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新たな仲間と共に

エルフと私達が手を組むのはきっとこれで2回目。

だけど、エルフの長が私達の仲間として長い時間同行するのは

これが私の知る中では初めての事だった。


だって、勇者様とエルフ達が協力したときは

エルフとダークエルフのわだかまりなんて無かった。

だから、エルフ勇者一行と同行する理由は何も無かった。


でも、今回は違った。200年前に出会った顔見知りと

私は一緒に行動する事になって…何だか新鮮な感じもする。

今まで私は、200年前の私が知る人物と一緒には行動してなかったから。


と言っても、私自身。最初はエルフの長であるミリアさんの事は忘れてた。

中々に薄情な物だよ…でも、考えてみれば200年前と今は

結構雰囲気変ってるような気がするけどね。


だけど、この悠久の森を歩きながらミリアさんを見てると。

何処か懐かしいような、安心するような…そんな感じがする。


「しかしまぁ、エルフの長であるあなたが勇者候補の仲間入りとは予想外でしたよ。

 何故、彼女達に協力しようと思ったんですか? 元々協力的でしたが

 私達人類と協力関係を表沙汰にはしない様に動いて居たのに」


あぁ、だからエルフは国にはあまり居ないし、私達の護衛の時も

可能な限り姿を見せないようにしてたんだね。


「…それは、あの子が200年前、私達を変えてくれた人にそっくりだったからです。

 容姿とかそう言うんじゃありませんが…雰囲気や考え方…行動がそっくりです」

「200年前の勇者の事ですか?」

「はい。勇者の話は何度か聞いてますが、私が聞いてきたエルフに伝わる勇者の話は

 魔物を狩る事に楽しみを覚える、何処か残虐な存在という話を聞いていたんです。

 それが、あのガルムという勇者は相手を殺す事にこだわらない…そんな人でした」

「ガルム…? それが200年前の勇者の名前…ですか」

「はい…知らされてなかったのですか?」

「はい、何も」


リズちゃんのお母さんも言っていた、勇者と言う存在は記されても

どんな勇者かという部分や勇者の名は消えている人類の現象。

ミリアさんは200年前、勇者様と直接会った当事者だから覚えてて当然なんだよね。


「……勇者の名前は歴史には書かれていないのか…もしかして動向も…?」

「動向は多少は記されてるんですけどね」

「何故名前だけ隠してるんだろう…いや、あまり詮索しない方が良いか。

 それは人類側の問題だから、私達エルフがあまり口出しはしない方が良いかな」

「一応、歴史の解読や謎を試みようとしてる考古学者は居ますがね。

 例えば、そちらのリズさん。彼女のご両親は優秀な考古学者ですし」

「なる程…」


この問題はかなり探らないと分かりそうに無いよね。

何で勇者の記述が消されているのか。それも名前だけ。

勇者という存在は記されてるし、動向も多少は記されているはずなのに

何故か勇者の名前とかは完全に消えている。


「うぅ、帰り道長いなぁ…エルちゃん、あの魔法出来ないの?」

「出来るには出来るけどミリアさんとミザリーさんの分が無いし…」

「あぁ、あの魔方陣? 確かあれ持ってないと転移できないんだっけ」

「そうなんですよね」

「帰還魔法…あぁ、あの突如姿が消えた、あの魔法?」

「はい」

「あ、そう言えばミリアさん。その魔法って知ってますか?

 私はそう言った魔法は知らないのですが

 サポートに秀でているあなたなら分かるのでは?」

「うーん、残念ながら私も分かりませんね」


それはまぁ…実質私が1人で考えて新しく作ったような物だしね。

正確には応用しただけって言うのが正しいんだけどね。


「まぁ、帰った後は冒険者に正式になるわけだし

 帰り道はのんびりと楽しめるくらいにならなきゃ駄目よ?

 最も依頼だとかそう言うのは無事に帰るまでがクエストってね。


 道中特殊な魔物に襲撃されてしまう可能性もあるし

 帰り道を多少楽しみつつ警戒を怠らずに帰るのは大事よ。

 それにまぁ、ここら辺は森の結構端だし、すぐ出るでしょ」


そんな話をしている間に、丁度森の切れ目が見えてきた。


「ほら、お待ちかねの出口よ」

「ふへぇ、ようやく帰れるよ」


そのまま私達は特に大きな問題も起こらずに無事に国へ戻ることが出来た。

だけど、国に入ってから若干問題が起こるとは思って無かったけど。


「…変に注目されてる気がする」

「いや、気のせいですよ。注目されているのはリズさんじゃなくてミリアさんです」

「何だか恥ずかしい…」


国に入ると同時に、道行く人達の殆どがミリアさんを注目していた。

エルフという種族が表沙汰に人の前に出てくることはこれが初みたいだしね。

実際、ミリアさんは容姿端麗。これはエルフ全体に言える特徴だけどね。

美しい透き通るような肌に高い身長。サラサラの髪の毛。

殆どの人はエルフを見れば振り向くか魅了されてしまうほどに美しい。


でも、リズちゃんやリトさんは別に魅了とかはされて無かったけどね。

私も魅了されたって言う記憶は無いけど、勇者様と一緒に居た仲間達は魅了されてた。

勇者様はそこまで興味無いのか全く見惚れては無かったけど。


「エルフの容姿は我々人類からしてみれば、絶世の美女ですからね。

 男性は勿論、殆どの女性すら見惚れてしまうほどの容姿をしています。

 いやぁ、私達のパーティーに男性が居なくて一安心ですよ」

「男性も皆が皆見惚れるわけじゃ無いんですけどね」

「そうなんですか? と言うか、今冷静に考えてみると

 あなた達は良く見惚れませんでしたよね。女性も結構な率で見惚れるのに。

 私の場合は既に顔合わせもしてますけど、最初は私も見惚れましたよ?」

「冒険者なんてやってたら、そりゃわざわざ反応しないわよ。

 大事なのは相手を見極めること。容姿とかは囮でしか無いって。

 ハニートラップを仕掛ける魔物だって居るのよ?

 わざわざ反応してたら冒険者なんてやってられないっての」


ハニートラップを仕掛けてくる魔物なんて居たっけ?

あ、でも確かに人ならざる人の形って言う種族は結構近いのかな?

でも、あの子達はハニートラップは仕掛けない。

あ、だけど確か最初は結構友好的な場合が多いっけ。

で、何かの拍子で戦闘態勢になる。条件はハッキリと分かってないけど。


「大事なのは中身だよ! 外見よりも遙かに中身が大事!」

「エルさんは?」

「えっと…そ、その…容姿を見る余裕が無かっただけです」

「そうなんですか。まぁ実際、魔王の娘なんかが来たら動揺しますよね」

「私よりも綺麗だからじゃ無いか?

 彼女みたいに美しい人を見たのはこれで2度目だよ」

「2度目? 1度目は?」

「魔王の娘、エビルニア・ヒルガーデン。私が最初に見た美しい少女」


その言葉が出た瞬間、私の背筋がゾッとした。

もしかして…いや、そんな事は…


「あ、エビルニア…そうだ! 私、その話を聞きたかったんだ!

 どう言うこと? エビルニアが」

「…詳しい話は後で話すよ。ここは人が多いし」

「え? あ、うん。何でここで話したら駄目なのか分からないけど

 話してくれるって言うなら、それで良いよ」


私の昔の話し。全員、その話に興味津々という感じだった。

私は…出来れば聞きたくは無い。自分の昔話なんて…

でも、聞くしか無い。ここで聞かないのは違和感が大きいから。

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