表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/142

再び繋がった縁

宴会が始まり、エルフとダークエルフは楽しそうだった。

ミリアさんも皆と仲良くお酒を注ぎ合い、飲んでいた。


「最高ね! やっぱり宴会ってのはこうじゃ無くっちゃ!」

「そうだな」


エルフ達の楽しそうな笑い声が聞える。


「よし、それじゃあエルちゃん、ウルルちゃんを出しましょう」

「え? 何故ですか?」

「だって、ウルルちゃんもエルフを救った英雄でしょ?

 あの子が居なかったら、ミルレール倒せなかったかもだし」

「そうだな、確かにあの子が居ないと、危なかったかも知れない」

「そうですね、じゃあ呼びましょう」


確かにあの時、ウルルちゃんが居なかったら私が危なかったしね。

私が倒れてたら、ミルレールお姉様を出し抜けなかったし

ウルルちゃんの存在は凄く大きい。


「はい! 呼ばれて飛び出てわわわわーん!

 あなたの忠狼ウルル! お呼びとあらば即座に登場!」

「あはは、元気だね、ウルルちゃん」

「はい! それに待ってました、この時を!」


ウルルちゃんが飛び出すと同時に得意気な表情を浮かべた。


「待ってたって、何を待ってたのかな?」

「呼ばれることをです! 私、あの時のリベンジをします!」


そう言い、ウルルちゃんが人型状態に変化した。


「な、なんで唐突に?」

「あの時、使えないわねと言われたのでリベンジです!

 人型ウルルがより高性能になったことを証明します!」

「あぁ、あの時の。で? どう高性能になったの?」

「はい、母に教えて貰い、能力を上げる術を習得しました!

 ご主人! もしよろしければ、私に魔力をもう少し分けてください!」

「え? ま、魔力を分ける…え? そ、そんなこと出来るの?」

「はい! サモナーの皆様は無意識のうちに私達に魔力を与えて

 この世界で活動できるようにしてくれてると聞きました!

 ですので! 意識的に魔力を与えて貰えば可能性はあると!」

「へぇ、魔力を誰かに渡すこと何て出来るんだ! サモナーって凄い!」

「人なら出来るそうですよ! 無意識渡せる人は珍しいんでしょうけどね。

 だって、今までサモナーが居なかったんですし!」


そ、それは私がサモナーの技術を…


「さぁご主人! お願いします! 魔力を私に!」

「う、うーん…方法が分からないけど…触ってみようかな」


魔力を手元に集中させるようなイメージを持って触ってみた。


「お、おぉ! ち、力が溢れますよ! これなら行けます!

 行きます! 見せますよ! パーフェクトウルル!」


そう言って、ウルルちゃんが人の姿でジャンプするとまた煙が出て来て

煙の中から…す、凄いナイスボディになったウルルちゃんが出て来た。


「これが、パーフェクトウルル!」

「……で、デカくなったわねぇ。まぁ、私の方が大きいけど」

「く、ま、負けました…」


お、大きくなっても、性格はウルルちゃんのままなんだね。

あはは、それにしても、やっぱりリトさんに打ち負かされちゃった。

身長も負けてるし、多分大きさも負けてるからね…


「ぐぬぬ、ご、ご主人から魔力を頂いたのに情け無いのです…」

「アッハッハ! まぁ、私は結構なナイスボディだからね!

 で? その姿は能力とか上がるわけ?」

「上がりません!」

「…やっぱり使えないわね」

「グハ!」


あ、最初と同じ様に叩かれたような反応をした後狼の姿に戻った。


「うぅ、ひ、人型ウルルは駄目駄目なのですねぇ…」

「い、いやいや! 普段通りのウルルちゃんが凄いだけだから!

 そ、それに可愛かったよ! パーフェクトウルルちゃんも可愛かった!」

「ほ、本当ですかご主人!? 可愛かったですか!?」

「うん! 凄く可愛かった!」

「ご主人様ー!」

「ウルルちゃーん!」


あぁ、もふもふしてて触ってて気持ちいいや。


「何処かで見たわね、このやり取り」

「おぉ! 今度は私だってもふもふするよ!」

「まぁ、今は良いでしょう。気分は良いですし」

「ふ、楽しそうだな」

「…ミリア、私は事実上、こんな奴らに負けたのか…?」

「そうだ、今を楽しんでる奴らに負けたんだよ」

「…ふふ、そう言われると返す言葉も無いな」


やった、今回は沢山ウルルちゃんをもふもふ出来たよ!

