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籠球クインテット♪  作者: 千園参
第2章 Deathfight with Amanoboshi!!!
26/58

第26Q Seisyun Versus Amanoboshi

活動報告にて今後の章タイトルを公開しました。え?そんなネタバレして大丈夫?と思う方もいらっしゃると思いますが、章タイトルが判明して先の展開を読まれる心配はほぼないと思います。逆にわかったという方、私にメッセージください!答え合わせしましょう(笑)

それでは楽しんでいってください!よろしくお願いします!!

 その学校は決して部員数が多いわけでもない。かといって少ないわけでもない。どこにでもある平凡な部活動である。しかし、その実力はここ数年で急速に伸び、今年は最強の布陣とまで言われているほどであった。その学校の名は成旬高校。


「仲本!今日こそお前をコテンパンにしてやる!」


 若林さんが物凄い形相で仲本さんに1on1を仕掛ける。


「オッサンじゃ俺様には勝てないよ」


「オッサンじゃない!部長と呼べ!!」


 仲本さんの目にも留まらぬドライブで若林を完全に抜き去る。そして強烈なダンクを決めた。


「な?言ったろ?俺様には勝てないんだって」


 これは至極当然のことなのだが、部員が多いと同じポジションの人間が複数に現れる。それは5人の枠を争うライバルでもあるわけだが、そのポジションならではの技を磨く、絶好の練習相手でもあるのだ。賀晴は5人しかいないため、基本的にポジションごとの練習相手が存在しない。俺や木山さん、相田といったポジションは同じような体格の人間がいるため多少ポジションが違えど、相手をすることができる。しかし、センターに関してだけはリバウンド練習をしようにも、スクリーンアウトの練習やパワードリブルなどのインサイドプレーは同じ体格でなければ、務まらないのだ。それ故にうちの大滝は常にちゃんとした練習ができているとは言い難い。

 それに比べてここ成旬高校は部員数に恵まれているため、常に専門のプレーを練習することができるのだ。


「集合!」


 若林さんが声を張り上げ、部員たちを集める。そこへ東堂さんがやってきた。


「明日はいよいよ県大会の決勝戦だね。今日の練習はここまでにして明日に備えてね。それじゃあ、解散だよ」


 そう言って東堂さんは帰っていった。

 成旬は地区大会を難なく突破し、県大会に出場を決めた。その後、俺たちを敗った上仙すらも苦戦することなく勝利を収め、県大会決勝戦まで上り詰めたのだ。戦う相手は天ノ星。県内最強とされる強豪校である。今年は最強の布陣とされている成旬は天ノ星相手にどこまで戦えるのだろうか。


 その日練習が終わっても、仲本さんは1人体育館で練習していた。


「はぁ……はぁ……。俺様は一体何やってんだかな………」


 ボトルに入ったドリンクを飲みながら、仲本さんは思いに耽る。


「全くだ。1人でこそこそと何をやってるんだ」


 すると、若林さんがやってきた。


「げっ!オッサン!何でまだいんだよ!」


「オッサンではない!部長と呼べと何度言ったらわかるんだ!お前のような低脳なやつの考えなどお見通しだ馬鹿者」


「そうかよ……。なぁオッサン、成旬は勝てると思うか?」


「明日のことは俺にもわからん。だが、俺は一度でいいから見てみたい全国の舞台を。その夢が今、手の届くところまで来ている。明日はそれを掴み取るための戦いだ。邪魔するものは薙ぎ倒すだけのことだ。あと俺はオッサンではない」


