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籠球クインテット♪  作者: 千園参
第2章 Deathfight with Amanoboshi!!!
37/58

第37Q Versus Amanoboshi Part 4

皆さんこんにちは!天ノ星編もいよいよ折り返しです。スポーツものって展開をわりと読みやすい作品群なのかなと思います。展開を読めないように物語を進行させるのが結構難しいですね(笑)

それでは楽しんでいってください!よろしくお願いします!!

 俺はパスをもらい、西田さんをドライブで抜くことに成功した。


「よし!このまま!」


 しかし、ヘルプで速水が前に出る。反応がとても速い。速水だけに?そんな冗談を言っている場合ではない。速水がヘルプにきたことでフリーになった大滝にパスを出した。大滝は冷静にシュートを決めた。


「簡単にパス出されてんじゃねぇよ!」


 中村さんが速水の頭にチョップを入れる。


「あだっ!すんませんすんません!!」


 速水は平謝りであった。


「(天ノ星相手に戦えてる。確かに点差は凄まじいけれど、でも、第1Qまでとは違うわ!)」


 原口さんから西田さんへのパスを木山さんがカットした。そのままドライブでゴールまで持っていく。しかし、神田さんが既に戻っていた。


「(さすがに速いわね)でも!」


 木山さんは斜め後ろにいた俺にパスを出した。そして俺はスリーを決めた。それと同時に第2Q終了のブザーが鳴った。


「よく決めたわね」


「決めなきゃ何されるかわかんないしな」


 そう言って俺と木山さんはハイタッチを交わした。


「スリーでブザービーターなんて洒落臭いことしてくれるな。まぁそうじゃなきゃ面白くねぇよ」


 中村さんが俺に声をかけてきた。


「望むところです」


 俺も言葉を返した。

 ここからハーフタイムに突入した。


「(点差は68-43と離されてはいるがぁ、よくここまで食らいついてるなぁ。顧問をやってる俺が驚くのも変な話だがぁ、驚きだなぁ。コイツら鍛え方によってはまだまだ強くなるなぁ。でもぉ、この試合はここまでかぁ……)」


 玉置先生は前半の試合内容からそんなことを考えていた。玉置先生は正しい。確かに現在、点差を広げられずに済んではいる。しかし、それは全力を出してそのレベルである。つまり全力を出しても点差を詰めることはできないのだ。創部したての賀晴で対抗できるほど、全国常連校は優しくないのである。

 一瞬たりとも気を抜けない試合で頭が沸騰しそうな俺は外へ出て、手洗い場で頭を冷やしていた。


「25点差か……。キッツイな正直………」


 顔を洗い、体育館に戻ろうとすると天ノ星の選手が1人立っていた。


「ん?トイレならあっちだよ?」


 俺は体育館の脇にあるトイレを指差した。


「違う。俺はアンタに用事があるんだ」


 そう言って天ノ星の選手は俺を指差した。


「俺?俺なんかした?」


「アンタ、どうやってそのスリーとドライブを身に付けた?」


「これはすごい単刀直入だな。それを聞いてどうするのさ?」


「俺のものにするんだ」


 何故か真剣な天ノ星の選手の顔を見ていると、笑いが込み上げてきた。


「ふふ。君、名前は?」


 俺はとりあえず、名前を書くことにした。


「俺は明智 舞兎まいと


「そっか。じゃあ、明智。俺はこのスリーとドライブを毎日練習して身に付けた。ただそれだけ。特別なことなんてしてない。毎日スマホやテレビでスリーやドライブの動画を見て、練習したんだ。今天ノ星のコートに立っている人もうちのチームメイトも、きっと同じだと思う。何もしていない。ただ夢中で強くなりたいとか、試合に出たいとか、そんな思いで練習したんだ。何も難しいことはないよ」


