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裏切り少女のやり直し~200年後の再挑戦  作者: オリオン
エピローグ、夢へ向けて
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夢での対話

夢の中でまた会おう…そんなことを言われたからなのかな。

私は今日、夢を見た。あの後どうなったかはうろ覚えだけど

私は眠ったのは確かだし…そして今、夢を見てるのも確かだった。


エビルニア、今日は最高の日だな。魔王を倒せたんだ。

これからが大変かも知れねぇが、俺達とも一緒に頑張ろうぜ!


そうね、はぁ、本当に死ぬかと思ったわ。

魔王って恐いわね、苦戦したけど何とかなったわ。


ん、これで私の夢も叶えられるかも知れない。

魔物達と私達が手を取り合える未来が出来るかも知れない。


そうだね、魔王を倒したのはスタート地点だよね。

これからが本番だよ。これから、僕達は夢に向って進もう。


あぁ、一緒に目指そう、俺達が求めてる未来を。

大変なのは間違いないが、やらなきゃ何も出来ねぇからな!


「……うん、頑張ろう」


花畑という感じだった、清々しい風が私を包んでる。

私の目の前には……死んでしまったはずの仲間達が立ってた。

彼らは私に背を向けて、目の前の景色を見ていた。

あの先に何があるのか…それ位は予想出来てた。

私が行くべきではない場所だ。まだ、行ってはいけない場所。


「エビルニア、ありがとうな……お前のお陰だぜ」


勇者様が私の方を振り向くと同時に、仲間達も私の方を見た。

既に私は理解してる…近いけど、遠い距離だって。

私が少し前に進めば一緒になれる程度の距離だって。

だけど進めない、私はこれ以上、先には進めない。


「あなたのお陰で、こうやって最高の気分で前に進めるわ」

「ん……ありがとう、私の思いを忘れないでくれて」

「ありがとうね、僕達の為に必死に頑張ってくれて。

 しかし…僕だけ対面できなかったの辛いんだけど…

 酷くない? 僕だって活躍したかったのにさ」

「本当、申し訳ねぇな…」


ユーリカがちょっとだけふて腐れたけど、すぐに笑顔になった。


「まぁ良いさ、こうやって夢の中で出会えたんだから。

 ありがとうね、エビルニア!」


笑顔で私にそんな言葉を告げてくれた。

私は4人と同じ場所に行きたい……そう、心の中で思った。


「おっと、こっちには来るなよ? こっちはまだお前には早いからな」

「……だけど、私は」

「お前には俺達の分、幸せに生きて欲しいのさ

 だが俺達の事は忘れないで欲しい。

 わがままなのは分かってるが、忘れられるのは嫌だしな。

 だが、もう俺達の遺志に囚われるなよ?

 もう解放されたんだよ、お前はもう、俺達の遺志から解放された」

「あなたは必死に頑張ってくれた。どれだけ辛い思いをしても

 どれだけ自分を卑下しようとも、必死に頑張って成長したわ」

「そんな姿を見て、私達は嬉しかった……だけど、申し訳無かった」

「でも、それももう終りだよ、エビルニア。これからは幸せに生きて欲しい

 僕達の為じゃ無くて、君自身の為にこれからは生きていくんだ」


少しずつ、皆が離れて行ってるように感じた。

私の足は無意識のうちに、4人を追いかけようと動きそうになった。

だけど、そんな私の腕を掴んで、それを止めるような感覚があった。


「……リズちゃん」

「お前には最高の仲間が新しく出来たじゃないか!

 俺達以上って俺らが言うのは負けた気がするから言わねぇが

 俺達と同じくらい、尊くて大事な仲間達が出来たんだ」

「……」


リズちゃんの背後にリトさん達の様な姿が見えた。

あぁ、何だろう…この、何だろう…この気持ち。

涙が出てくる…無意識に…涙が溢れてくる。


「だから、これからは大事な仲間達や友達と幸せに生きろよ。

 大丈夫さ、その内会えるって。何処で会えるかは分からない。

 だが、お前が俺達の事を忘れないで、仲間だって思ってたら

 いつかきっと、何処かで巡り会える。人の縁ってのはそんなのさ


 現に、奇跡も1度起ったしな。大丈夫さ、奇跡は起るって。

 起そうと努力してりゃぁ、何度でも奇跡は起る。

 奇跡は行動の結果だ。諦めなきゃ、奇跡は必ずやってくる!」

「だから、忘れないでね? 私達もいつかまた会いたいから」

「うん、絶対にもう一度、何処かで会おう。

 その時、私の夢が叶ってたら、私はきっと凄く嬉しい」

「今度会うとき、また幸せそうな笑顔を見せて欲しいな

 と言うか、今度は僕も一緒に会いたい…何で僕だけ…」

「だ、大丈夫だよ! 今度は一緒に会えるって! ね!」

「……あはは、そうだね。奇跡が起れば会えるかな!」


皆…笑ってた。誰も、私を怨んでるような表情を見せてない。

これは、私が見た幻影なのか、夢なのか…それとも現実なのか。

どっちにしても、私に取っては…とても幸せな夢だった。


だって、この夢を見たって事は…私は今、私を許せたんだから…

今までずっと自分を怨み続けて、自分を否定してきた私が今…

ようやく、本当の意味で……私自身を許せた証拠なんだから……


「……うん! ありがとう…今まで私を支えてくれて。

 ごめんなさい、裏切って…あなた達を殺してしまって。

 だけど、もう誰も裏切らない、皆を裏切らない!


 私! 幸せに生きてみせるから! 私! 幸せを作るから!

 今度また会うとき、今以上に幸せな笑顔を皆に見せるからね!

 またね、皆……夢の中で、また会おう!」

「あぁ! また会おうぜ! エビルニア! 約束だ!」

「また会いましょうね、大事な仲間達と楽しく過ごすのよ!」

「ん、召喚獣(お友達)の事、よろしくね。魔物と人が手を取り合える

 そんな未来を、私、信じてるから。私達の代わりにお願いね」

「リンカ、容赦ない注文を最後にするんだね、それは大変だよ?

 だけど、エビルニアならやってくれそうな気はするけどね。

 あ、ヒューストの生き残りとかが居たらよろしくねー。

 また今度、笑顔で会おうよ、エビルニア」

「うん! また、会おう! そして、任せて!

 私は幸せになるし、魔物と人が手を取り合える世界を作る!

 ヒューストの生き残りがもし居たら、ちゃんとお願いするよ!

 私の事、これからも見守ってて……また会おうね、皆!」

「あぁ!」


全員が声を揃えて答えてくれた…私の表情は無意識に緩んだ。

皆の笑顔を見て…これがもし、私が作り出した幻想だったとしても

私達は笑顔で別れることが出来たんだ…それで良い、それが良い。


例え夢でも例え幻でも大事な仲間達と笑顔で分かれることが出来たなら。

それは、もう2度と会話が出来ない仲間達と円満な別れが出来た証拠。

また、夢の中で会おうね…皆、今度はもっと笑ってみせるし

今度はもっと、笑わせてみせるから!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 質問なんですが。 >>俺達で頑張も頑張ろうぜ! とセリフがありますが。「がんばもがんばろうぜ!」と読むのでよろしいでしょうか?それとも別の読み方があります?誤字なのか読み方が違うのか、…
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