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三章 第二回

「いや、待てよ。別に中へ入らなくたって、ここから念じれば、事足りるか…」

『ええ、そうですね、少し寒いですが…。課長、それ、お願いします』

 幽霊平林は上山が手にした念じる内容を綴った小ノートを指さした。

「ああ、これなあ…」

 上山は云われるまま、条件反射のように小ノートを手渡した。そのノートを開け、幽霊平林はもう一度、復唱するかのように箇条書きされた内容を頭に詰め込んだ。そして、いつもの所作で、両瞼まぶたを閉じ、念じ始めた。

 その後は、いつもと変わりなく瞼を開け、手にした如意の筆を三度ほど振ると、胸元へ挿し戻した。

『終わりました…』

「そうか、終わったか…」

 上山が呟くように云うと、幽霊平林は小ノートを上山に返した。

『結果は前と同じです。二、三日中にはマスコミが騒ぐような事態が起こることでしょう』

「なんか、君が予言者に見えてきたよ」

『ははは…、僕は課長の元部下で、ただの幽霊です。偉大なのは、この如意の筆ですよ』

「いやまあ、そらそうだけどさぁ~。言葉のあやだよ。云ったまでさ。さあ、長居は無用だ。そろそろ我が国へ戻ろうか」

『はい! では…』

 すっかり所作が板についた幽霊平林は、ふたたび如意の筆を手にすると軽く念じ、棒を振る所作をした。二人の姿は、たちまち国連ビルの敷地から消え去った。

 現れたのは、上山の家の居間である。

「しかし、よく考えりゃ、態々(わざわざ)、遠くまで出向かなくたって、ここからでも、いい訳だよな」

『まあ、そうなりますかね…』

「次からは、そうしようや。気疲れしていかん!」

『すみません。僕の腕が未熟なもので…。とんでもない場へ現れました…』

「ああ、きもつぶしたよ。でももう、いいさ、済んだことは」

『はい…』

 幽霊平林は、軽く上山にこうべれた。

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