「勝とうぜオッサン」


「当然だ」


 若林さんと仲本さんは拳を合わせた。


 一方、天ノ星では―――


「よっこいしょっと!」


 ディフェンスを抜き去り、赤髪の男が豪快なダンクを決めた。


「梅干し、調子良さそうだな」


 中村さんが赤髪の梅西に声をかける。梅西はその赤い髪によって、まわりから梅干しと呼ばれている。本人は嫌がっているようだが。


「明日に向けてもう万全ですよ!」


「それは良かった。まぁお前の出番はないかもだけどな」


「なんだって!?」


「おいコラ!無駄口叩いてんじゃねぇよ!」


 佐藤さんが2人を叱る。


「「すんません!」」


「お前ら集合ー」


 変なおっさんの菊川さんが部員たちに集合を呼びかける。


「お前らも知っての通り、明日はいよいよ成旬との一戦だ。確実に勝ってインターハイ本戦に出場するぞ。いいな?」


「はい!!」


「よし、じゃあ、今から明日のベンチ入りのメンバーを発表する」


 俺たち賀晴には無縁の話であるが、公式戦においてベンチに入れるのは15人までである。したがって部員数が100人を超える天ノ星はその中から15人を選出しなければならない。15人のベンチを選び、その中からさらにスターティングメンバーが決められるわけで、試合に出場できる5人の実力はまさに神域と言っても過言ではないのだろう。


 菊川さんが15人を呼び上げた。


「あとはこっからは自主練するなり、休むなり好きにしろ。その代わり、明日の集合に遅れたらブチ殺すから覚悟しとけよ」


 そう言って菊川さんは体育館を後にした。


「もうちょっと練習していくか。おい、誰か練習に付き合ってくれ」


 中村さんは練習相手を探し始めた。


「んじゃ、オレちゃんは帰っぺ」


 梅西はそそくさと帰っていった。


「アイツは本当に練習に対するやる気がねぇな」


 佐藤さんは帰った梅西を見て呟いた。



 そして決勝戦当日―――俺は何故か木山さんに誘われて成旬と天ノ星の試合を見に行くことになった。今は駅で待ち合わせ中である。


「ごめーん!待った?」


「今来たところだよ」


「そっ。そういう気遣いはできるのね」


「ん?」


「何でもない!行くわよ!」


 俺と木山さんは電車に乗り、県立の中央体育館に向かう。そこで県内最強を決める試合が行われるのだ。俺もいつかその舞台に立ってみたいものである。会場に到着すると、大勢の観客たちで体育館内は既に大盛況になっていた。まだ試合は始まっていないにも関わらず、この賑わいであれば、試合が始まったらどうなってしまうのだろうか。

 俺たちは2階席で試合を見ることにした。席に座ってしばらくすると、選手たちがベンチに入り始めた。


「成旬頑張れ!!今年こそ県大会優勝してくれ!!」


 成旬メンバーに歓声が上がる。俺たちはこんな凄いチームと練習試合をしたのかと思えるほどの歓声であった。

 そして対戦校の天ノ星もやってきた。


「今年も天ノ星で決まりか!!県内最強の名は伊達じゃない!!」


 成旬以上の歓声が巻き起こった。この時の俺はまだ知らない。天ノ星がどんなチームなのかを。しかし、ベンチ入りした梅西を指差し木山さんが言う。


「あ、あの赤い髪の」


「ん?」


 俺は木山さんが指差した方を見ると、俺もどこかで見覚えのあるような気がしたが、誰か思い出せない。


「木山さんは知ってるの?」


「うん。この間、学校に来てたんだよね」


「マジ?」


「うん。築村を探してた」


 あの梅西と築村は一体どんな関係なのだろうか。築村もちょっと怖い雰囲気があるし、まさかヤバい間柄なのかもしれないと思った。


 そんな話をしていると全ての準備が整い、いよいよ試合が始まろうとしていた。


 選手プロフィール


 成旬高校 ユニフォーム緑


 若林太一 4番 PF  181cm

 澤木祐  15番 PG 174cm

 上野正樹 11番 C  187cm

 仲本剛志 10番 SF 176cm

 松本徹平 12番 SG 173cm



 天ノ星学園 ユニフォーム白と紫


 無良賢成 4番  PG 175cm

 佐藤基矢 5番  PF 180cm

 吾妻俊希 6番  SF 176cm

 仁田弘志 8番  SG 175cm

 中村晴人 10番  C 190cm



「これより天ノ星 対 成旬の試合を始めます!礼!」


「お願いします!」


 審判の号令で試合が始まった。

え?第2章のタイトルの死闘って賀晴と天ノ星のことなんじゃないの!?と思ったそこのあなた。甘い、甘いですよ。そう簡単には戦わせません。だからと言って、コアなファンの方が離れていくのは辛いのでやめてください。お願いします。

それでは今回も読んでいただきありがとうございました!次回をお楽しみに!!

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