表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/338

第四十回

 上山がドアを開けると、そこにはまぎれもない滑川なめかわ教授が何やら得体の知れない機械を前に、じっと腕組みをして考え込んでいた。ドアの開く音もお構いなしに、である。

「教授! おはようございます。田丸工業の上山でございます…」

 教授は、ようやく機械から目を離し、上山を見た。

「おお、来おったか! 何を見たいのかは、よう分からんが、まあ、しばらく見ていきなさい。ただし、茶も何も出んぞ! ははは…」

「はあ、そのようなものは結構でございます」

「そうか? ならば、そこの椅子に座って、ゆっくりしていきなさい」

 教授は、そう云うと、ふたたび目前の機械を見ながら腕組みをした。上山には、その機械がどういうものなのかは、まったく分からない。解明するには、教授が口を開かない以上、ただじっと教授の一挙手一投足を見守るしかなかった。その教授は奇妙な機械に対峙し、にらみ合った相手を威圧するかのように、不動の腕組み姿勢のまま座っているだけなのだ。もちろん、時折り椅子から立ち上がることはあるが、ただ機械を上から見るだけで、また座ると不動の姿勢になるのだった。これでは、たまったものではない。そう上山が思い、腕を見るともう十時を過ぎていた。小一時間は無為に時間を費やしたようであった。この約一時間の時の流れの中で上山がつかんだものといえば、散髪をしていない教授の不精頭と、口の周りに、これも不精に生えた白髪しらが混じりのひげだけであった。フゥ~っと思わず溜息をついた時、幽霊平林が現れた。むろん、上山に見えるだけであって、教授には何も見えない。

 その時、教授が腕組みを解いて、あわてた様子で機械の方へ前屈かがみになった。そして、より一層、シゲシゲと機械を見始めた。そういや、機械に付いているVUメーターの針が激しく揺れ、オレンジのランプが点滅し始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