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三章 第九十二回

 その日は、地球語システムの一貫として、テレビ放送が世界各地で地球語放送を開始した日でもあった。当然、放送内容は公共放送、民放各局とも祝賀モードが全開で、やたらと地球語の字幕スーパーを流していた。

「おお…やってるな」

 上山はテレビ画面を見ては視線を下げ、新聞に目を通しては、また視線を上げてテレビ画面を見るという動作を繰り返した。

「以上の点で合意した国際連合加入各国による地球語憲章は、未加入国及び未開発地域にも呼びかけ、全地球規模で人類の意志疎通を円滑化する方向で推進する運びとなりました。世界各国では、この決定に祝賀の諸行事が華やかに、とり行われております。我が国でも正午から全国各地で祭典の行事が催されます。なお、政府は今日明日の二日間、特例祝日とすることを閣議で決定し、総理による緊急記者会見が本日正午に予定されております…」

 テレビ画面は、アナウンサーのやや熱気を帯びたニュース報道を映し出していた。

「どれどれ、平林を呼んでみようか…。奴ともそろそろ、お別れになるかも知れんからな。そうなる前に、声だけでも…」

 上山は、いつもやる仕草で左手首をグルリと回した。すると、たちまち霊魂平林が現われた。

『課長! なんか賑やかに世界中が騒いでますよね』

「おう! 君か…。そうなんだよ、私達の成果は、ほぼ完成の域だな」

『そのようですね。お目出度い限りです。僕もこれで課長とお別れですね。なんか少し、寂しいですが…』

「いやあ~、私もだよ。ところで、今日はどの辺りにいるんだ? 声だけだから、不便で、しようがない…」

『僕ですか? 課長の目の前なんですが、見えないのは残念です。まあ、見えても、もう生前の姿じゃないんですが…』

「と、いうことだったよな。まあ、人魂ひとだまってのは気味が悪いから、見えない方がいいんだが…」

 上山は思わず口籠って、語尾をぼかした。

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