白い君
「毎日会いに来てください。」
愛しの君はそう呟いたように見えた。
君と僕が出会ったのは、僕の誕生日であった。その日、君の魅力に僕は心を奪われた。一年に一回のみ美しい服、美しい化粧をして僕の前に現れる。僕はその儚さがたまらないくらいに好きだ。
今日はその一年に一回の日だ。心を弾ませながら君を見に行く。すると、僕の期待通り、月の白い光に照らされた君がいた。月の光の白さは、君の白い肌や髪をほんのりと輝かせていた。
「愛している」
僕は君にそう呟く。君は返事をしなかった。
だが、それでも僕は君を愛している。
___なぜなら、君は黒い夜に、白い月の下に、一年に一回にしか会うことの出来ない『月下美人』だからだ。