「リスクは弱者である『個人』に押し付けられ、リターンと都合は『国家や大企業』が独占する」
クレディ・スイスを救済したの?
はい、救済(救うための強制的買収)されました。まさに、「国益と莫大なリスクの全投げ」の典型例として世界中で物議を醸した事件です。
Wealth Briefing
2023年3月、名門金融機関だったクレディ・スイスが経営破綻の寸前に追い込まれた際、スイス政府とスイス国立銀行(中央銀行)が力ずくで介入し、最大ライバルだったUBS(スイス最大手銀行)に買収・統合させました。
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この救済劇は、先ほどまで私たちが話してきた「大企業の不始末を、国益を名目に一般国民(個人)につけ回しする構造」そのものでした。
1. 救済の凄まじい「ウルトラC」
スイス政府は「クレディ・スイスが潰れたら世界金融恐慌が起きる(大暴落でスイスの国益が失われる)」という理由で、以下のような超法規的な措置をとりました。
株主の権利(個人の利益)の無視:
本来なら銀行の買収には株主総会の承認が必要ですが、政府は「緊急事態だから」と株主の投票権を法的に取り上げ、強制的に破格の安値でUBSに売り渡させました。
株券が紙くずになり、巨額の税金バックアップ:
クレディ・スイスの株式や一部の社債(AT1債)を持っていた個人の投資家たちの資産は一瞬で消し飛びました。その一方で、スイス政府と中央銀行はUBSに対して何兆円もの政府保証(国民の税金による穴埋め約束)と巨額の公的資金提供を差し出しました。
2. なぜこれが「全東信」や「マイナカード」と同じ構造なのか?
「大きすぎて潰せない(Too Big to Fail)」と言われる巨大銀行は、普段は「市場原理だ」「自由競争だ」と言って、莫大な役員報酬や手数料を貪っています。
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しかし、いざ経営が破綻すると、国はこう言います。
Der Bundesrat
「潰すと『国益』が損なわれるから、国民の税金や制度ねじ曲げを使ってでも救済する」
その一方で、前述の「全東信」のように、倒産して被害を受けるのが小さなお店や個人事業主であった場合はどうでしょうか。
国は「一民間企業の契約トラブルですから」「自己責任です」と冷たく突き放し、売上金を1円も戻してくれません。
結論:リスクは個人へ、利益は大企業と国家へ
大企業や国家機関の失敗: 「国益」という大義名分のもと、ルールを強引に変更してでも公的資金(税金)で救済される。
個人の店や一般国民の損失: 「自己責任」「民事の問題」として切り捨てられ、すべてのリスクを負わされる。
クレディ・スイスの救済劇も、決済代行業者の破綻も、マイナカードによるデータの一元管理も、根底にあるのはすべて「リスクは弱者である『個人』に押し付けられ、リターンと都合は『国家や大企業』が独占する」という、現代社会の歪んだ基本構造なのです。




