表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
338/338

最終回

『ははぁ~~』

 霊界司に命じられた霊界番人の光輪が一瞬、ピカッ! と閃光せんこうを放った。その瞬間、人間界の上山に異変が突如、起きた。俄かに意識が遠退き、上山は気絶したのである。

「課長!! 課長! …。亜沙美! 電話だ!」

「はい!」

 岬は必死に上山を抱き起し揺さぶったが、上山の意識は戻らなかった。

 赤い回転灯を輝かせた救急医療車が、けたたましいサイレンを鳴らして到着したのは、その七分後だった。上山は病院へ搬送され、気づいたときベッドに横たわっていた。

「ここは?」

 正気に戻った上山は、岬にたずねた。

「えっ? …って、もちろん、ご覧のとおり病院ですよ」

「…私は、なぜ、ここにいるんだ?」

「嫌ですね、課長。さっき、急に気絶されたんですよ、私のマンションで…」

「君の? ほう…、君のマンションへ行ったんだ」

「んっ? …って、その記憶もないんですか?」

「ああ…。君のマンションへ行くような用向きでも、あったのかなあ?」

「なに云ってらっしゃるんですか、嫌だなあ、課長。亜沙美が妊娠したっていうんで、会いにいらしたんじゃないですか」

「んっ? 亜沙美って?」

「また、ご冗談を…。私の妻ですよ」

「妻って、…君、結婚したの?」

「ははは…、参ったなあ~。仲人なこうどですよ、課長は!」

「? そうだったか…。全然、記憶がないんだ。なんだか随分、前に戻ったような、そんな妙な気分だよ…」

 事実、上山の記憶は幽霊平林が事故で死んだ日以降が完璧に消えていた。というより、当然それは霊界番人によって消されたのである。平林の事故以降の記憶だから、まったくの記憶喪失というのではなかった。

 一方、こちらは霊界である。

『かような寸劇仕立てに致しましたが…』

『その程度でよかろう…。あとは、昇華の者の記憶じゃが…』

『はい。そちらも先ほど、消してございます』

『わはははは…、左様か』

 霊界番人の報告に、霊界司は厳かな笑声で答えた。会話が途絶えると、大小、二つの光輪は、霊空の闇の彼方かなたへ瞬く間に消え失せた。

                                                          完


  あとがき


 もののけ、妖怪、幽霊、ゴースト…などは人が想像を駆使してこの世に創造したものである。人は、それらをもって奇なるもの、とした。これらが現実のこの世に存在するとすれば、それは怖く、恐れおののく対象となるだろう。この物語は、飽く迄も娯楽を目的として私が書き進めたものであり、このようなSF的事象が有り得るとは全く思えない。しかし、あって欲しい…と願う微かな望みも皆無ではないから、これが創作作業に携わる者の冥利とも言えるだろうか。前作「あんたはすごい!」を、さらにスピン・オフさせた部分も含め、面白おかしく、しかも気楽に完結へと導いた。そのプロット中には、社会風刺と、こうあって欲しいと願う人間社会の姿も一抹の望みとして描いたつもりである。無論、評論家諸氏のような苦言を呈するつもりは毛頭ない点だけはお含み願いたい。読者の皆さんには、ただお楽しみ戴くだけでいい程度の作である。

                        水本爽涼


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