第34Q Versus Amanoboshi
サブタイトルをつけたことによって少しだけ展開がわかるようになったので、タイトルから察するに、ついに第2章もクライマックスか!?と思わせる戦いが幕を開けようとしています。
「死闘!天ノ星」を見逃さないように!
それでは楽しんでいってください!よろしくお願いします!!
そしてついにこの日がやってきた。今日は天ノ星との練習試合当日である。賀晴が会場であるため、俺たちは早めに体育館に行き、会場設営を行なっていた。
会場設営を終え、俺たちはフリーシューティングを始めると、体育館の扉が開いた。扉から入ってきたの、成旬の時とは比べものにならないほど大所帯の天ノ星学園バスケ部であった。
「すごい部員数っスね……」
ぞろぞろと入ってくる部員たちに相田は驚きを隠せない。しかし、俺、木山さん、築村はすぐにあることに気づいた。それは成旬と戦った時のメンバーであった無良さん、佐藤さん、吾妻さん、仁田さんがいなかったことである。
「(どういうことだ?)」
築村がそんなことを考えていると、梅西が築村に声をかけてきた。
「よっ!元気にしてたっぺか?」
「まさかこんなに早くお前と闘えるとは思ってなかったぜ」
スターティングメンバーの姿はなかったが、中村さん、神田さん、梅西と主要なメンバーはいる。これは一体どういうことなのだろうか。
それにしてもこの3人だけでも、とてつもない威圧を感じた。2階席から観ていた時とはまた違った感覚であった。
「玉置、今日はよろしくな!」
そう言って入ってきたのは監督の菊川さんだった。
「来たなぁ菊川ぁ!」
玉置先生はものすごい形相で菊川さんに近づいていく。
「玉置、お前も老けたな」
「お前程じゃねぇ」
2人は同時にそっぽを向いた。その様子から察するに2人は簡単に話せる間柄ではないのかもしれないと思った。
その後、天ノ星がウォーミングアップするのを待ち、いよいよ練習試合を開始することになった。
「相手はどれだけの実力を持ってるかわからないチームだぁ。ならぁ、やることは一つだぁ。こっちは全力で挑むぅ!それだけだぁ!」
玉置先生が俺たちに気合いを入れる。俺たちはユニフォームに着替え、コートに入る。今回は黒のユニフォームで試合に挑む。
一方、天ノ星ベンチでは―――
「そうだな。それじゃあ、スタートは中村、神田、梅西、原口、西田で行こう。相手は県大会に出場していない格下だが、油断だけはするなよ?食われる可能性がある。よし、いけ!」
天ノ星の5人もコートに入った。
今回も例のごとく、俺たち賀晴には審判やタイマー、得点板に割ける人員がいないため、天ノ星の選手たちが担当してくれた。
「それでは整列してください。これより天ノ星学園 対 賀晴高校の試合を始めます。礼」
「お願いします!」
選手プロフィール
賀晴高校 ユニフォーム黒
相田侑亮 4番 PG 171cm
大滝慎太郎 5番 C 188cm
築村溱 7番 PF 177cm
木山玲奈 10番 SF 166cm
藤崎綾二 12番 SG 163cm
天ノ星学園 ユニフォーム白と紫
中村晴人 10番 C 190cm
神田煌 7番 スウィングマン 177cm
梅西隼 15番 SF 176cm
原口 20番 PG 174cm
西田 19番 PF 179cm
「(それにしてもマジで変わったチームだな。12番はすげぇちっさいし、10番に限っては女だろ。これはこれで面白いかもな)」
中村さんはジャンプボールのためにセンターサークル内へと入りながら思った。
審判がボールを上げ、試合が開始された。ボールに触り主導権を握ったのは天ノ星であった。
「原口、落ち着いて一本だ」
そう言って中村さんが原口さんの肩を叩く。
「お、おう!」
中村さんはまるで大滝がその場にいないのではないかと思わせる程のスクリーンアウトで簡単に大滝を外へと押し出してしまった。そしてパスをもらう。
「これでとりあえず先制点っと!」
フックシュートでゴールを決めた。
相田はすぐにボールを入れてリスタートする。
「中が固いなら、こっちは外からっス!」
俺にパスを出す。天ノ星は俺がまさかスリーを打つと思っていなかったらしく、マークが甘くなっており容易にスリーを打つことができた。そして決めることができた。
「よし!まだまだこれからだ!」
俺はすぐディフェンスに戻る。
神田さんがボールを入れ、原口がドリブルで運び、梅西にパスを出したが、ボーッとしていた梅西はボールをキャッチ出来ず、ファンブルしてしまう。
「あ、」
築村がそんなミスを見逃す訳もなく、ボールを奪う。それを見た俺は走り出す。そしてパスをもらいスリーを決めた。
「連続スリー……。あの12番何者だ」
天ノ星ベンチがざわつき始めた。すると、菊川さんがスコアボードに話しかける。
「あの12番名前なんだっけ?」
「えっと、12番、藤崎……藤崎綾二ですね」
「藤崎、藤崎。どっかで聞いたことあるような気がするな」
「知ってるんですか?」
「ん?ああ、俺の知ってる藤崎綾二ってことでいいのかもしれないな。(スリーを得意としてるあたりを見ると間違いなく姫乃の子か)」
天ノ星ベンチでそんな話が繰り広げられていた頃、コートでは―――
「梅干し、お前何やってんだよ」
「す、すんません……」
中村さんが梅西の頭をグリグリ攻撃していた。
「ただ、試合に出てるだけなら誰だってできるんだよ。やる気がない奴は消えろ」
神田さんはそう言ってボールを入れた。
「ドンマイドンマイ!切り替えていこうな!」
原口さんが梅西の背中を叩いて励ます。その様子を菊川さんもしっかりとチェックしていた。
「(梅西はシックスマンとして起用することが多いが、それ故か、はたまた元々の性格か、梅西はギリギリのクロスゲームでしか本来の力を発揮しない。だが、チームで闘っている以上それは許されない。ましてこれからお前が学年を上げていけば、お前はエースを背負う可能性だってある。そこで力が発揮できませんじゃ、誰もお前を認めない。お前をこの試合に連れてきたのはお前を天ノ星のチームの一員として覚醒させるためだ)」
シックスマンとはベンチスタートの中で、試合状況に合わせて出場し、スターティングメンバーと変わらない実力を持っている選手のことを指す。
原口さんは神田さんにパスを出す。神田さんはそのまま木山さんを抜き、インサイドに侵入した。
「ヘルプお願い!」
木山さんのヘルプに反応して、築村が前に出るが、フルドライブのスピードを一気にゼロにし、ストップ&ジャンプシュートでゴールを決めた。
「神田先輩ナイッシュー!!やっぱりカッコいいよな!」
天ノ星ベンチが盛り上がる。
止めることのできないフルドライブと、そこから一気にスピードを殺しての全くブレのないジャンプシュート。神田さんのシュートはまるで芸術を見ているようだ。
「俺もあんなシュートを打てるようになりたい」
4-6でうちがリードしているが、まだ試合は始まったばかり、何が起こるかわからない。なぜなら相手は県大会を制した天ノ星学園なのだから。
神田が異彩を放ちすぎているような気がしてなりませんね。ポジションが1人だけ違うので、かなり目立ちますよね。
さて、ここから賀晴と天ノ星の死闘をお送りしていきますよ!
"Grab the heavenly star"
それでは今回も読んでいただきありがとうございました!!次回をお楽しみに!!




