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0.プロローグ

初めての投稿です。

下手の横好きということで、片手間にでも読んで頂けたら幸いです。




「貴女の宝石のような瞳に留まれる、唯一の男になりたい」


 王宮の庭園で、四方からざわめきが起こる。

 五歳のお披露目に参加する令息令嬢たちだけでなく、その両親や王宮勤めの侍女たち、配属されている護衛騎士らも皆一様に、一人の少年と少女に釘付けになった。


 愛を告げたのは、ゆるく波打つプラチナブロンドにスフェーンの瞳をした、御歳五歳になられたばかりのこの国の第一王子。


 愛を告げられたのは、同じく五歳のお披露目に参加した公爵家のご令嬢。


「一目惚れしました。僕の妃になって欲しい」


 両親である国王陛下と王妃陛下はごくりと唾を嚥下する。

 本日のお披露目にて公爵家令嬢の為人を確認してから公爵当主に婚約の話を振る予定だった。

 まさか先駆けて息子が件の令嬢に一目惚れし、踏むべき段階をまるっとすっ飛ばして公開プロポーズなんてものを仕出かすとは思っても見ない。


 王族からの求婚だ。筆頭貴族であれ、公爵令嬢に否と返答することは許されない。ましてや他の貴族たちの衆目があるのだ。

 少女に選択肢はない。


 やらかしてくれたな、と国王は額を押さえた。

 子煩悩で有名な公爵の顔を見る気にもなれない。


 さわさわと庭園を流れる風が木の葉を揺らす音がする。

 むしろ誰一人として言葉を発することも、身動きすることもない空間で聴こえてくる音は葉擦れだけだ。


 断ることの出来ない状況に追い込まれてしまった公爵令嬢は、濡羽色の艶やかな長い髪を風に遊ばせ言葉もないようだった。


 ―――いや、周囲の予想とは何やら様子が違う。

 ぱっちり二重瞼のバミューダブルーの瞳を王子にひたと据え、淡いラベンダーカラーのドレスの腰に両手を添えると、桃色に色づく小振りな唇をゆっくりと開いた。



「―――――――――断る!!」











「………え?」


 断られるとは露程も思っていなかった王子はぽかんと呆けた。

 周囲も同様である。


 公爵だけはよく言ったと言わんばかりの満面の笑みで頷いているが、それはやはり公爵だけであった。同席している公爵夫人でさえ「あらまあどうしましょう」と困惑を隠せない。


 斯くして第一王子による公開プロポーズは、まさかの辞退されるという逆公開で幕を閉じた。



 この出会いから長い付き合いになることを、グレンヴィル公爵家長女レインリリー・グレンヴィルと、バンフィールド王国第一王子シリル・バンフィールドを含めた誰もが知る由もなかった。



なるべく速いスパンで投稿を目指したいと思います!

楽しんで頂けるよう頑張ります!

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