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ガーディアン  作者: 桜木 隼人
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プロローグ


暗闇の中を男が走っている。それも尋常じゃない速さで。

「紅蓮刀!」男が叫ぶとその手に刀身が炎に包まれた刀が現れた。

「ふん、能力者か・・・・」暗闇から声がしたと思ったら、

その暗闇の中から声の主が姿を現した。

「炎神神社のガーディアンズ、烈火一族99代目守護者だな。」全身を黒いローブで包んだ男は目の前に立つ 烈火一族、第99代目守護者「烈火忠勝」を見据えた。

「なぜ、俺が「守護者」だと・・・・」驚きを隠せない表情の忠勝に男は告げる

「なぜか?・・・・・当り前だろう、それが俺の仕事だからだ、消す相手のことを調べるのは当たり前だろう?」『消す』という言葉に忠勝は身構えた

「消す、だと・・・いい度胸だ。俺のことを調べ上げたのなら、この力のことも調べたはずだな。紅蓮旋風!」忠勝が叫ぶと紅蓮刀の刀身を包んでいた炎がすさまじい勢いで

空に伸びていく。

「ここまでとは・・・・」男もさすがに動揺を隠しきれない様子だ「喰らえ!!」

刀から伸び上空ですさまじい竜巻となった炎をまとった紅蓮刀を忠勝は一気に振り下ろした。そのすさまじい、熱気と爆風が周りを覆う、一瞬周りは爆風により発生した

砂埃により、何も見えない状態となった。

「やったか・・・」忠勝の手に握られている紅蓮刀の炎はもう消えている。

これだけの大技を使えばさすがの守護者といえども、精神力をほとんど使い切ってしまう。

しかも忠勝は歴代の守護者の中では平凡な水準の精神力しか持ち合わせてないから

今の技が唯一の大技であった。もっともこれまで対峙してきた相手はどんなに強力でもこれで滅してきたので問題なかったのだが。 忠勝は男がいた場所に背を向けた、その時

「ふふふ・・・・・・・・それで終いか?」男の声が後ろからした、滅したはずの男の声が。

「なに!?」振り向いた忠勝の眼に映ったのは無傷な男の姿だった。

「どうして、傷一つ付いてないんだ?って顔してるな。」男はローブを下して顔を見せた

顔の右から左にかけておおきな傷跡がある。

「俺はこの傷を負わせれていこう、たった一度も傷を負ったことはない。」男は笑った。

「まあ、さすがに今回は相手が今まであった中で最も強力だったから死にそうになったがな。保険をかけておいたおかげで助かったぜ。」「保険だと・・・・?」忠勝にはその意味するところが全く分からない。

「訳が分らんって顔してるな。まあいい、特別サービスで教えてやるよ。その保険は人間だ。」忠勝は男の背後に目を凝らした、確かに男の後ろに人影が見える!

「やっとわかったか。やつがお前の攻撃から俺を救ってくれたんだよ。」まさか・・・

忠勝は混乱した。『守護者』の攻撃を『通常』の人間が受け止めて無傷で済むはずがない

たとえ『異常』な人間だったとしても『神器』の攻撃をはじけるわけがない。

もし『神器』の攻撃をはじけることができる存在ならばそれは・・・・・同族?

「まさか、そいつ『ガーディアンズ』なのか!?」その事実に気付いた忠勝の叫びがこだました

「ピンポ~ン。大正解だ!こいつは、たしかに『ガーディアンズ』だ。しかも、一族きっての能力者だ。なあ?」おとこの背後にいた影が前に動く。

「なに?」男の前に出た影、いや全身黒ずくめなので影に見えたのだ。

黒い鎧に黒のマント、そして漆黒の鉄仮面、長身で長髪、その紙を漆黒の黒。

まさしく闇の色を全身にまとっているような、そんな、いでたちだった。

「俺より若そうだな・・・・鉄仮面をかぶってるので顔はわからないが」忠勝にはそんなに若い守護者が誕生した記憶はなかった。

「守護者は撃たれても、死にはしないんだったけか?」男の声に影が頷く。

「そりゃあいい、死なないんなら、遠慮なく撃ちまくれるじゃないか!」

男の袖口から拳銃が飛び出す。スイス製の拳銃P220だ。

「さあ、ショータイムの始まりだ!」男が拳銃を忠勝の方に向けると同時に忠勝も

拳銃をよけるべくすばやく横に移動した・・・いや、したはずだった。だが

忠勝の足は彼の意志通りに動かなかった。

ふと胸に痛みを感じて、忠勝は自分の胸に手を当てた。地面を照らす月の光、その光が自分の手を照らしだしたとき忠勝は自分の身に何が起きたのかを悟った。

「あの一瞬で弾を放ったのか・・・・」男はニヤッと笑う「そうさ、どうだ守護者さんよ。

弾をぶち込まれる気分は。」男の放った9ミリ弾は正確に忠勝の心臓の付近に命中していた。通常の人間ならこの時点で、動けないまま息絶える。しかし忠勝は守護者、『通常じゃない』人間なのである。

「く・・・・」胸に鋭い痛みを感じながらも何とか忠勝は走りだした。

「ふん、逃げんじゃねえよ魔法使い。それでもガーディアンか?とんだ腰抜けがいたもんだな!」男はさらに拳銃を乱射する。

「はあ、はあ、はあ・・・・・」胸の痛みをこらえながら忠勝は近くの公園のトイレの陰に隠れながら考えていた。

男はさっき「守護者は撃たれても死なない」というようなことを言った。ということは

男はこちらにいくら撃っても意味をなさないことを分かっているはず。

それなのに、撃ってくる理由、それはいったい何なのか?

忠勝にとってそれは大きな謎だった。その時ふと忠勝の脳裏にある考えが浮かんだ

「あの守護者・・・・・」そう、守護者は確かに通常の人間では殺せない。だが、

傷を負わせ、動きを鈍くしたり戦闘力を奪ったりすることは可能だ。

そして、とどめを『守護者』がさせば、倒すことは可能となる・・・・・。

ならば、俺を殺す役目はあの男ではなく、あの漆黒の陰、謎の守護者ということか。

「・・・・・」背後に気配を感じて振り向いた忠勝は真後ろにいた男の手に握られている

物を見て唖然とした「貴様、まさか・・・・」忠勝の声にこたえるかのように

男の腕が無情にも振り下ろされた。


「のぶ・・・ひと」漆黒の暗闇の中、唯一光を放ち続ける月。

その一筋の光に忠勝は手を伸ばした。まるでわずかな希望をつかもうとするかのように・・・


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