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いつかの記憶{プロローグ}

「・・・ありえない・・・」


 月夜に照らされて輝く、その銀色の髪はおおよそ腰まで届くほど長く、夜風に吹かれなびいている。ちらりと見えた、銀髪のインナーにアメジストの様な紫色が、妖艶な雰囲気を醸し出している。


 どれだけの時が経っただろう、何分か、いや何時間か、もう僕には分からない。不意にこちらに気づき、彼女はこちらを向いた。風に吹かれ銀色の横髪が顔を覆う、それを拭うように耳にかけ僕をみる。その姿は月明かりの下で美しく照らされ、同時に輝きを放つ。


 彼女がこちらを見ると、僕は違和感を覚えた。右に澄み切った青空より透き通ったパライバトルマリン色、左に金色の透明度を極限まで上げたような琥珀色。

 聞いたことがある・・・オッドアイ・・・だ。


「君、見過ぎ」彼女は不意に口を開いた。

「髪は元からだし、目もそんなに言われると恥ずかしい」

「そんなこと、、、言って」おかしい、口に出したつもりは無いはず。

「「ない。」じゃあね。」


 そう言って、彼女は僕の言葉を遮り、防波堤から降りた。彼女がこちらに向かって歩いてくる。止まること無く、僕の横を通り過ぎてしまった。すれ違う瞬間、呟いた。


「多分、、、また会えるよ。」


 彼女は確かにこう言った。僕の知らない、ほのかな甘い香りがしたことは忘れない。


 彼女との出会いは中学2年生の夏休み、夏休みの宿題を急いで終わらせる苦行の合間で、息抜きに沿岸を歩いていた時だった。


 翌日、高熱を出し入院、1週間が過ぎ無事宿題が終わらず登校。それから彼女とは一度も会うことは無く、もう過去の記憶になった頃、俺は高校生になった。


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