第5Q Five stars
「やったれ魔法少女」並にちゃんと設定を考えているので、やはりちゃんと設定を考えているとスラスラと文章が浮かんできますね。改めて設定をちゃんと考えることは大事だなと思いました。
それでは楽しんでいってください!よろしくお願いします!!
仲本さんと1on1をしたその翌日―――俺は仲本さんのことを思い出していた。昨日のことを考えているといてもたってもいられず、昼休みに体育館でスリーの練習をすることにした。試しにジャンプシュートを打ってみることにした。仲本さんのイメージを頭に残した状態でシュートを打ってみるものの、何かが違う。それはシュートにも現れた。打ったシュートはエアボールになってしまった。エアボールとは放ったシュートがゴールリングやネット、ボードなどのどこにも当たることなく、落ちることを言う。まだまだ練習が足りないってことなのか。いつか完璧な3Pシュートを打てるようになりたい。ひたすらシュートを打ち続けていると、体育館に誰かが入ってきた。
「すごい上手だね。そんな遠くから入っちゃうなんて」
1人の女子生徒が俺のシュートを見ながら言う。
「あ、ありがとう」
「あ!邪魔しちゃってごめんね!私もう行くね!それじゃあ、がんばってね!」
そう言って女子生徒は体育館を急ぎ足で出ていってしまった。ふと体育館の時計に目をやるともうすぐ、昼休みが終わりそうだったので切り上げることにした。さっきの子は一体誰だったのだろうか。
そんなこんなで放課後―――いつものように3人でランニング、筋トレ、階段ダッシュをこなして、体育館に入る。体育館に入るとそこに1人の女子生徒がボールでシュートを打っていた。その子はTシャツにバスケットパンツを着ていかにも選手と言うような姿で練習していた。
「あのー、今からバスケ同好会で使いたいんですけどー」
恐る恐る女子生徒に尋ねると、女子生徒は―――
「丁度良かったわ。ウチ、バスケット同好会に入部したいんだけど」
「あ、そうなんだ!それなら大歓迎………って、ええ!!?」
思いもよらぬ入部希望者に驚きが隠せない。
「残念だけど、女子バスケ部はやってないんだけど……」
「だから何?男子でいいから入りたいんだけど」
しかし、やる気のある部員であれば、男であろうと女であろうと関係ないのかもしれない。
「わかった。いいよ」
「いいんスか!?」
「築村を勧誘するのに部員は必要だったし、丁度いいじゃないか。歓迎するよ。えっと名前は……」
「木山玲奈よ。1年同士、これからよろしくね」
「よろしく木山さん」
こうして形はどうであれ、バスケット同好会は4人目の部員を獲得することに成功した。
部員が4人になったことで練習のレパートリーも増えていき、ようやくバスケ部っぽい練習ができるようになってきた。
木山さんは練習に対してすごく真面目に取り組んでおり、体力なども俺たちに全く引けを取らない、いい選手であった。
「木山、すごいっスね!」
「ああ、すごい」
最初は抵抗を見せていた相田と大滝も彼女と練習を一緒に行う中で認め始めていた。
「木山さん、動きは初心者って感じでもないし、ポジションはどこなの?」
俺は誰もが気になるであろうポジション問題を聞いてみることにした。
「うーん、中学時代、女子の中では大きい方だったからセンターとかフォワードをやってた」
女子の中で収まる話ではない。何故なら彼女は俺よりも背が高い。なんてことだ。
「そうなんだ!丁度うちフォワードがいなかったから助かるよ!じゃあ、木山さんにはフォワードをお願いしようかな!」
「わかったわ。アンタは背がちっちゃいみたいだけど、どこなの?」
「ちっちゃ……。お、俺はシューティングガード……」
女子に小さいと言われるとやはり傷つくものである。
「そうなんだ。大滝はセンターでしょ?相田はポイントガード?」
「よくわかったっスね」
「それっぽいもの」
「またそれっスか……」
木山さんと俺たちは同じバスケが好きなもの同士として、すぐに打ち解けることができた。そこへ玉置先生がやってきた。
「ん?新入部員かぁ?」
「はい、木山玲奈です。今日からよろしくお願いします!」
「入部したからには半端は許さねぇぞぉ?覚悟しとけぇ!」
「はい!お願いします!」
玉置先生は木山さんのことを全く突っ込む様子はなく、速攻で入部を認めた。
「練習はどこまでやったぁ?」
「スリーメンまでっス」
「そうかぁ。時間も時間だしなぁ、よしぃ、フリー練1時間やったらぁ、片付けして撤収だぁ」
「「「「はい」」」」
フリー練習で俺がスリーの練習をしていると、木山さんか話しかけてきた。
「驚いた。アンタ、その身長でスリー届くんだね」
「まぁね。これから全国の頂点を目指すんなら切り札は必要だろ?」
「へぇーいい心がけね。ウチは届くかしら」
木山さんも3Pラインからシュートを放った。ボスハンドで放たれたシュートは綺麗なアーチを描きはしたものの、残念ながらエアボールになってしまった。ボスハンドとは両手打ちのことである。男子は基本的にワンハンドであり、ボスハンドは女子が使用していることが多い。
「残念ながら、ウチにはその力はまだ無いみたい」
「練習すればできるようになるさ」
「それもそうね。練習してみるわ」
練習を終えたその帰り道、日も暮れ、薄暗い公園で築村が1人練習しているのを見かけることになった。その姿はとてもしなやかで無駄のない動きと、とてつもない跳躍力でダンクシュートを決めてしまった。
「す、すごいな!」
人生で初めて見た生のダンクシュートに思わず声が漏れてしまった。
「誰だ?なんだお前か」
「いや、ごめんごめん。盗み見るつもりはなかったんだけど、目に入っちゃって。部員4人集まったぜ」
「随分かかったな。まぁ約束は約束だからな。明日の練習、顔を出す」
話が終わった後も俺はしばらく、築村を見ていた。
「なんだ?まだなんか用か?」
「いや、明日が楽しみだなって思ってさ。それじゃ、また明日な!」
これで遂に5人揃う。試合ができるようになるのだ。そう思うとワクワクが止まらないのだ。
木山玲奈を男子バスケ部に入れるという型破りなことをする辺りは、やはり私らしいかなと思っています。ちなみにこんなことは現実世界ではそうは無いと思います。あくまでもフィクションだからこそできることかなと思いますので、ご了承ください。
それでは今回も読んでいただきありがとうございました!次回をお楽しみに!!