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(改稿版)レアジョブ【精霊騎士】の俺、突然【勇者パーティ】を追放されたので【へっぽこ幼女魔王さま】とスローライフします。   作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ★3巻発売決定!☆GCN文庫
第四章 ゲーゲンパレス・スローライフ(後編)

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第44話 天使顕現【セラフィム・コール】

「おい勇者! まさか聖剣の真の力を解放したのかよ!?」

「そうさ! 僕の最終奥義でケリを付けてやるよ!」


「聖剣の中には『天使』が封じ込められている。天使顕現セラフィム・コールは、聖剣に封印されている天使の力を一時的に開放し、自らの肉体に顕現させて超絶ブーストする対魔族用の切り札だ。それをよりにもよって、人間相手に使おうってのかよ!」


「魔族の味方をする君には、実におあつらえ向きだろう? 死ねぇっ!」


 瞬間、勇者の姿が俺の視界から消え失せた。

 比喩でもなんてもない、文字通り消えていなくなった。

 理由は単純で、勇者の動きがあまりに速すぎて、俺は視認することができなかったのだ!


「速い!? ぐぅ……っ!」


 直後、襲い来る強烈な横()ぎを、俺は黒曜の精霊剣・プリズマノワール】を垂直に立ててガードした。

 (つか)を持っていない左手を剣の腹に押し当てて両手で支えることで、なんとか威力を殺しきる。


 だけど今、防御できたのは本当にただの偶然だった。

 それでも直感的になんとなく勇者の動きを感じられたのは、もしかしたらお節介な精霊たちが、そっと俺を導いてくれたのかもしれない。


「ほぅ、今のを防御したか。さすがだなハルト。だがそれも、いつまでもつかな?」


 その言葉と共に、天使化した勇者が怒涛の連続攻撃を繰り出してきた!

 シュッ、シュッっと鋭い風切り音をまといながら、激しく苛烈(かれつ)な、目で追いきれない超高速の連撃が俺を狙って襲い来る!


「くっ、この――!」


 事ここに至っては反撃のチャンスなんてものは欠片もない。

 俺はひたすらに防御に徹するものの――だめだ、とても防御しきれない!

 小さな傷が、俺の身体にどんどんと刻み込まれてゆく――。


「どうしたどうした! 大口を叩いておいて、手も足も出ないのか? ほらそこだ、オラぁ!!」


 黒曜の精霊剣・プリズマノワールが跳ね上げられ、俺の身体が完全無防備でがら空きになった。


「終わりだ――!」

「ぐ――っ!!」


 聖剣が俺の身体を容赦なく真っ二つに叩き斬って――、


「そう言えばそんな技も持っていたか」

 斬られたはずの俺の身体が、(かすみ)のように消えていった。


 俺はとっさの判断で幻影の最高位精霊【イリュシオン】の精霊術、本物そっくりの質感ある残像を作り出す【質量のある残像(ミラージュ)】を使用したのだ。


 よほど感心しのたか、それとも攻め疲れて一息つきたかったのか。

 いずれにせよ動きを止めた勇者から、俺は少し距離をとる――とろうとして、


「あぐ……っ」

 しかしそこで、俺は右の脇腹を左手で抑えながら片膝をついてしまった。


 視線をやると、抑えたところから血がどんどんと滲み出ていた。

 天使化による神速の一撃は、最高位の精霊術をもってしても、完全にはかわしきれなかったのだ。


「これは、まずいな……致命傷じゃないがかなり深いぞ……ぐぅっ……」

 加えて、俺の身体全体が疲労のピークを迎えつつあった。


 今の勇者は、一撃一撃が岩をも砕く威力を秘めている。

 それを受け止め続けるだけで、俺の体力はゴリゴリと削られてしまっていた。


 だが、このまま膝をついていては死ぬだけだ。

 勝利を確信したのだろう。

 勇者が俺を見下すように睥睨(へいげい)しながら近づいてくる。


「勝負あったな。君の負けだ」

「こなくそ――」


 俺が疲労困憊(こんぱい)の身体に渇を入れ、残った全気力を振り絞って立ち上がろうとした時だった。


「出でよ【火トカゲ】! 精霊術【マッチ10本の炎(ヘル・フレイム)】!」


 突如として横合いから声が上がるとともに、マッチ10本を束ねたくらいの小さな炎が勇者に向かって「しゅぼー」と放出されたのは――。


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