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裏切り少女のやり直し~200年後の再挑戦  作者: オリオン
最終章、勇者達の意志と遺志
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最大の失敗作

ミルレールお姉様を倒せた。凄く順調だよ。

私達の行動は、とても順調と言えた。

だって、ミルレールお姉様を倒せたんだから。


私に取って、ミルレールお姉様は天敵だった。

だけど、そのミルレールお姉様を短期間で倒せた。

私達…もしかしてだけど、成長出来てるのかも知れない。

だけど、それはどうして? 私達は魔物を殺してきてないのに。


「…どうして、強くなれてるのかな」

「ん? そんなの私達が頑張ったからだよ!」

「違う、そ、そうじゃ無くて…どうして私達が

 ここまで肉体的に成長出来てるのか…連携は分かる。

 だけど、どう考えても前よりも私達は成長してる」


ここまで成長してるはずが無いんだ…私達は。

だって、魔物を倒して回ったわけじゃ無いし

強敵を相手に、殺しきったことは稀だった。

ジーラスの時とクロノスの時。


魔物達を殺したタイミングはいくらかあった。

だけど、あれだけでここまで強くなるとは思えない。

それに成長速度だって…明らかに勇者の特性を越えてる。


「確かに私も大分力付いた気がするからね。

 勇者の特性ってだけじゃ無いの?」

「勇者は相手を殺しきらないと成長しないぞ?

 だが、私達はそこまで相手を殺してない。

 何体かは殺したが、それだけでここまでになるとは思えない」

「うん…私もそう思うんです」


だけど、私達は異常とも言える速度で成長してた。

1年前は手も足も出なかったミルレールお姉様を圧倒できるほどに。

装備が強化されたのも勿論あるんだけど、それだけじゃ無い。


「じゃあ単純よ、勇者が2人居るから成長が早いのよ」

「そうだね! だって、私とエルちゃんの2人が勇者だもん!」

「その可能性はあるんだけど…でも、ちょっと不思議で」


確かに最も可能性が高いのはそれだとは思うけど。

うーん…何なんだろう? 私にはいまいちハッキリと理由が分からない。


「くだらない考え事は後にした方が良いんじゃ無いかしら?」

「ッ!」


正面から異常な火力の魔法が飛んで来た。

急いでドレインフィールドを展開して、私はその魔法をかき消す。


「て、テイルドール!」

「ミルレールを倒して来るのは驚いたわ。

 それも、いまいち消耗してないようだしね?」

「テイルドールお姉様…今の私達は強いよ!」


テイルドールお姉様の不敵な笑み。私達はその姿を前にする。

まるで私達の事を驚異とは考えてないような、そんな雰囲気がある。


「エビルニア、随分な口を利くようになったわね?

 死んだ後、あなたは随分とお馬鹿になってしまったようね。

 ミルレール程度を倒して、天狗になってるのかしら? ふふ」

「み、ミルレール程度…」

「えぇ、エビルニアが死んでからは、あの子が最弱よ。

 ふふ、強がっても、あの子は所詮魔法が扱えないのだから」


ミルレールお姉様が最弱…確かに私が死んだ後はそうかも知れない。

ミルレールお姉様は私の天敵だけど、姉妹の中では弱い方だよ。

一撃の破壊力だってテイルドールお姉様やレイラードの方が上。


防御力という点でも、明らかにブレイズお姉様の方が上だ。

魔法も扱え、攻撃もほぼ意味が無いブレイズお姉様に

ミルレールお姉様が勝てる見込みは皆無と言える。


ブレイズお姉様はそもそも、私達の頂点だしね。

今回は戦わないことを選んでくれたから良いけど

もしブレイズお姉様と戦いになれば、勝算は限り無く0に近い。


一応、勝つための方法はいくらか考えてきてるけど

それでも攻略できるかは怪しい…そしてもう1人

レイラード…レイラードと戦う事になっても勝算は低いよ。


「さて、エビルニア、そして勇者の御一行?

 あなた達は果たして私を倒せると思う?

 あなた達の実力はたかが知れてるわよ?

 エビルニアが居なければ、あなた達はあまりにも弱い」

「私達は強い! 私達が全員揃ってる今は凄く強い!」

「でも、エビルニア以外が死んでも大した損失では無いでしょ?

