第一章:ハプニング・バースデー3
あいかわらず短めですが…指摘、感想、アドバイスなどなんでも歓迎です。
もう一度そのアクセサリーに目を落とし、ぎゅっと胸に抱くと、透明な結晶がきらきらと瞬いた。
ひ、光った?!
光を反射するとかじゃなく、明らかにこの結晶自身が煌めきを放った。
「…うん、ちゃんと魔晶の力を発揮してるみたいだね…それに、喜んでもらえてよかったです。作った甲斐がありました」
「え、いや待って、魔晶って」
顔を上げると…
もう、そこにユナイトくんの姿はなかった。
「………あれ?」
あたりを見回しても、どこにも影がない。
そんなに長い間下を向いていたつもりはないんだけれど…
「ユナイトくーん?あれー?どこ行ったのー?」
最後の謎の爆弾発言が気になって仕方がない。「魔晶」って、一体何だろう?
目の前にペンダントをかざし、ひらひらと振ってみる。
「ねぇ、魔晶ってなあに?」
もちろん石がその疑問に答えるはずもなく…
ただきらきらと透明な輝きを振りまくだけだった。
まぁ、わからないものは仕方がない。声をあげてみても返事はないし、しばらくその場でキョロキョロしてみても戻ってくる気配はない。
うーん…どこに行っちゃったんだろう…
まるで幻だったかのようにきれいさっぱりといなくなってしまった。
もしかしたらすごく急いでいたのかもしれない。
よし。これ以上待つのはあきらめて、わたしも帰ろう。
もらったアクセサリーをかばんにしまい、昇降口に向かう。
……そうだ、あの子たちにも教えてあげよう。わたしの誕生日を。
たった六人だけど、大切な大切なわたしの友達。
そう決めて、家路とは逆の方向に足を向けた。
「最近バイトで忙しかったからなぁ…会えるのは久しぶり」
きっとあの子たちも最近わたしが来ないから訝しんでいるはず。
夏はいろんなところでバイトの需要が高まるからどうしても忙しくなってしまう…着ぐるみの風船配りなんて職場に電話をかけた瞬間に採用になってしまった。
「あぁぁぁやっと人手が見つかった!!よろしく頼むよおぉでも君みたいな子が着ぐるみなんて少々もったいない気もするが」だって。どれだけ人員不足なんだろう…まぁ、普段でも大変なこの仕事を夏場に引き受ける人は確かに珍しいと思う。
でもその分報酬ははずんでもらえて、今年の夏は少し多めの貯金ができるくらいの余裕が持てそう。
そんなことを考えながら歩いていくと、正面に目的地の門が見えてきた。
すっかり顔なじみになった受付のおじさんに年間パスポートを見せ、中に入る。
「あは」
久々にみんなに会える!夕方からだとそれぞれと話せる時間は多くないだろうけれど、やっぱり今日中に誕生日のことを教えておきたい。
「祝ってくれるかなあ…その前にびっくりするよね、きっと。でもあの子たちに誕生日祝うなんて概念あるのかなぁ」
そんなことを言いながらくぐった門には、カラフルな装飾が施された“ビッグネイチャーパーク”の文字が踊っていた。
ビッグネイチャーパーク…なんて安易な名前…orz