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失敗を教訓に

「どうもー」

「あ、クレア先輩…え? 馬車を操るのはクレア先輩ですか?」

「まぁ、一緒に戦う事は出来ないけど軽く協力はね」


久しぶりに会ったな、クレアさん。

ミザリーさんの先輩さんらしいけど。


「あまり戦力を避けないからね。

 本当なら兵士連れて行って貰いたいけど

 男しか居ないからね、ジェルなら大丈夫だろうけど

 ジェルはほら、私の近衛だし最高戦力だからさ」

「進言したんだが、リンカ女王は絶対に駄目だと言ってな。

 俺も馬車は操れるんだが…」

「ジェルが動いちゃったら兵士達の士気低下するしさ。

 まぁ、ジェルの部下なら大丈夫かなって思うけど

 私としても、いざと言う時に指揮が執れる兵士が居ないのはね」

「確かに今は国もボロボロですからね、魔物の襲撃があるかも知れません」

「そう言う事、だからまぁ、居なくても平気な受付嬢が良いかと」

「た、確かにその通りですけど…よ、容赦ないですね…

 ちょ、ちょっと胸に突き刺さりました…」


あ、あはは、た、確かにあの言葉は容赦ないかな。

まぁクレアさんが必要無いと言ったわけじゃ無くて

受付嬢が今はあまり沢山要らないってのが正しいんだろうけどね。


冒険者も大分数が減ってきたみたいだし。

満足に動ける冒険者の数はドンドン減ってきてる状態だから。


「と言っても、動ける受付嬢は結構レアなんだけどね。

 貴族や王族の息が掛ってない受付嬢も中々レア。

 勇者候補の専属はほぼ全員操り人形だったし」

「そうなの!?」

「そうそう、だからミザリーは凄くレアなんだよね」

「私も貴族や王族の操り人形みたいな物ですよ…

 だって最初は…上の命令に従って…」

「でも、今は違うっしょ? あはは、元々あなたって優秀じゃん?

 専属になった冒険者の生存率No.1だしね。

 まぁ、命令に背くことが多かったみたいだけど」

「命令通り動いてたら、冒険者の方は死んでますし…」

「そう言う判断が出来るってのが凄いんだよね。

 うんうん、私はそう言うの気に入ってるんだよね。

 だから、クビにならないよう、お父様にお願いしてたの」

「そ、そうだったんですか!?」

「そうだったんですよー、と言う訳で、今回も期待してるよ!

 勇者の皆を死なせないよう、ちゃんと頑張ってきてね!」

「は、はい」


へぇ、ミザリーさんが今までやってこれてたのはリンカ姫様のお陰なんだ。

やっぱり努力をすれば、必ず誰かが見てくれるって事なんだね。


「よし、じゃあしゅっぱーつ!」

「はーい」


私達を乗せた馬車はゆっくりと移動を始めた。

中々衝撃的な話を聞かされた。

だけど、私達は進む事にした。


「ふーんふふーん、いやぁ、3度目かな? 馬車!」

「私はあまりこう言った遠出はあまり好かないのだけどね」

「どうしてだ? 私は好きだぞ? こんな風に方々を回るのは」

「いやだってさ、私って遠出する度にろくな目に遭わないのよね」

「そうなんですか?」

「そうそう、だってさ、あなた達と合流するまでの間でもさ

 既に2回くらいろくでもない目に遭ってるわけで。

 で、あなた達と合流した後ももう3回くらい面倒な目に遭ってるしね」

「そうだっけ?」

「1度目はミルレールに襲われて、2度目は魔術師に襲われて

 3度目はクロノスに襲われて、4度目は…あ、4度目ね。

 えっと、4度目はブレイズに襲われて…ドラゴンとやり合ってさ」

「そ、そう考えてみると、散々だね私達」

「これは5度目でまた魔王の娘に襲われても違和感無いわー

 魔術師の襲撃後って考えると、テイルドールとか?」

「そんな事になったら一大事だな」

「…私、大丈夫かしら…ミザリー、不安なんだけど」

「まぁ、勇者様のお付きなので覚悟していて下さい先輩。

 勇者って何かと不幸体質と聞きますし」


少し不安はあるけれど、私達はそのまま進んでいった。

意外と襲撃が来るかもと思ったけど、案外大丈夫そうだね。


「ふぅ、今日はここでひと休みとしましょう」

「そうですね、じゃあ見張りは私がします」

「いやいや、私とミリアで回すから大丈夫よ」

「えへへ、とかいって、またお酒飲んで酔っ払うんでしょ?」

「い、いつの話よ! そ、そんなヘマはもうしないって!」

「あぁ、流石に反省したからな…それに今はリトも元気そうだし

 わざわざ酒を呑ませる必要は無いと思うしな」

「あー、そう言えば私、奪還後にお酒飲んで無くない?

