のんびりとした夜営
「じゃあ、はいこの魔法だね」
「どんな魔法?」
「相手の強化魔法を解除する魔法だよ、リトさんと戦う時に
この魔法が使えたら、リトさんに勝てちゃうかもね!」
「おぉ! リト姉ちゃんに勝てるなら覚える!」
「ちょ、ちょっと! 何そのインチキ! 卑怯よ卑怯!」
「今度は勝つからね! 自力で!」
「ぐぬぬぅ、こ、これは不味いわね、エルちゃんに負けるならまだしも
リズちゃんに負けてしまったら、年上として面目が立たないわ…
わ、私にも教ええてよその魔法!」
「だーめ! リト姉ちゃんは見張りだよー」
「くぅ! 不味いわ!」
あはは、まぁあまり実用性がある魔法とは言えないんだけどね。
強化魔法はあまり使う魔法使いが居ないからね。
でも、リトさんみたいに強化魔法を覚えて肉弾戦で戦う
そんな感じの相手が居るかも知れないし、接近主体のリズちゃんなら
この魔法を覚えていれば、かなり有利に立ち回れるかも知れないよ。
私のドレインフィールドも強化魔法は直接触れてないと奪えないから
こう言う相手の強化を打ち消す魔法って言うのは便利だ。
強化魔法主体で立ち回ってる相手に直接触れる何て危険すぎるからね。
「ふふ、楽しみにしてますよ?
リトさんがリズさんに打ち負かされる瞬間を」
「この…ひ、人ごとだと思って…」
「あはは、じゃ、じゃあリトさん、この本をどうぞ」
「ん? 何この本」
「その本に強化魔法を打ち消す魔法、リセットの事が書いてます。
ほ、本を読みながらだったら、見張りしながらでも」
「良いわね、まぁここは暗いから読みにくいのだけど…」
「ライトで明るくしますか?」
「いやいや、そっちももうライト消してるでしょ?
もう暗くなるし、明るすぎると目立つからね。
焚き火の明かりでちょっと読むわ…多少目は良いし」
「むー! エルちゃん、そんな事しちゃったら
リト姉ちゃんに私が勝てなくなるじゃん!」
「あなたの方が好条件でしょ!? エルちゃんに教えて貰えるんだから!」
「あ、そうだね、それなら勝負にならないね!」
「く、絶対にマスターしてやるわ」
あはは、変な所でバトルが始まっちゃったね、原因私だけど。
でも実際、強化魔法で自身を強化して戦うリズちゃんやリトさんは
このリセットを覚えたら、かなり有利に立ち回れるからね。
「はぁ…しかし、最初の頃はのんびりしてたのに最近は大忙しね」
「最初の頃はどんな感じだったんだ? リト」
「ミリア、あんたなんで起きてるのよ、寝てなさいよ」
「エルフはあまり睡眠とかは必要無いからな」
「はぁ、便利ねぇ、エルフの体って」
「で、どうだったんだ? 最初の頃は」
「あの子達? そりゃね、年相応って感じだったわよ?
まぁ、エルちゃんはあまり変ってないけどね。
今まで通り、部屋に籠もって魔法陣の研究ばかりしてたわ」
あはは、懐かしいな…まだそんなに時間経ってないけどさ。
「で、リズちゃんは…そうね、胸の事を気にするような感じだったわ」
「胸? そんな風には見えないぞ?」
「あぁ、一緒にお風呂とか入ったらそこに注目するようになるらしいわ」
「むぐぐ…そ、そう言えば…私、大きくなってない!」
「そう簡単に大きくなる訳がないでしょ? 大丈夫ですよまだ小さいし」
「ちょ、ちょっとは大きくなってると思うんだけどなぁ…」
「正直、ミザリーの方が気にしてそうだけどね、そこは」
「く、クレア先輩!?」
「え? ミザリー姉ちゃんも小さいの?」
「そ、それはまぁ…その、私、あまり背が伸びないですし…
もう20過ぎてるのに、未だに高校生みたいって言われますし…
最悪の場合は中学生見たいとか言われるんですよ!
胸だって全くデカくなってません! 中学生の頃からね!」
「なぁ!」
み、ミザリーさんが無意識のうちにリズちゃんの心を攻撃した。
「おや? どうしました?」
「…で、デカくならない事って…あるんだね…」
「まぁあるでしょうね、生活習慣が悪ければ特にね」
「よし、私もう寝る!」
「え? あ、魔法の勉強は…?」
「あ、そ、そうだった…ま、魔法の勉強するもん!
