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太陽-Beast Friends-   作者: 黒井 夕
第1幕 ウサギ跳ねたその朝に
4/30

第4話

長らくお待たせいたしました。


部屋に入るとアキはすぐさまベッドにダイブした。

最近、父はケモノ狩りのことしか考えていない。先代までの功績に比べて、自分が結果を出せていないからなのだろう。


「だからって…俺を巻き込むなよ…」


と、ドアが開いて、カイが入ってきたようだ。


「アキ?さっきの音なに…?」

「んー…」


アキとカイの部屋は同じだ。

だからこの部屋にはベッドがふたつ並んでいる。

カイがアキの隣、自分のベッドに転がってきた。


「ほっぺた、赤くなってる…」


そう指摘され、慌てて頬を隠すが、もう遅い。


「それ、どうしたの?さっきの音と関係ある?」


ちょうど好奇心旺盛な年頃だ。


「誰に叩かれた?いつ?」


アキは沈黙を決め込むが、質問は止まらない。


「………………」

「ねぇ、どうしたの?」


アキが背中を向けても、弟は回り込んでくる。そしてまた追求の繰り返し。


「アーキー」

「……………うるさい」

「うるさくないし!答えてよ」


背中をぺしぺし叩かれる。

普通だったらこのへんで怒りが頂点に達して、カイを部屋から追い出していただろう。

しかし今はそんな気分にもならなかった。


「はぁ…。カイには関係ないだろ」

「あるもん!僕もう10歳なんだよ」

「もう10歳?それなら、その子供っぽいしゃべり方やめろ」


ガツンと言ってやると、カイは自分のベッドに戻っていき、やっと静かになった。

と、思いきや、枕を持って再びやって来た。当たり前、と言うように、アキの隣にうつ伏せに転がる。


「アキが言うまで、僕は寝ないからなっ」


語尾を「ねっ」から「なっ」に換えたのは、子供っぽくならないよう、カイなりに気を付けたつもりなのだろうか。


「…じゃ、俺はカイが起きてる間は言わない」

「なにそれ!そんなの!~っ」


足をバタバタされると、それに合わせてベッドが揺れた。


「こら、壊れる」


それに音を立てたら父さんが見に来るだろ。そう言いかけてアキは慌てて口を閉じた。

そんなこと言ったら、カイが連れてくるに決まっている。

今はもう父とは顔を合わせたくないのだ。


「言ってくれないと、やめないんだからな!」

「言葉遣い、不自然」

「うるさい!」


本当にそろそろ静かにしてくれ。


「意地悪!」


父さんが来るだろ。


「鬼!」

「そこまで言うか?」

「なんで教えてくれないの―――!」


足をバタバタする音は、もはや騒音と言ってもいいほどうるさい。


「…あーもー…わかったよ」

「やったぁ!なんでなんでっ?」

「カイが小さいから」

「……………それ、答えになってない!アキのバカ!」


また暴れだすカイを、今度はしっかりと捕まえた。


「いや、なってるし。カイがもっと大きかったら、俺はこんなことにならなかったの」


カイはきょとんとした表情(かお)になっている。


「どーゆうこと?」


小さな溜め息をつくと、アキはこれまた小さな声で言った。


「明日…父さんとケモノ狩りに行くことになった。で…行かないって行ったら…殴られた」

「え――?なんで行かないって言うの?」


僕だったら絶対ついて行くのに、と予想通りの反応。


「…さあ、な。とにかく、明日はいないから」

「僕も行きたい!」

「……楽しくないと思うけど?」



つ、次こそ1週間以内に…っ

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