しばらくの間、もふもふしてると、ウルルちゃんが眠っちゃった。

あはは、ダークエルフやエルフ達に遊んで貰って楽しかったんだね。


私はウルルちゃんを元の世界に帰してあげて、あのやり取りを思い出して

何だかまた頬が緩んじゃった。やっぱりウルルちゃん、可愛いなぁ。


だけど、そんな風に私が楽しんでる間にエルフ達がダウンした。

ウルルちゃんを撫でてるときも酔ってた様には思えたけど

まさか、もう酔っ払ってダウンしちゃうなんて。


エルフの雫はかなり美味しいというのは今までで分かってたけど

エルフ達がお酒に凄い弱い事は今日知った。


「うぅ…」


エルフとダークエルフは少しだけ酒を呑んだだけで酔ってた。

酔ってないのはミリアさんとフレッグさん位だった。


「ふ、やはり他のエルフ達は酒に弱いな」

「普段飲んでないなら、当然だろうな」


2人の楽しそうな雰囲気を見たリトさんとミザリーさんが

少しだけ距離を取り、お互いに酒を交わす事になった。


「……ミリア、良い仲間が出来て…良かったな」

「あぁ、最高の仲間だ…彼女達に出会ってなければ…」

「……お前は、その仲間達の役に立てたと…思うか?」

「思うよ」


ミリアさんが優しい笑顔をしてフレッグさんの問いに答えた。

その後、私達の方を見渡し、もう一度優しく笑った。

その表情を見た後、フレッグさんも嬉しそうに笑い

乾杯の後、再びお互いに酒を飲み干す。


救い出せて歓喜するというわけでは無い

とても静かなやり取りだけど、楽しそうなのが分かった。


「本当、助けられて良かったわね、ミリア」

「一緒にお酒を呑めば良いじゃ無いですか。

 わざわざ距離を取らなくても」

「あんな楽しそうなやり取りに水を差すわけにはいかないでしょ?

 私は意外と空気を読めるお姉さんなのよ。

 ミリアの方が遙かに年上だけどね」


ミリアさんは最低でも200年以上は生きてるからね。

リトさんと比べたら、全然差があるって言う感じ。

多分ミリアさん、私よりも年上だしね。


「…ふ、今日は記念日だな…私達の記念日。

 静かになったが、こんな静かな時間こそ私達には相応しい」

「私も少しは騒がしいのに慣れたが、こう言うのも悪くないな。

 じゃあ、フレッグ…もう一度乾杯するか?」

「あぁ、再び戻ったこの里に」

「再び戻った、私達の縁に…」

「乾杯」


ガラスとガラスが当る、高い音が周囲に響いた。

静かなこの里には、その高い音は良く響く。

この音が里全てに届いたと言われても違和感は無い。

ダークエルフとエルフの遺恨が終わったと言う福音に思えた。





「うぅ…酔った…」

「フレッグ、意外と酒弱いんだな」

「み、ミリア…いつの間にお前はそこまで酒が強く…うっぷ…」

「ふふふ、伊達に飲み仲間が居るわけではないからな」

「う、羨ましい…」


あはは、それからしばらくの間飲んだけど、フレッグさんがダウン。

ミリアさんは今までリトさんやミザリーさんと飲んでたから

意外と、酒に強くなってたのかも知れないね、あはは。


「はぁ、し、仕方ない。もう少し飲みたかったが…

 私も休むとするよ、ミリア。明日、また会おう」

「あぁ、お休み、フレッグ」

「……ふふ」


お互いに笑顔を向けあった後、フレッグさんは部屋に戻った。

ミリアさんが過ごしてた部屋だったね。


「…良かったわね、ミリア。親友を取り戻せて」

「あぁ、皆のお陰だ…ありがとう」

「それで、ミリアさん…目的を達成したわけですが…」

「どうした? そんな不安そうな表情なんか見せて」

「だって、あなたが今まで私達に付いてきてた理由は

 フレッグさんに勝てるくらいに強くなる為。

 今、あなたはフレッグさんに勝利し、そして取り戻した。

 もう、あなたが私達に付いてくる理由は…無くなりました」

「え!?」


ミザリーさんの言葉を聞いたリズちゃんが驚いた表情を見せる。

きっとリズちゃんはこの後、ミリアさんが抜けるとは思って無かった。

そう言うの、意外と考えないのがリズちゃんだしね。


「…ふ、ミザリー、心配は不要だ。私は今まで通り皆に付いていく。

 魔王を倒すその時まで、私は勇者の仲間として一緒にいくさ」

「よ、良かったぁ! もう驚いたよ! うぅ!」

「おっと、リズ。不意に抱き付かないでくれ」


一安心して嬉しかったんだろうね、リズちゃんが抱き付いた。

抱き付かれたミリアさんも少しだけ嬉しかったようで

ちょっとだけ笑いながら、リズちゃんの頭を撫でる。


「私は皆に救われた、その恩を返さないわけが無いだろう?

 そもそも、恩が無かろうと、私は皆に付いていく。

 それに私がエルフの里に残ったら、フレッグに怒られてしまう」

「そうね、エルフの子達もあなたに反感を抱きそうだしね」

「あぁ、ま、そう言うのが無かったとしても、私は付いていくがな。

 ここで抜ければ、私は私が嫌いになってしまう。

 リズ、いつか言ってたな。自分を嫌いにならない選択をするべきと。

 私も、お前の言葉に従い、自分を嫌いにならない選択をするよ」

「えへへ、ありがとう! ミリア姉ちゃん!」


リトさんとミリアさんは自分の過去を乗り越えた。

リトさんは辛い思いをしながらも

親友や家族の姿をしたアンデッドを倒し

親友と家族を殺したアンデッドの長を倒した。


ミリアさんは自分の弱さ故に失ってしまった親友を

強くなり、そして勝利する事で取り戻した。

過去の過ちを2人は自分の力で乗り越え

そして、強くなり前に進むことになった。


なら、今度は…今度は私の番だ。私の番だよ。

自分の弱さ故に奪ってしまった…大事な人の意思を

今度こそ…今度こそ必ず…必ず成し遂げる!

私も乗り越える! 2人と同じ様に乗り越えてみせるよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] ウルルことホワイトウルフとナイトウルフは同一?なんか同一っぽくないよね。野犬と狼では全然違うだろうし。どうなの? [一言] 題名:再び奪還へ >>破壊力でいれば、国なんて ●:いれば→…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