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三章 第八十五回

「なんだ、そうか…」

 上山は歩きながらチラリと右横を見た。しかし、やはり幽霊平林の姿は確認出来なかった。暗闇に幽霊の声なら、フツーは最大の恐怖を感じおそおののくが、今の上山は普段と少しもメンタル面の変化がない。

「やはり、もう見えんな…。ところで、君の方は自分の姿が見えてるのか?」

『はい…。いつぞやは一度、消えましたが、どういう訳か今は…』

「どういう訳って、それもすべて、霊界トップのなすわざだろ?」

『ええ、たぶんそう思います…』

 幽霊平林は少しトーンを下げてそう云った。その声が暗闇の中から上山の耳へ寂しく届いた。

「君を呼んだのは、他でもない。滑川なめかわつくだの両教授に、私の記憶が消えることを云っておいた一件だ」

『ああ、そのことですか。それは云っておかれた方が無難でしょう。すでに僕の姿が見えなくなってられるんですから近々、僕は御霊みたまへ昇華すると思われますので…』

「第一段階だな。そうなりゃ、君とはもう話せないのかい? その辺はどうなんだ?」

『いやあ~、それもいてないんで分からないんですが、たぶん、第二段階までは大丈夫かと思われます。それ以降は確実にお別れなんでしょうが…。恐らく、課長の記憶が飛ぶのもその頃かと…』

「なんか、もう少し話しておくことがあったような気がするが、いざそうなると分かると案外、浮かばないものだな」

『はい、僕も、そうです』

 二人(一人と一霊)は歩き、そして流れた。ただ今迄と違う点は、上山が一人、歩いている姿のみが上山の視界に入っていることだった。話している間はその感覚はなかったが、いざ会話が途切れると、その思いは上山の中で俄かに増幅されるのだった。

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