「そうか」


「自分から聞いといて反応薄いな!?」


「あんまりにも普通なこと言うからつまんないと思ってさ」


 なんと失礼な男なのだろうか。


「つまんなくて悪かったね。ただ努力っていうのは側から見たらつまらないもんさ。だがら、努力できる人とできない人に分かれるんじゃない?」


「なんだか損した気分だ」


 そう言って明智は体育館に戻っていった。


「なんだったんだ?」


 俺は首を傾げた。変な男に絡まれてしまったと心から思った。

 そうこうしているうちにハーフタイムの10分が終わりを迎えようとしていることに気づき、急いで体育館に戻った。


「ふー、間に合った」


「さてぇ、後半戦だがぁ、インサイドはかなり崩せてはきているがぁ、あの10番が築村についたのは予定外だなぁ。スクリーンで外すしかなさそうかぁ?」


「んなの必要ねぇよ」


 玉置先生に対して築村は食い気味に答えた。


「俺はどんな奴が相手だろうと負けない。負けるわけにはいかないんだよ」


 築村はそう言ってコートへ向かって歩き出す。俺は築村の背中に呼びかける。


「築村!」


「ああ?」


 築村が振り返る。俺は思っていることを素直に言うことにした。


「カッコつけんなよ」


「はぁ?今そんなこと言う流れじゃなかっただろうが!」


 俺たちが盛り上がっていると、それをベンチから明智が見ていた。


「なんであんな奴が………」


「ん?明智なんか言ったか?」


「いえ、何も」


 そして天ノ星の選手たちもコートに入り、いよいよ第3Qが始まった。第3Qは天ノ星のオフェンスから始まる。俺たちは気を引き締めた。


「来るっスよ!ディフェンス!」


 原口さんが神田さんにパスを出す。神田さんは木山さんにフェイクを仕掛けることなく、スリーを打った。誰もが後半開幕早々、ノーフェイクで放たれたスリーを見守る。そしてそれはスパッという綺麗な音を立てながらゴールへと吸い込まれていった。


「開幕早々スリー!さすが神田さん!!かっけぇ!!」


「(ちっ、カッコつけやがって!)」


 中村さんは神田さんの背中を睨みつける。その姿を見て俺は、この人は仲間だと思った。


「反撃いくわよ!」


 木山さんがボールを入れ、オフェンスに切り替える。相田がドリブルでボールを運び、築村にパスを出す。


「俺を倒せるか?」


 築村の前には中村さんが高く聳える。


「俺はこんなところで壁にぶち当たってる場合じゃねぇんだよ!!」


 築村はインサイドに侵入した俺に気づき、一度俺にボールを渡し、中村さんを振り切り、もう一度パスをもらいシュートを決めた。サッカーで言うところのワンツーってやつだな。


「築村溱くん。チームのためのエースに覚醒しつつあるな。一匹狼なら狩るのは容易だが、仲間という牙を付けた獣は一筋縄ではいかんな(梅西にはないものを築村くんは持っているということだな)」


 菊川さんが築村の中村さんの撃破の仕方に驚いた表情で言った。

 原口さんが中村さんにボールを回す。ターンで大滝を出し抜き、シュートを放とうとした時―――


「中村!」


 神田さんが声を上げた。


「!?」


 築村が凄まじい跳躍で中村さんのシュートをブロックした。ブロックしたボールはゴールのバックボードに直撃し、跳ね返る。そのボールを相田が広い、ドライブで速攻に向かう。そこへ原口さんが立ちはだかる。


「僕もそろそろ見せ場を欲しいんスよね!!」


 そう言って相田は原口さんをドライブで抜き去り、レイアップを決めた。


「相田ナイッシュー!」


 俺は相田とハイタッチした。


「流れはうちに来てるぅ!油断せずに行けぇ!!」


 玉置先生も声を張り上げ応援する。


「スポーツは何が起こるか最後までわからない。だから面白いんだったか藤崎姫乃よ」


 菊川さんはコートを走る俺の姿を目に焼き付けながら、試合の行方を見守っていた。

天ノ星サイドからどんどん新キャラが登場しますね。マジでやめろよって感じです。今回登場した舞兎は物語にそこそこ絡んでくるキャラなので要チェックです!

それでは今回も読んでいただきありがとうございました!次回をお楽しみに!!

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