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枯れた街  作者: そーゆ
戦場
3/5

団欒と屍

「…?」


火の音と暖かさで、私は目を覚ます。

眠い目をこすりながら、視線を音の方に向けると、そこには、コップ片手に瓦礫に座る(国救同)の姿があったのだ。


「うわあああああ⁉」


思わず大声を上げる。敵側も私が急に大声を上げたのかビックリしていた。しかし慌てながら20式5.56mm小銃を持つ。私の護身銃だ。

「あんた、私が何者か分かっているの⁉」

「言うまでもない。俺に銃を向けてくるやつは敵だ。あとその銃空だ。俺が抜いといた」

話し方、彼の雰囲気、声…まさかまさかだと思うが、恐る恐る彼に問い詰める。


「あんた、名前は?私は杉藤(すぎとう)…」

「お前の下の名前は『めぐみ』で合っているかな?」

男の兵士は、一発で私の名前を当てた。間違いない、昔、何らかの形でこの男と会っている。まだ誰かは知る由も無いが。

「俺は松崎(まつざき)浩太(こうた)、久し振りだな、杉藤。」


まさかだった。あの不真面目クソエリートと、こんな形で再会するとは思わなかった。

松崎浩太、小学校入学までに義務教育範囲を履修し、小4の時には大学生のやる事と同じ事に手を出したクソエリートだったが、その異次元の秀才と引き換えに考え方はサイコだった。自らが利益を得る為なら、上手な嘘でも会議中の分断工作でもなんでもする。


「あ、松崎くん、久し振り…」

「まさかお前とはこんな場所で会うとはな。」

しかし、私は、東雲を殺された悲しみと憎しみを思い出し、憎悪に駆られるがままに彼の胸ぐらを攫み、拳を振り上げた。

「ねえ、東雲を殺したのってあんた?」

彼は黙り込む。正直な話、人を殺すために慈悲は要らない。慈悲があれば躊躇が生まれ、その躊躇が死に直結する。と思っていたからだ。しかし、ここで『彼を殺した』(«本当の事»)なんて言ったら、間違いなく頭を撃ち抜かれてTHE ENDだ。

「…殺してない。俺は後ろから来た。恐らく撃ったのはまた別の兵士だ。」


「…そっか、疑ってごめん。」


彼女はそっと拳を降ろした。

その後、松崎少年は、杉藤に真実を告げた。


「お前が狙撃している間に、あんたは包囲されていた。最後にアンダーソンを殺したのが運の尽きだったな。お前さんの位置と使ってる銃が特定されたよ。で、捕虜から尋問して聞いた名前が、お前の(俺の知り合いと同じ)名前だったから、お前が旧友を殺すか殺さないかを賭けてここに来た訳だ。」


…成程ね。そう言う事だったのか。


そして、私はほぼ無傷でNSAの捕虜になった。

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