 はぁ、しばらく暇だった間に酒場にでも行けば良かった…」

「依頼で向ってる国に到着すれば飲めば良いだろう?

 奪還した後なら、快く飲めるぞ?」

「そうね、それまで我慢かぁ…はぁ、エルフの雫飲みたかった…」

「また飲ませてやるさ、少なくとも今は駄目だがな」

「うぅ、分かってるわよ。流石にあんな思いはしたくないしね」


今回はお酒を呑むのは止めてくれるみたいで安心した。

まぁ、酔っ払っても私達が見張り出来るから良いんだけどね。


「飲めば良いじゃん、酔っても私達が見張りするからさ」

「む、それは魅力的なお誘いね…でも飲まないわ!

 あなた達にあまり苦労を掛けるわけには行かないしね。

 こう言うしんどいことは、私達大人がするべきだしね」

「でも、大丈夫ですよ? 私は夜更かし得意ですし」

「まぁ、1番見張りで安心出来るのはエルさんですからね。

 魔法使いとしての実力を考えれば、あなた達より断然安心出来ます」

「その、当たり前の様に貶さないで欲しいのだけど? ミザリー。

 いや確かにね? エルちゃんが1番実力があるのは間違いないけど

 これでも私、結構年上なのよ? 最年長とは言えないけど」

「最年長は私だからな、いや、違うか? いや、やはり私だろう。

 長く連続で生きているのは私だからな、何百年も生きてるエルフだし」

「で、次が私でその次がクレアかしら、で、ミザリーにリズちゃんってね」

「1人だけ年齢がぶち抜けてるのですけど…? 桁がおかしいような…」

「エルフだからな、私達のパーティーなら私が最年長だ」

「クレア先輩、勇者様の御一行ですよ? 次元が違うのは当然です」

「そ、そうね…よく分かるわ…会話を聞けば聴くほどに…

 何か、当たり前の様に魔王の娘とか出てるし…」


ふ、普通の人からしてみれば、私達の戦績は異常だからね。

勇者基準で言えばそうでもないのかも知れないけど。


「ま、とにかく今日の見張りは私達がするから

 2人は安心して眠りなさいな。子供は寝る時間よ」

「まだご飯食べてないよー」

「そ、そうね…じゃあ、ご飯にしましょうか、マジックバックで…

 ……ヤバ! マジックバック忘れてきた!?」

「はぁ!? 何やってるんですかリトさん!? 馬鹿ですか!?」

「ば、馬鹿は酷いわね馬鹿は! あっちゃー…部屋にあるわ…」

「ま、まぁ再確認しなかった私達にも非はありますし。

 そもそも別にマジックバックが無くても問題ありませんし」


普段携帯してる紙を取り出して、軽く魔法陣を組んだ。


「はいどうぞ」

「本当、あなたが居ると安心感違うわね…っと」


リトさんが私が書いた魔法陣から食料を取り出す。


「……えぇ!? 何あの子! 何したのあれ!?」

「マジックバックと繋げただけです」

「当たり前の様に規格外のことしないで下さいよ!

 こ、これが勇者ですか!? 勇者恐すぎでしょ!?」

「あ、いや、これは勇者とか関係ないんで…

 その、技術というか…そう言うのでして」

「まぁ、こう言うのがあるからあなたってマジックバック

 普段から持ち歩いてないんだっけ? 宝の持ち腐れよね」

「こう言う方が動きやすいし、便利ですからね。

 よいしょ…だから、はい、こんな風に色々な本も出せます」

「ぜ、全部魔法に関する書物でしょ? それ」

「はい、研究しました。えっと、とりあえずこの魔法ですね。

 はい、ライト。うん、明るくなりました」

「明るすぎて昼みたいになってるわよ…それも明るすぎないくらいの」

「明るすぎると眩しいですからね、これで本が読めます」

「あはは、エルが居ると安定感が違うな…」

「エルちゃんみたいに私も魔法を上手く使えるようになるよ!

 と言う訳で、教えてー」

「分かったよ、今日はリトさんとミリアさんが見張りをしてくれるね」


今日はリズちゃんに色々な魔法を教えよっと。

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