 200年前の勇者もそうだったと聞いたわ。

 エビルニアが居なければ、途中で野垂れ死んでた雑魚の集団。

 歴代の勇者の中で、最も厄介だったのは認めるけどね」

「どう言う…事?」

「他の勇者はわざわざ私達が殺す必要も無かった。

 まぁ、私が吹き飛ばしてもよかったんだけど

 お父様に止められてたのよ。だけど、奴らは違った」


私はそんな風な指示を貰った事は無い…けど

考えてみれば、私が今までの勇者を倒せたはずが無い。

私は本当に弱かった。わざと負ける必要も無く負けてたと思う。


「お父様は200年前の勇者を倒し、エビルニアを奪還するよう指示をした。

 お父様が何を恐れてたのか…今なら分かるわ。エビルニアよ」

「……何でそこで私の名前が出てくるの?」

「そろそろ自覚をしたらどう? 人の姿に転生して分かったでしょ?

 あなたの特性は成長と強奪。人だけ2つの特性があった。

 それは勇者の特性と普通の人間の特性なのでしょうね」

「人の特性が強奪って意味分からないよ!」

「あらあら、人には屑が多かったでしょ?」


テイルドールお姉様は知ってるんだ…その事を。


「強奪と成長の特性。エビルニア、お父様があなたに期待してたのは

 成長の特性。だけど、魔物であるあなたは成長しなかった。

 だから、お父様は人のなれの果てである

 人ならざる人の形との間に新たな子をもうけた。それがレイラード」

「ひ、人ならざる人の形…?」

「元人間であるが故に人に憧れを抱き続ける魔物。

 本来、そう言うのに興味が無い私だけど

 ちょっとレイラードが強すぎて探ったのよね。


 いくら何でも末っ子に舐められるのは腹が立ったから。

 そして出て来たのがこれ。ブレイズお姉様に聞けば

 わざわざ探る必要も無かったかも知れないけどね」


ブレイズお姉様は私達全員の事を完全に把握してる。

お父様の狙いも何もかも全て…それ位ブレイズお姉様は凄い。


「さて、レイラードの話題はこの際良いわ。

 エビルニア、あなたは私たちの中でポテンシャルだけは秀でてた。

 成長することが無かったせいで霞んでただけ。

 

 だから、あなたが成長してしまうのをお父様は恐れた。

 あなたは私達の中であまりにも異質な存在になった。

 お父様が作りあげたシステムを狂わせる存在になった」

「……それが私? じゃあ、お父様最大の失敗作だね、私は」

「そうよ、あなたは色んな意味でお父様最大の失敗作。

 味方時の能力は無能なのに、敵に回ればこの上なく厄介。

 あなたという失敗作が勇者と言う敵対者に付いてしまった。

 本当に最悪の失敗作よ、あなたは」


私が失敗作。そんな言葉、今まで何度も言われてきた。


「エルちゃんを物みたいに言うな! エルちゃんはエルちゃん!

 失敗作だとかそんなんじゃ無いよ! エルちゃんは道具じゃ無い!」

「道具よ、お父様にとって私達は全て道具でしか無い。

 あなた達人類を含めて、お父様の道具でしか無かった…筈なのよ。

 だけど、お父様最大の失敗作が全てを破壊する事になった。

 今のこの状況が何よりの証拠。あなた達はお父様の邪魔になる」

「私達が道具だって? ふふ、面白いじゃないの。

 なら、道具にぶちのめされる主ってどんな存在なのかしらね?

 自爆? 想像したら何とも情け無いわね」

「あなた達は所詮、生まれてしまった歪みに影響されただけよ。

 あなた達は本来、物の数では無かったはず。エビルニアだけが

 エビルニアだけが私達に取って、確実に倒さないとならない相手。

 エビルニアが居なければ、あなた達は何もすることが出来ないのだから」


テイルドールお姉様は最後の言葉と同時に魔法陣を展開した。


「く!」

「あなた達は何も出来ない」

「出来る…やってみせるんだから!」


…私は勝たないと駄目だ…

これ以上、この支配を続けさせるわけにはいかない。

私は勝つ、今度こそ勇者様の遺志を継ぐ!

例え私が消え去ろうとも、必ず…必ず!

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