大きくならないより弱いままの方が辛いもんね!」
「おいリト、お前が変な事を言うからリズがふて腐れたぞ?」
「いや、あれはあなたが悪いわ、ミリア」
「まぁ…所でリト、お前は大きいのか? 小さく見えるが?」
「あぁ、私凄く着痩せするタイプなのよね、ほら」
リトさんが当たり前の様に胸を開けた…
「な、何やってるんですかあなたは!」
「え? いや、着痩せしてるってのを証明しようとね」
「いやいや! ここで開けないで下さいよ! 馬鹿ですか!?」
「大丈夫だって、同性しか居ないし」
「ふーむ、なる程デカいな、私よりデカい。
やはり人間はデカくなるんだな、私達は基本小さいぞ」
「エルフってそこまで大きくないのね、絶世の美女らしいのに」
「胸が美しさの基準では無いと言うことだろう。スラッとした体の方が
やはり美女という感じなんじゃ無いか?
ほぅ…意外と柔らかいんだな、リト」
「当たり前の様に触ってくるのね、まぁ柔らかいでしょ? 胸だし」
「腹筋バキバキだから、ここも硬いかと思ったが、そうでもないんだな」
「ここまで硬かったら、逆に恐いわよ」
「あなた達! 当たり前の様に何やってるんですか!?」
「いやぁ、仲が良いね、私もあんな風に仲の良い友人欲しいわぁ…」
「クレア先輩も止めてくださいよ!」
「いやいや、私達は依頼を紹介するだけで冒険者の自由を奪うわけじゃ無いし。
それに、そんな必死に止める必要無いって、ただ仲良くしてるだけじゃ無い。
喧嘩とかしてたら流石に止めるけどね」
「もう!」
あはは、ミザリーさん大変そうだなぁ。
でも、あのクレアって人、ミザリーさんからかってるの楽しんでるように見えるよ。
「ぐぬぬ…私も大きくなりたいなぁ…どうすれば良いかな?」
「誰かに揉んで貰えば大きくなるって聞くけどね」
「本当!? じゃあ、エルちゃん私のお胸を揉んで!」
「なんで!?」
「クレア先輩! 何を馬鹿な事を教えてるんですか! このアホ!」
「あ、アホって、は、初めて言われたかも」
「り、リズちゃん、多分好きな人に揉んで貰わないと大きくならないよ…?」
「なら大丈夫! 私エルちゃんの事好きだし!」
「そ、そう言う意味の好きじゃ無いよ! それに揉んでも大きくならないから
やっぱり毎日栄養バランスの良い食事をして、規則正しい生活をすれば」
「私はそんな生活しなくても大きくなったけどねー」
「や、やっぱり大きくなる人は決ってるんだね…」
「リトさん! もう、そんな風に挑発しないでくださいよ!
リズちゃん、結構本気で悩んでるんですから!」
「ごめんごめん、まぁ人生楽しんでたら多分デカくなるわよ、うん」
「じゃあ、毎日楽しんで過ごす!」
「そうそう、それで良いって、多分いつの間にかデカくなってるから
……知らないけど」
リトさんが最後の方に凄い小声で呟いた…何か無責任だなぁ。
「しかしミザリー、あなたも結構楽しそうだよね。
でもほら、嫉妬してないで参加すれば良いと思うけど」
「嫉妬なんてしてません! 教育に悪いから怒ってるんですよ!」
「そんなにキレてると、おっぱいが育たないわよ-?」
「もうそんなの諦めてるのでどうでも良いですね!」
「じゃあ、怒ってると背が高くならないわよ?」
「ぐぅ…そ、それは流石がに応えます…私、このままでは
リズさん達にも身長抜かれてしまうのでは…?」
「若干しか変らないしね、すぐ抜かれると思うよ?」
「くぅ…牛乳って効果あるのでしょうか…」
「多分効果あるって……もう手遅れだと思うけど」
「クレア先輩! そこは嘘でも効果あると断言してください!」
「わ、悪かったって! だから、そんなに揺らさないでぇ!」
あはは、やっぱりクレアさんとミザリーさんって仲良いなぁ。
今は結構危ない状態なのに、そうとは思えないよね。




