日間で少しだけ魔法陣を組めるようになった。

そこから魔法を放つってなると、まだ調整が必要だけど

この歳で魔法陣を仮にとは言え組めるなら才能は十分あるね。


「すみません、うちの子が…」

「いえ、気にしないでください。魔法を教えるのは慣れてますから。

 それに楽しそうにしてる姿を見てたら、こっちも嬉しいですしね」

「ありがとうございます」


リディアちゃんは自分が魔法陣を組めることを楽しんでる。

そこから攻撃にを目指してるわけじゃ無さそうだし

もし教えるとしたら、サポート系の魔法を教えようかな。

何かあっても問題が起こらない、簡単な魔法を。


「見て見て! お母さん! ほら! 輪っかが出来たよ!」

「凄いわね、リディア」

「うん! 私、もっとエルお姉ちゃんに魔法を教えて貰って

 お姉ちゃん達みたいな凄い魔法使いになってお母さんを守るからね!」

「それは嬉しいけど、無茶しないでね? お母さんはリディアが元気なら

 それで幸せだからね? だから、リディアが怪我をしたらお母さん悲しい」

「怪我をしないように頑張る!」

「うん」


冒険者になるとすれば、怪我は絶対にするからね。

だから、冒険者じゃ無くて別の方向で魔法を扱って貰いたいなぁ。


「よーし! 次はリズお姉ちゃんに戦いを教えて貰う!」

「お、良いよ、でも怪我しちゃうと危ないから後で教えて上げるね」

「大丈夫だよ! 今教えて!」

「うーん…じゃあ、身体を鍛えないとね! あそこの木まで競争!」

「うん! よーいどーん!」

「あぁ! ズルいよー! 待て待て-!」

「きゃー! 追いつかれちゃう-!」

「待て待て-! 負けないぞー!」


あはは、身体を鍛えると言うよりは、ただ遊んでるって感じだね。


「あぁ! ギリギリで負けちゃったぁ」

「お姉ちゃんは足速いからね、でもリディアちゃんも足凄く早いね。

 頑張って練習すれば、お姉ちゃんより早くなりそう!」

「えへへ! そうかな!? じゃあ、魔法もかけっこも頑張る!」

「うん! お母さんを守らないといけないしね」

「うん! 強くなってお姉ちゃん達も守って上げるの!」

「おぉ! それは楽しみだね、待ってるよ」


やっぱりリズちゃんは小さい子にすぐに懐かれるね。

中学生なのに凄く小さい子が相手でも全力で遊んでくれるし当然なのかな。


「ご主人様ご主人様! 周囲を見てきました! 魔物の姿はありません!

 それとこの速度で移動となれば、国まで残り2日は掛ります!」

「あ、ありがとうねウルフちゃん。うーん、でもそろそろ名前を付けた方が良いのかな?」


今までこの子の名前が無かったし、少し不便だよね。

やっぱり名前がある方が呼びやすいし、そっちの方が良いよね。


「名前ですか!? ありがとうございます! 至高の喜びです!

 うぅ、ご主人様から名前を授かるというのはご主人様の所有物になる為に

 絶対に必要な行程です! 嬉しいです!」

「しょ、所有物とは違うよ! 大事な仲間! あなたは物じゃ無いよ!?」

「うぅ! あ、ありがたきお言葉! 私には勿体ない限りですぅ!」


よっぽど嬉しかったのか、彼女はその場でお腹を見せて何度もゴロゴロと転がった。

やっぱり可愛いなぁ、この子。心なしか顔も真っ赤に見えるし恥ずかしがってるのかな?


「んー? 何? 名前付けるの? ふふ、それならお姉さんに良い案が」

「いえ! 私のお名前はご主人様に付けてもらうのです!」


私以外に名前を付けられるのはいやなのか、すぐに起き上がり

彼女はリトさんに向って何度か吠える。


「うわ! 吠えられた!? い、今まで吠えたりしなかったのに…

 な、何か気に触るようなことでもした? 何もしてないと思うけど…」

「えっと、この子達のしきたりなのか、名前は私に決めて欲しいそうです」

「うえぇ~、マジで~、折角考えたのに…こうなれば、私もサモナーになるしか無いかしら」

「ただでさえ魔法が扱えない種族の血を引いてるのに…サモナーとか無理に決ってるでしょ?

 本来は身体強化魔法でさえ異常なのに、全くあなたは夢見がちですね」

「冒険者は夢見てなんぼよ、それに不可能なんて無いわ。

 やろうと思えば不可能は可能になるのよ。時間が掛るだけだって」


実際、本来ならほぼ不可能である筈の身体強化魔法を習得してるし

リトさんなら本気で努力すれば巨人族の血が流れていてもサモナーになれるかも?

でも、サモナーの技術は殆ど失われてるみたいだし、難しいかな。


「さぁご主人様! 私にお名前を!」

「うーん…そうだなぁ…じゃあ、ウルルとか…」

「ウルル! おぉ! なんて可愛らしいお名前! 流石ご主人様です! 

 最高のお名前をいただきました! ありがとうございます! ご主人様!」

「あはは、き、気に入って貰えたならよかったよ」


そ、即席で考えた名前だけど…まぁ、本人も嬉しそうだしこれで大丈夫だよね。


「ウルル、よかったわね名前が決まって」

「あぁ! 最初に呼ばれるのはご主人様がよかったのに!」

「わぁ! また吠えられた!? また何か変な事した私!?」

「最初に名前を呼ばれるのは私がよかったそうです」

「えぇ!? そ、そうなの…いやごめんなさい…いや本当、凄く懐いてるのね」


やっぱりこの子達は召喚してくれた相手に凄く懐くんだね。

召喚獣の中で最も扱いやすいってだけはあるね。


「じゃあ、ウルル」

「はいご主人様!」


さっきまでリトさんに向って吠えてたのに、すぐに私の方にむき直して尻尾を振る。

随分と私に懐いてくれてるね、この子。


「おほん、えっと皆とちゃんと仲良くしてね? 大事な仲間なんだから」

「了解ですご主人様!」


と言っても、この子は最初から皆との関係は良好なんだけどね。

夜とかはたまにリトさんに抱きしめられてたりするし。

リズちゃんもウルルとは仲良く遊んでるしね。

ミザリーさんはまだ怪訝な表情をしてるけど、それは仕方ないのかな。


「ふーむ、やはり面白い生物ですね、ホワイトウルフ。

 人の言葉を理解して、主とは会話も出来るとは」

「ホワイトウルフが扱いやすい召喚獣である大きな理由だな。

 主との意思疎通が可能であると同時に他者の言葉も理解できる。

 確か大体の召喚獣は主と会話が出来るとは聞いたけど

 他の人間の言葉は理解できないこともあるとか」

「ほぅほぅ、ならばあちらから声を掛けることは出来なくとも

 こちらの言葉を理解できるホワイトウルフはかなり扱いやすいと言う事ですね」

「あぁ、主の指示にも絶対服従らしいからな。癒やし系でもあるし」


実際この子は凄く可愛いもんね、確かに癒やし系だよ。


「うーん、この子を撫でたいけど…あまりゆっくりしすぎるのは駄目かしら。

 そろそろ日も暮れそうだし、安全な場所へ少し早足で移動しましょう」

「はーい!」


そんなこんなで、騒がしいまま今日も大きな騒動も無く時間が過ぎた。

安全第一で行動しているからか、夜の襲撃も殆ど無いしね。

国までもう少し距離があるけど、そんなに険しい道のりって訳じゃ無さそうだ。

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