表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
292/338

三章 第五十九回

『でしょうね。…有能な世界の言語学者が国連で一堂に会したとしても、世界に共通する新しい言語の開発です。そう簡単に完成するとは思えません』

「如意の筆の霊力をすれば、いとも簡単じゃなかったのか?」

『はあ、それはまあ…。念じ方を詳細に詰めれば…』

「詰めようじゃないか。そういつまでも待ってられん!」

『課長、少し気が短くなられたんじゃないですか?』

「馬鹿云え。そんなことは、ない。早く元の状態に戻りたいだけだよ。…君と別れるのは辛いが」

『ご迷惑をおかけして済みません』

「いやあ、なにも君が謝るこっちゃない。君の所為せいで、私がこうなった訳じゃないんだから…」

 二人は瞬間、押し黙った。

『では、集中して念じます』

 云うが早いか、幽霊平林は胸元に挿した如意の筆を手にし、両瞼まぶたを閉じた。あとの所作は、いつもと同じである。瞼を開け、如意の筆を二、三度、軽く振った。

『終わりました…』

「そうか…、ご苦労さん。あとは結果待ちだな。楽しみというほどの気分じゃないが、なんか成功を祈りたい気持だよ」

『はい、僕も同感です』

「もう帰るんだろう?」

『帰る、は、いいですね。帰るんでしょうかねえ、霊界へ戻るのは…』

「ははは…、今の君は、やはり帰る、だよ。死んでるんだから、こっちの人間じゃない」

『そうでした。ははは…』

 幽霊平林は蒼白い顔で陰気に笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