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籠球クインテット♪  作者: 千園参
第3章 The love of two mothers and the last magic.
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第46Q Amanoboshi Versus Kairan Part 3

今になって思うと、そこそこな試合数を書いていると本当にパターンがなくなってきたなという感じが否めなくなってきました。あとはキャラクターの味で勝負するしかなさそうです。

それでは楽しんでいってください!よろしくお願いします!!

 梅西が入ったことで天ノ星が流れを変え始めていた。神田さん以外のアタッカーが増えたことで神田さんにもいい位置でパスが回るようになり、持ち味のスリーが生かされてきていた。


「ちょーっと不味いわね」


「ちょっとどころの話じゃないかもよ」


 鷹岸さんと桐野さんがボールを運びながら話し合う。その隙をついて、神田さんがスティールでボールをカットした。


「あら、盛んなのね」


「ちっ!」


 神田さんは舌打ちして鷹岸さんを抜き去った。


「行かせない!」


 近藤がヘルプに入るが、近藤を十分に引き寄せたところで、走り込んでいた梅西にパスを出した。


「天ノ星はこんなところで止まんねぇべ!」


 そう言って梅西は両手で豪快なダンクを決めた。このダンクはただのダンクではなく、仲間たちに勢いを与える着火剤となった。この攻めをきっかけに流れは完全に天ノ星へと移り変わっていた。


「クソ……完全に調子に乗せちまったな……」


 桐野さんが汗を拭う。


「大丈夫だ、まだ焦る時間帯じゃない。ゆっくり俺たちのバスケをやろう」


 雨木さんがドリブルでボールを運びながら、人差し指を立てた。屋沢さんが桐野さんについている梅西をスクリーンで足止めし、桐野さんがその隙に素早く、雨木さんからボールをもらった。そしてまたしても独特なフォームでシュートを決めた。


「やっぱ今日の俺は絶好調だぜ!」


「あら、航牙ちゃんやるじゃないの!ワタシも負けてらんないわね〜!」


 天ノ星が流れを掴んだかに思われた第2Qであったが、海蘭は嘲笑うかの如く、流れを引き戻してしまう。

 中村さんがスクリーンアウトで近藤を押し出し、パスをもらってシュートに向かう。


「まだ1年坊主に負けるわけにはいかねぇよな!」


 そう言ってフックシュートでゴールを決めた。

 いつの間にか試合は点取り合戦に発展しており、観戦している俺たちも息をつく暇もない状態になっていた。しかし、天ノ星にとって点取り合戦は良くない状況であることに間違いはない。点差を詰めたい天ノ星は海蘭の攻撃を止めて、カウンターで得点を量産したいはずなのだが、海蘭の攻撃を止めることができないでいるのだった。


「(やはり止めなければならないのは4番と7番の息の合ったコンビプレーだろうな。スコアを見るにこの2人の得点が最も多い。となると、神田と梅西が勝利の鍵を握っているな)」


 菊川さんは手に汗を握る。

 ボールが鷹岸さんに渡る。


「あなたじゃもうワタシを満足させることはできないのかしらね……」


「いちいち、気持ち悪いんだよ」


 鷹岸さんがシュートフェイクを仕掛けると、神田さんはそれをブロックしようとし、上に手を伸ばす。


「あら、脇がガラ空きよ?」


 神田さんの脇からワンバウンドで近藤にパスを出した。近藤はパワードリブルで中村さんを押し込みにかかるが、中村さんは上手くディフェンスにつき、シュートを打たせないように守っていた。


「だから言ったろ、1年坊主には負けないってよ!」


 押し込めないことに動揺した近藤の隙をついて、中村さんがボールをカットした。


「速攻!!」


 中村さんが全力で前を走る梅西にボールを投げた。梅西はボールをあえてキャッチせず、自分の前でバウンドさせてそのままドライブへと変換した。ドライブで駆け上がる梅西の前に全速力で戻ってきていた桐野さんが立ち塞がった。


「俺を抜けるか?」


「アンタはオレちゃんが頂点に行くためのロイター板にしか過ぎないべ」


 ロイター板とは跳び箱を跳ぶ際に使用する踏み台のことである。

 梅西は手こずることなく、桐野さんを抜き去った。


「マジかよ!?」


 そしてそのままジャンプし、ダンクに行くと鷹岸さんが間に合ってしまい、ブロックに跳んでいた。


「航牙ちゃんナイス足止めよ!」


 鷹岸さんが手を伸ばし、ボールに触ろうとすると、梅西は空中でボールを下げ、ビハインドパスの形を取った。


「(このタイミングでビハインドパス!?なかなか柔軟な子ね!ゾクゾクするわ!!)」


 鷹岸さんがパスコース先を確認するとまわりには誰も走っていない。


「(どういうことなの?誰も走ってないわよ?まさかプレーミス?まだまだ青いわね!)」


 すると、梅西はそのままビハインドパスの形のまま、ボールをゴールに向けて放った。


「えぇ!?シュートなの!!!?」


 思わず声が漏れ出てしまう鷹岸さん。そして無茶苦茶に放たれたシュートは、なんとゴールに吸い込まれていった。


「バケモンかよ……」


 その様子を見ていた近藤が呟いた。

 ベンチの菊川さんは梅西のプレーを見て、顔に手を当てながら、高笑いを上げた。


「はっはっはっはっは!!!(お前は天才だよ。お前をアメリカから呼び寄せた俺の目に狂いはなかった。お前を止めることのできる人間はこの世のどこにもいない!!)」


 すると、ブザーが鳴り響いた。


「タイムアウト青」


 タイマーがタイムアウトを告げた。どうやら、よくない流れを断ち切るために河原さんがタイムアウトを取ったようであった。


「はぁ、はぁ、あの15番なかなかやるわね……」


「ここからどうする?」


「金山を投入するか?」


 河原さんが鷹岸さんに尋ねると、鷹岸さんは―――


「ワタシもそれは思ったけど、まだね」


「その理由を聞かせてくれ」


「おそらく、相手は余裕なく全力を注いでいるわ。第2Qでとりあえず、全部吐かせてしまって手数が無くなったところを一気に墜とすわ」


 鷹岸さんがそう言うと、金山さんが口を挟んだ。


「えー!俺まだ温存すか?つまんないのー!」


「我慢しなさい!」


 鷹岸さんが言うと金山さんはオモチャを我慢させられた子供のような返事をした。


「はーーい」


 既にダブルエースという切り札を切った状態の天ノ星とまだ何かを隠し持っている海蘭。死闘は続く。

この試合の主役はどこからどう見ても鷹岸だな言えるほどの、鷹岸の圧倒的存在感。鷹岸とふざけてるけど強い、人気高い系レールに乗って欲しいですね(笑)

それでは今回も読んでいただきありがとうございました!次回をお楽しみに!!

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