嗚呼
最近までは、ずつと、雨が降つていたのです。
私は雨が嫌いなのです、怖いのです、殴られふ。
思わず、泣いてしまふのです。
彼は自由を奪ふ。
彼は笑ふ。
私は泣ふ事しか出来ませぬのです。
傘で殴られふ。
血が弾ふ。
汚いと、彼は騒ふのです。
痛いと、私は泣ふのです。
其れ故に、私は、雨を拒ふのです。
彼は昨日、殺されてしまつたよふです。
私は本当に嬉しかつたのです。泣きながら喜んだのです。
そうです、彼には天罰が下つたのです。
皆は、私に嫌悪を向けふのです。
仕方がない事です、皆は寂しいのですから。
皆は言ふ事しか出来ませぬのですから。
私は、皆の中の一人を殴つたのです。
痛いと、彼は泣ふのです。
彼は言ふのです。
お前に人の心はありや?
うるさいと言つて、私は彼を殴りました。
そして、耐えられなふなり、彼は死んでしまつたのです。
首を吊つて死んでしまつていたのです。
遺書もあり、私の名が書かれていたのです。
私は泣ふ。
神様はきつと、私に天罰を下ふのでしよう。
私は泣ふ。
総ては、彼の所為だと言ふのに。
私は泣ふ。
私は泣き続けるのです。
私にではなく彼に天罰が下ふ様に泣きながら願ふのです。
私は泣ふ。
嗚呼、此処は、とても、寂しい。