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太陽-Beast Friends-   作者: 黒井 夕
第1幕 ウサギ跳ねたその朝に
12/30

番外編

原作にはないお話。一人称です。

誰のお話か考えながら読んでみてください。

まあ、すぐ解ると思いますが。

今日、おれはいつもよりはやく目がさめた。

いそいでかあさんのところへ走る。


「…ねえ、かあさん!」

「どうしたの?」

「…あ、えーと…今日って…今日ってなんの日かしってる?」

「今日?何かあったかしら?」

「……!…やっぱ、なんでもない」


今日はおれの5歳のたんじょーびだ。

かあさんに、『たんじょーび』は、おれが4さいから5さいになる日ってきいてから、ずっと前から今日を待ってた。

それなのにかあさんは覚えていないみたい。かあさんがでおしえてくれたのに、ひどいぞ!


「とーさん!今日はなんの日かしってる?」

「何の日か?んー…何の日だろうな…」

「…………」


とーさんも覚えてない!なんでなんで!


「おれのたんじょーび!!」


おれはとーさんとかあさんにせなかをむけて走り出した。

もうしらない!

おれのたんじょーびなんてどうでもいいんだ!


ずっとずっと走って家をとびだした。

おれのたんじょーびを思いだしても家には帰らないぞ!いえでしてやる!


「たんじょーび…ううん、もういいもん!」






でもけっきょく、おれは家にかえった。空がちょうど赤くなったくらいだった。

一日あるいておなかがすいたからだ。さみしくなったからじゃないぞ。

ごはんをたべたら、もういちど、いえでしてやる。


「あら、帰ってたの。もうご飯よ?」


ほっぺをふくらませて家にもどると、かあさんがごはんのじゅんびをしていた。

おれがいえでしてたのに…。


「早く手を洗ってらっしゃい」


なにも言わないで手をあらいにいく。おれのうしろでかあさんがわらったような気がした。

わらってもゆるさないぞ!

手をあらってから、ごはんをたべに行くと、ふたりともさきにすわっていた。

ふたりはおれを見つけると、すっごいすっごいわらった。


「Happy Birthday!!」


「え?」


つくえの上には大きなケーキ。

ろうそくが5ほん。ひらがなで『はっぴーばーすでぃ』ってかいてあるチョコ。


「主役がなに変な顔してるんだ?」

「早く早く!ろうそくが消えちゃうわよ」


おれはびっくりしたままろうそくの火をけした。


「わすれてなかったの…?」

「忘れるわけないだろ」

「いきなりケーキを出したらびっくりするかなーって思ったの。そのせいで怒らせちゃったみたいだけど」


ふたりはわらいながらまだ何か言ってたけど、もうおれはきいてなかった。

ケーキだ…。

ふたりともおれのたんじょーび、わすれたんじゃなかったんだ。


「いえで…」

「ん?何か言ったか?」


「いえでして、ごめんなさい…」


うれしくて、なんでかなみだが出た。

ふたりはおれを見て、またわらった。


「お誕生日、おめでとう」


とーさんがおれのあたまに白いのをのせる。


「ぼうし…?」

「次のケーキは一緒に買い物に行こうか。ミナト」


おれは白いぼうしをかぶって、ぴょーんとジャンプした。


「いく!」


その日からこのぼうしはおれのたからものになった。




どこへ行くにもこの帽子は一緒で。安全な森の中でも被っていた。

初めて街に買い物に行った日はもちろん。

父さんと母さんが、いなくなったあの日も。

そして、アキとオレが出会ったあの日も。


今思えば、アキと出会えたのは、この帽子が飛ばされたのが原因だったのかも。


もし、そうだったなら。


ありがとう。とーさん、かあさん。アキに会わせてくれて。





答えは、ミナト君でした。

アキと迷ってくれてたら、作者の思惑通り。

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