夢とは
気がつくと椅子に縛り付けられていた。
「…またか」
何回目かを数えるのを諦めた悪夢が目の前にいる。
「賭けをしましょう」
暗がりから現れるは梟の仮面を被り喪服を着た女性。その手には三枚のカードがあり、それぞれ『死神』、『天使』、『』が描かれている。
「貴方が勝てば私の勝ち、私が勝てば貴方の負け、引き分けたなら私の勝ち」
無機質にいつも通りの台詞を言い、カードをシャッフルしてこちらに差し出す。
「待て、今回の賭け金は?」
「鎮まらない愛を、悲願を乗り越え狂える夜と共に、世界を交わす架空の由来を、ゆらゆら廻る焔の様に、逃げる兎も楔を自身に」
毎度のことながら意味がない言葉を紡ぐだけでこちらの質問に答えない。いや、こちらが理解出来ないだけで彼女なりに答えているのかもしれない。
「引けるカードは一枚まで」
裏返したカードから一枚選ぶ。絵柄は『』。
それを確認すると彼女は縄をほどいた。
「出口は霧氷に、入り口は黄昏の彼方に」
そして彼女は自らの首を手を使わずに折り、物言わぬ死体に昇華した。
柔らかな布団の中で目を覚ました私は決められた時間に決められた行動をする。それが終わると同時に私は布団に入り夢を見る。何も考えずに私はゆっくりと夢に堕ちていく。