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第27話
新章開始です。
序章ということで短め。
「はい、おばちゃん。500リンね」
「はいよ。えらいねー、お手伝い?」
「そ!また来るね!」
お金の代わりに袋に入った林檎を受け取る。
少し遅くなってしまった。
太陽が沈みかけ、少し赤みを帯びた大通りを駆け抜ける。
「あっ、アイスのおじちゃん!」
アイス屋の店主が顔をあげた。
手には作りたてのアップルシャーベットを持っている。
「おう、今日も来てたのかい。これ食うか?」
「ううん。あたしもりんご持ってるし!帰ってお母さんにアップルパイ作ってもらうの!」
「そうかい。気をつけてお帰り」
「うん、ばいばい!」
そうしてまた大通りを行く。
通りをそれて、細い路地へ入る。
高いレンガの建物にはさまれた小さな店。
「たっだいまーっ」
ドアについている鈴がちりんと鳴った。
エリルの街にひっそりと建つ秘密の店。
ここは――――亜人達の集う店、『猫のしっぽ』
ありがとうございます。