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再び奪還へ

ロッキード王国が協力してくれると言うだけで

私達には大きな進展になった。

だけど、魔物の活性化が止まったというわけじゃ無い。


「はい、と言う訳で依頼を用意しました」

「ん? 勇者でも依頼とかある訳?」

「ありますよ。今までよりもどぎついのがね」


そう言って、ミザリーさんが依頼書を見せてくれた。

そこには…国の奪還という最近何度もしてる依頼内容があった。


「また奪還?」

「はい、今度は擬似的な不死者が相手という話を聞きました」

「擬似的な不死者って何?」

「魔力が尽きない限り死なない存在だよ。擬似的な不死者ってのはね」

「え? 何それ…恐いんだけど…」

「最上位クラスだと危険ですけど、下っ端レベルなら大した事ありません。

 それに、擬似的な不死者の最上位とは私達、戦ってますしね」

「だ、だれ? そんなの…」

「ブレイズお姉様です」

「な…」


ブレイズお姉様は擬似的な不死者とお父様の間に生まれた存在。

だから、ブレイズお姉様を正攻法で倒すのは困難極まりない。


「勿論、ブレイズお姉様は魔力が切れない限り死にません。

 ですがそもそも、ダメージすら与える事が出来ないんです。

 どれだけ強力な魔法を放とうと、どれだけ強力な一撃を与えようと

 ブレイズお姉様が独自で開発してる、常時発動の反射魔法がある限りは」

「…そ、それを仮に突破出来ても、ぶ、ブレイズは死なないって事よね。

 と言うか、何そのインチキ魔法…常時反射って…」

「どれだけ強力な攻撃も一定の魔力で反射してしまう恐ろしい魔法です。

 例えばテイルドールお姉様の最高火力であるワールド・エンド

 自身の魔力を全部放出する魔法なんですけどこれを使っても無傷です。

 破壊力でいえば、国なんて一瞬で消し炭になる位ですよ」

「嘘…そ、そんな恐ろしい…はぁ? マジで?」


テイルドールお姉様最大の魔法、ワールド・エンド。

テイルドールお姉様の異常な程の魔力を全て放出する魔法。

でも、テイルドールお姉様の場合は即座に魔力が回復するから

これを使っても、何の反動も無いと言うインチキ具合。


最大最強の技を何のリスクも無く放てるんだ。

本当に正攻法で勝つのは困難な相手だと言えるよ。


「勿論ですけど、ブレイズお姉様の常時反射には弱点があります」

「どんなの?」

「話を聞いていれば、多少分かるかも知れませんけど

 何度も威力が低い魔法を当てていけば崩せます」

「あ、そうだね! 一定数の魔力消費で反射するんだっけ!」

「うん、でもね…ブレイズお姉様は姉妹達の中で最強なの。

 そんな弱点があって、それに対策が無いならブレイズお姉様が最強じゃ無くて

 最強は無尽蔵に魔力を生成できるテイルドールお姉様になるんだよ」

「…どう言うこと?」

「ブレイズお姉様は姉妹の弱点も長所も全て把握しています。

 勿論、自分の弱点だって理解しています。だから、ブレイズお姉様は最強。

 自分の弱点を把握し、反射の魔法以外で相手の攻撃を防いだり

 回避することにも特化してます。本当の弱点と言えば…

 ブレイズお姉様は家族にとてもとても甘いと言う事くらいですよ」

「…そうね、それはよく分かったわ。あの場面でね」


私を取り返したときの事だと思う。

ブレイズお姉様はあのまま無理矢理私を連れ帰ることも出来た筈。

だけど、ブレイズお姉様は撤退という選択をした。


私を無理矢理にでも奪還しようと思えば出来たのにしなかった。

そう言う事だよ…ブレイズお姉様は私達姉妹に優しすぎる。


「しかし、それがブレイズか…戦いたくないわね、色んな意味で」

「避けれるかも知れませんし、まぁその話は良いでしょう。

 今はほら、新しい依頼の方をですね。


 どうも、ロッキード王国の件以降

 魔物の活性化が過去最高になってます。

 色々な国が魔物に制圧されたという話を聞きますからね。


 その中で最も奪還が困難だと思われるのは

 このビルドンス公国です。領土は多いのですが

 戦闘を重きに置いた国家では無いため奪還は困難。

 と言う事で、依頼という形でギルドに回りました。


 現状、国王様がリンカ女王に変りましたからね。

 勿論、彼女からの依頼と言う事になりますね」

「リンカ女王から直々にってのは凄いわね」


何か大きな理由があるのかも知れないね。

何も理由無く何かをするとは思えないし。


「と言う訳で、私がお話しするね-」

「リンカ女王…また仕事を」

「いやほら、タイミング見計らって出て来たしセーフだって」

「いや、私は仕事をさぼってこんな事をしていることにですね」

「大事な事なんだって。おほん、えっとね、勇者の皆さん。

 このビルドンス公国だけど、他国と比べて非常に友好な国なの。

 それに、この国には私と一緒に夢を語った友達が居るんだよね」

「夢ですか?」


夢を語る…そんなにも仲が良い友達が居たんだ。


「そうそう、魔物も人も手を取り合って過ごしたいなーってね。

 殲滅って言うのは中々酷じゃん? だから、交流手段を探そうってね。

 歴史上にはサモナーって言う魔物に近い存在と協力して戦う

 そんな職業があったとか聞いたし、可能性あるかなって」

「サモナー…ですか」


…何処かで聞いたような話だった…ずっと昔に聞いた話。

女王の名前だって、ずっと昔に聞いたような名前だしね。

何だか、とてもとても懐かしい気持ちになった。


「そうそう、サモナー。今は居ないみたいだけど、何とか復刻させて

 こう、サモナーに協力して貰えば、もしかしたら出来るかもってね。

 で、ビルドンス公国の姫様のユリアスって子が居るんだけど

 その子に協力して貰って、サモナーを一緒に探してたんだよ。


 まぁ、見付からなかったけどね。それにまぁ、あそこの国は

 非常に国民と王様…とは、違うのか。貴族かな? まぁ、そんなの。

 支配してる人と国民の仲が良い国でね、同盟組もうとしてたんだ。


 お父様は小国に用は無いとか言ってたけど、まぁ今度から私が女王。

 急いで書類とか、そこら辺整理した後に同盟組もうとしてね。

 でも、襲われたらしくて…滅んだら同盟も何も無いからね。

 あそこは兵士や軍事施設の強化は殆どしてないからね。

 

 技術で国として金銭を稼いだりしてる、平和的な国なんだ。

 だから、失うわけにはいかないんだよね。人類にとって大きな損失だ。

 報酬の方はこっちで持つから、お願いできるかな?

 勿論、凄く危険な事は分かってるけど、既に君達は国を2つ救ってる。

 ついでに3つ目も救って欲しいと言うことだよ」


さ、さらっと凄まじい高難易度な事を依頼してくるね。

国を救えって、当たり前の様に言ってるけどそれは英雄クラスだよ。

とは言え、私達は既に勇者の一行…国1つを救うくらいやらないとね。


「さて、当たり前の様に容赦ない依頼が飛んで来たわけだけど、リズちゃん?」

「勿論やる! 困ってる人が居れば助ける! そう決めたんだから!」

「ん、ありがとう、そう言ってくれると思ったよ。

 移動手段の方は用意してる、お願いね」

「うん!」


私達はリンカ女王が用意してくれた馬車に乗った。

今回は馬車を動かしてくれる人も一緒に居た。

うん、何だか私達、大忙しだね。あはは、流石勇者の一行だよ。

……うん、頑張らないとね、私達も。

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