最高の幸せ
今回で裏切り少女のやり直しは最終回になります!
長い時間、ご愛読ありがとうございます!
魔物と人が手を取り合う未来…そんな夢はとても難しい。
私はそう思ってた……難しい夢なんじゃ無いかって。
何年経っても叶えられないような、途方の無い夢だって。
でも、意外な事にその夢は…僅か6年程度で叶った。
「人と魔物が手を取り合う未来。凄く途方の無い夢だと思ってたけど
ふふ、案外、あっさりと達成できちゃう物ね」
「そうだな、むしろ結婚する方が苦労してるな、リト」
「それは私も何ですけどね…」
夢が叶った後…私達は20歳になってた。
リトさんは結婚したいわ-、とか言うようになって来たけど
まぁ、その夢はまだ叶ってない。そもそも最低ラインが
私より強い奴って地点で、相当レアなんじゃ無いかな?
「いやぁ、私、凄く強くなってるんだよね! いつの間にか!」
「私もね」
そして、6年ほどの間で、私とリズちゃんは異常な程に強くなった。
体も凄く頑丈だし、魔法や戦闘能力もトップクラス。
リトさん達と一緒に王族の近衛兵までやってるよ。
「しかし、冒険者から近衛兵だなんて、とんでもない出世よねぇ」
「ただの近衛じゃ無く、女王直属だけどな。私達しかいないが」
「女王護衛部隊とか、凄くなーい?」
「まぁ、凄い功績だよね~、勇者とどっちが大変かってのは微妙だけど。
ふふん、さてさてー、今日はお酒を私にも呑ませてくれるんでしょ?
護衛隊の皆々様?」
私達2人が20歳を越えた記念で、私達は酒場にやって来た。
本来なら女王様が直接出向く酒場とか、高級そうだけど
私達がやって来たのはリトさん行きつけの酒場だった。
「安心して頂戴な、最高のお酒を用意してあげるわ!」
「あぁ、待ちに待ったこの最高の酒!」
ミリアさんが取り出したのはとんでもない数のエルフの雫だった。
これだけの数を手に入れるには、とんでもない金額が必要だけど
6年前と比べれば、まだ比較的手に入れやすいお酒になったと言えるね。
だって、エルフの雫は今、流通が凄く増えてきてるから。
ダークエルフとエルフが和解してからと言うもの、生産量は凄いよ。
エルフの特産品で最も稼いでるのがこのお酒だからね。
「いよ! 待ってました!」
「おぉ! 私、ずっと飲んでみたいって思ってたんだよね!」
「うん、私もね。今まで飲めなかったし」
「なら、今日は盛大に飲むんだ! 数は多いぞ!」
「おぉ!」
私達は初めてエルフの雫に口を付けることになった。
凄くとろける様な優しい口当たりだ…
とても上品な優しい甘みが口いっぱいに広がった。
飲んだ後も、まるでお腹の底から私達を暖めてくれてるような
とても優しい温もりのような物を感じる。
「美味しい…」
「流石エルフの雫ね、最高よ! あ、それとミリア、
エルフの雫、前より美味しくなってる気がするんだけど?」
「当然だとも、私達が丹精込めたお酒だぞ?
私が持ってきてると言う事は、その美味な酒の中で
最も上質で上品な酒だ! 高級酒というレベルでは無いぞ!
私達だけが飲む事が出来る、エルフ達で用意した最高の1品だ」
「おぉ! マジで!? 通りで美味しいと思ったわ!
流通してるエルフの雫よりも、甘さの上品さが段違いだしね!」
「美味しすぎます…本当にほっぺが落ちそうなくらいに…」
やっぱり凄く美味しいお酒なんだなぁ
私も飲んでて、今まで飲んできた飲み物の中で一番美味しいと感じる。
「こんなの城でも飲めないわ…最高!」
「お? リンカ女王はもうお酒を呑んだ経験があるの?」
「まぁね、お城の最高級酒を20歳になった記念に貰ったんだ。
どうも、そう言う仕来りがあったみたいで、私もやったんだよ。
そしてこの酒は、その時呑んだお酒よりも断然美味だよ!」
「ふふん、流石エルフ総出で作った酒だな。私も手を貸したし
まさにエルフの技術の粋を集めた最高の酒だ!」
本当に何杯でも行けちゃいそうなくらいに美味しいお酒だよ。
「っしゃー! がぶがぶ飲むわよ! ドンドン頂戴な!」
「あぁ、ほら」
「美味しぃ! やっぱり良いわねお酒!」
「いやぁ、最高!」
「とろけますねぇ…」
皆がニコニコしながら美味しそうにお酒を呑んでいる。
私とリズちゃんも同じ様に笑顔になりながら、そんな皆の姿を見た。
「本当に幸せだよね! こう言う時間、私大好きだよ!」
「私も大好きだよ、当たり前の様に過ごしてきた時間だからね」
「うん!」
「えーっと、ここだっけ。あぁ、居た居た、来たわよ」
「あ、ブレイズお姉様!」
「酒かぁ、俺は全く飲んでなかったな」
「私もね、酒には興味無かったし」
「私は嗜む程度ね。まぁ良いでしょう。
今日は記念日なんでしょう? 一緒に飲もうと思ってね」
「うん! 一緒に飲もう!」
「お姉様の横は私が座るから、お前はあっち行ってて」
「あぁ! 私を押さないでよレイちゃん」
「黙れ、そのあだ名で私を呼ぶな、馴れ馴れしい」
「うぅ、相変わらず私には厳しいなぁ」
レイラードがリズちゃんを押しのけて、私の横に座る。
何でか知らないけど、レイラードはリズちゃんに対抗意識を抱いてる。
「エビルニアお姉様の隣は私が相応しいんだから
お前は相応しくないし!」
