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廓言葉の獣人、クロニャ★「街の名前、適当すぎでち」

 その後、ギルドの受付に、図書館に日本人向けのガイド本があると聞き、図書館の場所を聞き、向かう。


図書館というには小さく、駅前の本屋程度だ。どうやら貸し出しはしていないが、書き写すのは自由なようだ。

 鈴音はスマフォで写真を撮ったりメモしたりする。この世界の基本知識。マナー、政治制度、地理、冒険者の一般的な旅装、スマフォの充電方法、基本的な生物等々。いろいろ勉強になる。この世界には便利なものがあったものだと思う。退屈したのか桃はそこらを見てくるといって出て行った。


「ナンパされたでち」

 鈴音は一通り用を済ませた頃に帰ってきた。


「ナンパではござりんせん。同じ日本人だと思い声をかけたのでありんす」

 そこには十代中頃の褐色の肌の黒髪の人物がいた。見た目はとても愛らしく愛玩犬のようだが、少女にも少年にも見える。服装はフードがついたローブである。


「僕の名前は月見酒鈴音、彼女は葛城桃、君は?」

 取り敢えず自己紹介から始める鈴音。


「わっちはクロニャ、ウェアキャットでありんす。主さんは転移でありんすか? わっちは転生でござりんす」


 周りに人がいないか見渡した後ローブをめくるクロニャ、そこには獣耳が。ウェアキャットと言うことは猫に変化できるか。あまり強そうではないなと鈴音は思った。

 クロニャが再びフードをかぶる。ちなみにクロニャは日本人らしき人物を見かけ歓喜したが、服装を見てためらって一時間ぐらい尾行してたという裏話がある。


「なんで廓詞なんでちか?」


「遊郭で禿をしてござりんした。ここからしばらくした地〈ユーカクハナマーチ〉でありんす。足抜けしたでござりんす。黒髪、褐色の肌、獣人は立場が低いでありんす。売られたでありんす」


「それはきいて悪かったでち。でも今は自由なんでちよね?」


「足抜けした者には死が待ってござりんす。しかして、チート能力で撃退しなんした」

 遊郭にいたというだけあって。クロニャはかわいい、体型はローブに隠れて見えないが顔の幼さの割に高身長だ(ちなみに桃は胸がでかいちょうでかい)。


 良くないとされる黒髪もさらさらでフードからこぼれる様がかわいらしい。顔もとても愛らしくミニチュアダッグスフンド(フント派とフンド派で分かれる。どちらも間違ってはいないらしいと桃談。鈴音はフンド派だった、全くもってどうでもいい話だが桃はフント派である)のようだ。いや、猫か。とがった八重歯がチャームポイントである。


「一ヶ月前ほどに、〈ショーカン王国〉が、勇者召喚したと聞きなんした。主さんはその件でありんすか?」


「いや、僕達は別件だ、今日トラックに轢かれて転移した。だからこの世界には詳しくないんだ。一緒に旅しないか?」


 鈴音はこの出会いはまたとないチャンスだと思っていた。


「いいでありんすよ。わっちもこの外見で一人旅は危険だと思っていたでありんす」


「そうだな、かわいいし子供だもんな、まあ、僕も子供といっちゃあ子供だが」


「そちらより、忌み姿の方が問題でござりんす。日本で言えば道端を横切る黒猫ポジションでありんす。黒猫は不吉なんでありんすよ」

 その姿がどんなに不利かクロニャから聞く。


「そういえば、あちき達と話すときは廓詞でなくていいでちよ」

「それは・・・・・・、訛りがひどいので許しておくんなし」


「クロニャは転移ではなく転生だ、おそらくこの世界の言語で喋っている。廓詞もそう翻訳されるだけで日本語とは別物だ。しかして、クロニャが廓詞を話すと僕達の言語野にインプットされてしまった、おそらくクロニャが普通の言葉で話しても俺たちには廓詞に聞こえるだろう」


「ふーん、よくわかんないでちけどわかったでち」

「ちなみに桃の『でち』はどう聞こえているんだ」

「幼な言葉に翻訳されているでありんす。ちょっと――いやかなり痛いでありんす」


「グサっ」と桃がよろける「いいでち! あちきはあちきででちを貫くでち。というかこの世界〈サイショーノマチ〉とか〈ユーカクハナマーチ〉とか名前がそのままでち」


「いや、それは違う。その名はこの世界の固有名詞なはずだ。だからたまたま日本語と一致しただけだ」

「怪しいでち」

 疑いの目を向けてくる桃。


「まぁ、それともかく〈てってれークロニャが仲間になった〉でちね。これから三人旅よろしくでち」


「っま、誘っておいてなんだけど完全に信用したわけじゃないから、変な行動はとらないでくれよな」

「お互い様でありんす」


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