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籠球クインテット♪  作者: 千園参
第2章 Deathfight with Amanoboshi!!!
30/58

第30Q Seisyun Versus Amanoboshi Part 5

今回は私が一番好きな回ですね。こんなにハートフル(自分でも何を言ってるのかわからない)な回を書いたのは初めてかもしれないですね。

それでは楽しんでいってください!よろしくお願いします!!

 1点差まで追いつかれても、天ノ星は乱れない。


「ここからが本当の勝負ってか」


 菊川さんは腕を組んだ。


「梅西!準備しとけ」


「その言葉待ちくたびれたっぺよ」


 そう言って梅西はバッシュの靴紐を結び直した。


「(驚いたな……あの10番。うちの神田と渡り合えるだけの実力を持っていたとは。神田と違うのは仲間を信頼しているというところか。仲間を信頼しているエースと仲間を信頼してないわけじゃないが、頼らないエース。果たしてどっちのエースが強いんだろうな)」


 菊川さんは固唾を飲んで見守る。


 神田さんは冷静にディフェンスを躱し、ジャンプしシュートにいく。そこに若林さんがブロックに入る。


「もらった!」


「もらってねぇよ……」


 神田さんはそう言って、シュートとの手を下げた。


「ダブルクラッチか!?」


 神田さんはそのまま空中でパスを出した。


「オッケー」


 中村さんへと渡ったボールはダンクによってゴールへと入っていった。


「(あれだけ追い上げムードを食らってもビクともしねぇ。これが天ノ星か……)」


 仲本さんはそう思いながら、汗を拭う。


「だが、所詮ゴール1本分。もうさっきみたいには離されねぇよ。反撃いくぞ!!」


「(いかんな。こんな時だというのに、俺の悪い癖だが、お前がチームのために全力で走り勝利をもぎ取ろうとしている姿を見ると、いつも思い出してしまうんだ。お前と初めて会った日のこと。お前の覚悟を初めて聞いた時のことを)」


 若林さんは走りながら、ふと思い出に浸ってしまった。


「(俺が2年生になり、1年生が練習に初めて参加するその日、初めて仲本と出会った。仲本は成旬側からスカウトした選手。その実力は実際とても凄いものだった。しかし、第一印象は最悪で、とんだクソ野郎をスカウトしてしまったのではないかと思った)」


『なんで俺様をスカウトしたんだよ?もっと他にいたんじゃないの?ねぇじいさん聞いてる?』


 仲本さんが東堂さんに言う。


『お前監督になんて口を聞いてるんだ!』


『なんだよ、怖いオッサンだなー』


『オッサンではない!若林だ!』


「(それから共に練習し、共に試合に出て勝利を重ねた冬、俺は部長に選ばれた。自分には何の取り柄も才能もないと思っていただけに、驚きが隠せなかった。それにちゃんとチームをまとめられるか不安だった)」


『マジかよ。オッサンが部長かよ!笑えるぜ!オッサンはオッサンだろ。アハハハ』


 笑いながら仲本が言う。


『オッサンではない!これからは部長と呼べ……』


『なに照れ臭そうにしてんだよ!あー似合わねっ』


「(俺に対していつもそんな態度だから、俺は仲本がどんな気持ちでバスケをしているのか、疑念を抱いていた。そんなある日のことだった)」


『そんなに気になるなら確かめればいい』


 東堂さんが何食わぬ顔で言う。


『確かめる?』


『まぁ君は物陰にでも隠れて見てるといい』


『は、はい』


「(俺は監督に言われるがまま、物陰に隠れた)」



『おい、仲本。ちょっと来なさい』


 東堂さんが手招きして仲本さんを呼び出した。


『なんだよ。じいさん』


『お前はいつもそんなチャラチャラした態度だが、もっとエースとしての自覚を持て、若林も不安に思っているよ』


『ああ?そんなこといちいち言われなくてもわかってるっての!俺様がキャプテンを天辺まで連れて行ってやんだよ!!』


『馬鹿者が………ぐすんっ』


「(今になって思えばお前は俺にだけは全力を見せてくれるんだ。俺に対するパスも、練習の1on1もその全てが全力で、手を抜いたことなんて一度もなかったな。俺に敬意を表していたということだったのだろう)」



「おい!キャプテン!なに涙ぐんでんだよ!そういうのまだ早いぞ!勝つぞ!」


「キャプテンじゃない!オッサンだ!当然だ!!(不思議だな。お前のことは好かんと思っていたのに、今ではお前となら本当に頂点にいける気がするんだ)」


 仲本さんはディフェンスを躱し、スリーを決めた。


「うおおおお!!逆転!!成旬が逆転したぞ!!!」


 ドラマのような逆転劇に観客が大歓声を上げた。


「やったぞ、オッサン!!」


「よくやった!!」


 仲本さんと若林さんがハイタッチを決めた。

 そんな2人の様子を見て、木山さんは―――


「なんか良いわね。ああいう男同士の絆って」


「俺もそう思うよ」


 あの2人は眩しい程に輝いていた。


「行かせぬ!」


 松本がパスをカットする。


「松本!ようやく仕事したな!こっちだ!」


 仲本さんがパスを要求する。


「うむ」


 その流れでシュートを放つがそれは神田さんにブロックされてしまった。


「そう簡単に点差を広げさしてはくれないってわけか」


 その後、決められたら決め返すという展開が続き、点差が動くことはなく、試合は拮抗状態を保ったまま第3Qが終了した。


「さてと、第4Qそろそろ最後のシナリオといくか。梅西、吾妻と交代だ」


「了解」


「梅西お前がやることは一つだ。成旬を陥す。これだけだ」


「わかってるべ。まぁ見てなって期待に添えて見せっぺよ」


 インターバルが終了し、選手がコートに入る。そして梅西もコートへと入った。



 吾妻 → 梅西



 選手プロフィール


 梅西隼 15番 SF 176cm



「なんだあの赤い頭のやつ……」


 斬新奇抜な梅西の出場に会場がざわつき出した。


「気を抜くな。何か仕掛けてくるぞ」


 天ノ星の並々ならぬ空気を察した若林さんが4人に呼びかける。

 いよいよ県内最強の座を賭けた最後のピリオドが始まろうとしていた。

この回では若林と仲本の絆の強さを描きました。この2人のコンビ、大好きです。バスケでは点を取るコンビを作ることが大切と言います。果たして綾二とコンビを組むのは誰なんですかね。

それでは今回も読んでいただきありがとうございました!次回をお楽しみに!!

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