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籠球クインテット♪  作者: 千園参
第3章 The love of two mothers and the last magic.
54/58

第54Q Your answer

毎日投稿に戻す予定は今のところないのですが、読者様を楽しませられるように、更新頻度を上げていけるように頑張りますので、よろしくお願いします!!

それでは楽しんでいってください!!

「よしぃ!これを見ろぉ!!」


 玉置先生が体育館に入ってくるなり、ウィンターカップ予選の対戦表を俺たちに見せてくれた。


「初戦の相手は夏の地区予選で敗れた上仙だぁ。ここは何としても突破するぞぉ!!」


「「「「はい!!!」」」」


 その頃、野梅大学の体育館では―――


「そういえばさー、すっかり忘れてたんだけど、この間の俺の宿題、考えてきたか?」


 柳さんがスポーツドリンクを飲みながら、築村に言った。築村は何で思い出すんだよと、顔に書いてあるような表情を浮かべた。


「俺に足りないものなんてない。足りないとしたら力だけだ」


「まーだ、そんなこと言ってんのかよ?このぼっち君」


「ああ!?誰がぼっちだ!!」


「いや、どっからどう見てもぼっちだからお前……」


 そう言って柳さんは悲しげな目で築村を見つめる。


「その目やめろ!!」


 追いかけっこをしばらくしてから、2人は走り疲れて、床に倒れ込んだ。

 息を整える中で、天井を見つめながら、柳さんは口を開いた。


「お前は試合中、走ってるか?」


「試合中に走るなんて、そんなの当たり前だろ」


 築村は何を言っているんだと言わんばかりの口調で答える。しかし、柳さんは築村の答えがわかっていたかのように、話を続ける。


「なら、誰よりも走れてるか?」


「…………」


 無言の中で築村は俺の姿を頭に浮かべていた。タイマーがゼロになる瞬間まで走り、スリーを放つ、俺の姿を。


「図星なんだろ?お前の頭に浮かんでる男と、俺が頭に浮かべている男はきっと同じのはずだ。12番、お前は彼に走り負けている。エースを名乗るなら、コートの上でチームの誰よりも走らなきゃダメだ。技があっても脚が動いてなきゃ、誰もお前を信用しなくなるぞ?どんな状況下にあっても、勝利を疑わずに走れ、勝利の瞬間まで走り続けろ。お前に足りてないのはその脚だ」


「………」


「玉置さんに聞いたぜ、もうすぐ予選なんだろ?そこで俺に見せてみろ。お前の答えを」


「わかった……」


「んじゃ、そろそろ始めるか!」


 勢いよく立ち上がり、柳さんはボールを手に取った。

 築村が柳さんと特訓を始めた頃、賀晴では練習が終わり、俺は居残りで、叔母さんのシュート練習を始めた。ジャンプシュートを連続で決める例の練習である。現在は50本連続に挑戦中。1人黙々とシュートを打っていると、扉で制服を着た女子が立っているのが目に入った。シュートをやめ、その人の方を見ると、そこに立っていたのは川端さんだった。


「あ、ごめんね。邪魔しちゃったね」


「いや、いいんだ。どうしたの?」


「特別何かあるわけじゃないんだけど、お礼を言いに来ただけなの」


 川端さんはもじもじと答える。


「お礼?俺なんかしたっけ?」


「この間、萌の練習に付き合ってくれてたでしょ?そういえば、姉として、ちゃんとお礼言えてなかったなって思って、これ!」


 そう言って、彼女は隠し持っていた紙袋を俺に手渡した。


「お礼だなんて、そんな大層なことしてないのに」


 こういうイベントは初めてなので、どう反応していいのかリアクションに困る。これが15年間彼女なしの男の実力ということなのだろうか……?


「これは?」


 紙袋の中身を覗き見ながら、川端さんに尋ねと、川端さんは嬉しそうに答えた。


「開けてみてっ」


 紙袋から出てきたのはスクイズボトルとスポーツドリンクの粉だった。


「ありがとう!大事に使うよ!」


「喜んでもらえてよかった!もし嫌じゃなかったらまた萌の練習見てあげてくれないかな?萌、藤崎くんのこと気に入ってるみたいだから」


 気まずそうに話す川端さんに対して、俺は笑顔で―――


「うん!また一緒に練習しようって伝えておいて!」


 と答えた。

 話を終え、俺は帰って行く川端さんの背中を見送った。それからシュート練習を再開した。せっかくなので、水分補給をもらったスクイズボトルで行うことにした。気持ち美味しく感じるのは気のせいなのだろうか。それとも本当にこのボトルの力なのかは不明である。


 練習を終えて帰宅すると、そんな気はしていたが、やはり叔母さんに訊かれることになった。


「あら、綾二、こんなボトル持ってなかったわよね?どうしたのこれ?まさか女!?」


 叔母さんが感づいたように言う。その夫の浮気が発覚したみたいな言い方やめなさいよ。


「友達からもらったんだよ!」


「友達って女?」


 なぜそんなに相手が女であることにこだわるのだろうか。これではまるで俺が悪いことをしているみたいではないだろうか。


「女の子だけど、なんでもないから!」


「なんでもない女の子がこんなのくれるかなー?」


 どうしてそこまで追求してくるのだろうか。俺が誰と仲良くしてようと叔母さんには全くもって関係のない話では……。


「図星ね?図星なのね!」


 どうもこんにちは、羽川詩音です。どうやらこの頃、私が面倒を見ている綾二が色めきだっているようで、私は心配です。


「ダメよ綾二!そういうのはもっと大きくなってからよ!」


「そんなんじゃないってば!それと語り手を取るのいい加減やめて!!」


「やめません」


 意味がわからない。この仕打ちの意味は皆無なのではないだろうか。一体誰が得をするというのだろうか。この時間は無駄以外のなんなのだろう。


「助けて……母さーん……」

今回までがのんびり回でした。ここからは凄まじい試合が展開される予定です!

それでは今回も読んでいただきありがとうございました!!次回をお楽しみに!!

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