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籠球クインテット♪  作者: 千園参
第3章 The love of two mothers and the last magic.
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第53Q Summer vacation is over

めちゃくちゃどうでもいい話なのですが、物語の時系列が現実の季節に追いついてきてしまいました。

それでは楽しんでいってください!よろしくお願いします!!

 バスケ同好会の合宿も終わり、今日から通常の練習が再開されることになった。


「で、特訓の成果はあったわけ?」


 木山さんに尋ねられた。


「うーん、まぁまぁ……かな?そっちは?どんなことしたの?」


 今度は俺が木山さんに合宿のことを尋ねてみた。


「うーん、練習自体は学校でやってることと変わらないわよ。ただまるまる1日練習できるわけだから、自主練の時間が長くてよかったかも」


「へぇーそんな感じなんだー。俺も合宿行きたかったなー」


 叔母さんと過ごした1週間はかけがえのないものとなったが、それでも合宿に行けなかったことは悔やまれるところである。

 そんな話をしながらいつもの練習メニューをこなしていると、何かに気付いたかのように玉置先生が俺たちを集合させた。


「集合ぅ!もうすぐ夏休みも終わってぇ、ウィンターカップの予選が始まるぅ。まぁそれはそれでいいんだがぁ、ところでお前ら夏休みの宿題は終わってんのかぁ?」


「「「「…………」」」」


 俺たち4人は顔を見合わせ、言葉を詰まらせた。


「なんで誰もやってねぇんだよぉ!木山ぁ!普通、女子は紅一点でやってるもんだろうがぁ!」


 木山さんに理不尽な火の粉が飛びかかる。


「はぁ?意味わかんないんだけど……」


 木山さんは冷静に答えた。確かに何を言っているのか全く意味がわからない。


「学生の本分は勉強だろうがぁ……。今日はもう練習終わりだぁ。帰って宿題終わらせろぉ。始業式で1人でも宿題が終わってないなんて話を先生たちから聞いたら

 ただじゃおかねぇぞぉ!解散!!」


 こうして唐突に練習が終了した。

 玉置先生の言葉で思い出したが、あと1週間で夏休みは終わってしまうのだった。1ヶ月以上あった夏休みもこうなってしまっては呆気なく、切なさを感じるものである。


「夏休みも終わりかー」


 という、ありきたりなセリフを言ってみたりする。


「本当、あっという間だったっスねー」


 相田はつまらなさそうに言った。


「まぁ海は行けたし、よかったんじゃないのか?」


 俺が言うと―――


「それはそうなんスけど、もっと満喫したかったっスよね」


 確かに夏休みは練習の毎日であった。夏休みだと言うのに、家と学校の往復、練習が始まると体育館のオールコートで往復ダッシュ。もう何が何だかさっぱりである。


「はあーあ」


 夏休みの思い出を振り返ると、そこに笑顔など出てこず、深いため息しか出てこなかった。

 そんなこんで家に帰っていると、ランニングをしている女の子を見かけた。すると、その女の子は俺の顔を見て、あっと言うような顔をした。


「あ、お姉ちゃんの!」


 そう、その子は以前、海で会った川端さんの妹である川端萌ちゃんであった。


「やあ、元気?」


「うん!」


「「……………」」


 前回会った時は川端さんがいたから、そうは思わなかったのだが、いざこうして2人きりになると、とてつもなく気まずい。しかし、俺は海で萌ちゃんと話したことを思い出したので、そのことを言葉にすることにした。


「今は練習中?」


「今日は練習休みだから、自主練って感じかな」


「そっかそっか!もし時間あるならこの間、海で言ってたシュート練習、一緒にやらない?」


 俺の言葉に萌ちゃんは笑顔を満開にさせ、輝いた目で一言返事した。


「やる!!」


 ということで、俺と萌ちゃんはバスケットゴールのある公園でシュート練習を始めた。しかし、参ったことに女の子はボスハンド(両手打ち)で打つ子が多いため、シュートフォームを教えてあげることは難しいのかもしれない。


「じゃあ、打ってみて」


 俺はボールを萌ちゃんに渡し、一度彼女がどのようなシュートを打つのかを見ることにした。彼女のシュートを見た上で、率直な意見を言う。


「もう少し膝のバネを使った方がいいね」


「膝のバネ?」


「うん、今の萌ちゃんは腕だけで打ってる感じだから、膝をしっかり曲げて、跳ぶときの反動をもう少し利用すると、もっと遠くから打てるようになるよ。確か萌ちゃんもSGだよね?SGはアウトサイドでシュートを打つ場面も多いポジションだから、どこからでも打てるようになってた方が、きっと監督も君のことを使いやすいんじゃないかな?」


「やってみる!」


 萌ちゃんは膝を意識してシュートを打ち始めた。彼女は飲み込みが早く、シュートを打つたびに上達が伝わってきた。


「ちょっと休憩しようか」


「うん」


 自販機で缶ジュースを買い、ベンチに腰掛けて2人で飲んだ。


「バスケはずっとやってるの?」


 俺は萌ちゃんに尋ねた。


「中学から」


「今何年生?」


「一年生」


 目が飛び出るかと思った。これを聞いたとき、間違いなく彼女にはセンスがあると思った。バスケを始めてまだ数ヶ月のわりに、とてもいいシュートを打つからである。


「じゃあ、これからが楽しみだな!」


「うん!お兄ちゃんはいつからやってるの?」


「うーん、そういえば、気がついたら頃にはずっとやってたなー。数少ない母さんと繋がりなんだよな」


「お母さんはどうしたの?」


「死んだんだ。俺が小さい頃に病気で」


 それを聞いた萌ちゃんはとても暗い顔してしまった。


「ごめんなさい……」


「いや、いいんだ!ずっと昔のことであんまり覚えてないし、だから、悲しいとかそんなんではないんだ……」


「寂しくないの?」


「寂しくない!って言ったらきっと嘘になるのかなー?でも、俺は1人じゃないから」


 日が暮れ始めた頃、川端さんが萌ちゃんを探しに公園にやってきた。


「萌、こんなところにいた。そろそろ帰ってきなよー、っって!藤崎くん!?」


 川端さんは目が飛び出そうになっていた。


「や、やあ」


 とりあえず、俺もぎこちなく挨拶をすることにした。俺と川端さんのぎこちないやり取りに、萌ちゃんは何をやっているんだこいつらはと言わんばかりの顔をしていた。


「じゃあ、お兄ちゃん、また教えてもらってもいいかな?」


「ああ、2人で強くなろう!」


 こうして俺は2人と分かれ、家に帰った。こんなことをしている場合ではないことを家に帰って思い出した。


「やばい!宿題やらないと!!」


 俺たちの夏休みは終わり、いよいよ今年ウィンターカップ予選が幕を開けようとしていた。

次回から第3章最大の死闘が始まります。第3章最終回は作者がもうこれ以上のものは書けないと自画自賛してしまうほどの、結末を用意しています!!

今後の展開をお楽しみに!!

それでは今回も読んでいただきありがとうございました!!!

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