「もー、私だってずっとエルちゃんと過ごしてるんだよ?」
「私の方が長い!」
「そ、それもそうだけど、私とエルちゃんは一緒に困難を」
「うるさーい!」
「おっとと、殴ろうとしたら駄目だって、危ないよ?」
「ぐぬぬぅ!」
結構リズちゃんに対して攻撃的だけど
リズちゃんに攻撃が当ることは全く無い。
だって、今の私達って…本当、とんでもなく強いからね。
「いやぁ、賑やかになってきたね、これでこそだよ」
「そうですね」
私達は全員でお酒を嗜む、お客さんもドンドン増えて来る。
リトさん行きつけのお店は、今日も大盛況だ。
「うぅ、ヒック…も、もっとおさけぇ…」
「うぅ、飲み過ぎた…」
「あぅ…」
「エルちゃぁん、世界が回るよぉ」
「あはは…飲み過ぎだよ、皆」
「お酒には弱いのね、好きと得意は違うのかしら」
「うぅ…頭がぁ…」
「クソぉ~…」
「エビルニアお姉様……大好き…」
「……私とあなた以外は皆酔い潰れちゃったわね」
「あはは、そうだね」
まぁ、レイラードはお酒を呑んでないから、眠っただけなんだけどね。
でも、私とブレイズお姉様の2人だけはまだ余裕があった。
「……本当に成し遂げちゃったわね、途方の無い夢を」
「うん、これで仲間達に自慢できるよ。ありがとう
ブレイズお姉様が受入れてくれたお陰だよ」
「いいえ、あなた達の力よ。殆どはリズという子の功績。
あの子は本当に真っ直ぐな子ね。恐すぎるくらいに真っ直ぐ」
「だからこそ、皆付いてきた…そう言う事だよ、ブレイズお姉様」
「えぇ、そしてあなたは、その子をひたすらに支え続けた。
その姿もまた、とても輝いた物だったわ。
真っ直ぐ進む人間が道を迷わない理由は1つ。
誤った道に進みそうになった時、止めてくれる誰かが居るから。
あなたは彼女にとって、その誰かだった。誇りなさい、エビルニア」
「うん、誇らしい思ってるよ」
隣で眠ってるリズちゃんを見て、少しだけ笑みがこぼれた。
小さく感謝の気持ちを乗せて、リズちゃんの頬を撫でる。
「ありがとう、リズちゃん」
私が夢を叶える事が出来たのは、きっとリズちゃんのお陰だ。
リズちゃんの何処までも真っ直ぐな姿に触発されて
私も真っ直ぐ進むことを決めた…だから、進むことが出来た。
私に道を示してくれたのはリズちゃん…そして、勇者様。
私は色々な人に与えられて、ここまで進んできたんだ。
リトさんの大きな覚悟を目の当たりにして
ミリアさんの諦めない信じる心を目の当たり居して
ミザリーさんの必死に先を目指し
自分のベストを尽くそうとする姿を見て。
そして、リズちゃんのひたすらに疑わず
信じた道を進み、支え支えられてる姿を見て。
成長を続けていく姿を見て…私も諦めないことを学んだ。
後悔を糧にする術を学んだ……だから、私は進めたんだ。
「……あなたは私の…自慢の妹よ」
「ありがとう、ブレイズお姉様
ブレイズお姉様は私の自慢のお姉ちゃんだよ」
「……ありがとう、駄目な姉を慕ってくれて」
ブレイズお姉様が少しだけ涙を流し、微笑んでお酒を呑んだ。
「……ありがとうね、エビルニア。
それじゃあ、私はこの子達を連れ帰るわ。
また楽しみましょう」
「うん!」
ブレイズお姉様がテイルドールお姉様とミルレールお姉様を抱えて
酒場にお代を置いた。
「私が全部奢るわ。姉として、まぁ格好付けたいしね」
「でも…」
「それと、レイラードの事は頼んだわよ? 可愛い妹の1人だしね」
「……うん、そうだね」
「それじゃあね、お釣りは要らないわ」
そう言い残して、ブレイズお姉様は出ていった。
「お代は必要無いんだけどなぁ、律儀な人だ」
「あ、店主さん」
「…ありがとさん、勇者の皆さん。
おかげさまで今日は繁盛だ。
お代はさっきのお姉さんから頂いたわけだし
まだ飲んでも良いよ? 料金は十分貰ってる」
「いいえ、今日はここまでにします。また来ますね」
「そうかい、そりゃ残念。じゃあ、また今度。
同じ様に楽しい酒を呑んでくれよな」
「はい!」
私も魔法陣を発動させて、全員を一斉に送った。
そんな1夜の楽しい一時、私はもう2度と忘れない。
私は満月を見上げ、勇者様達の姿を満月の中に見た。
皆、楽しそうに笑ってる…あはは、私も酔ってるのかな。
でも、皆の笑顔を見られて、よかった…
「ありがとう、皆……私は今日も幸せだよ。
皆のお願い通り、私は皆の分まで幸せに生きる。
だから、見守っててね……ふふ、夢の中で、また会おう」
小さく笑い、私は幸せな夢を見る。
あぁ、それは私が今、幸せな証拠なんだ。
お休みなさい、皆……私はこれからも幸せに生きていきます。
中々シリアス多めの作品でしたが、ここまで読んでくださった方
本当にありがとうございました! 今までの作風とは違うダークな雰囲気。
分かったことは、自分はあまりダークなのは似合わないと言う事でした。
やはりハッピーエンドが至福、そう感じましたね。
と言う訳で、今度投稿するお話しは今回の様なシリアス多めよりも
ギャグパート多めで書いていきたいと思います!
もしこんな作品が読んでみたい等があれば、ご感想お願いします!
それではまた今度、新作で会いましょう。それでは!




