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籠球クインテット♪  作者: 千園参
第1章 Gahare and the beginning of everything.
22/58

第22Q Versus Yoshimitsu Part 5

吉満戦もいよいよ最終局面に突入します。ちなみに話は180度変わるのですが、コンテストに今作を応募しようとした時に、今後の物語の展開と結末を簡潔に書いてくださいって項目があったんですよね。それを見てコンテストに出すのを断念しました。今作の最終決戦にはその全てが詰まっています。ネタバレ厳禁でいきますよ!!

それでは楽しんでいってください!よろしくお願いします!!

 吉満高校―――それは今から3年前に創設された新設校である。新設校であるが故に上級生もいなければ、部活もない。そのため部活は全て生徒たちが自分自身で創部するしかなかったという。そして当時1年生だった塩山幸助さんもその1人であった。


「俺はバスケ部を作ろうと思う!お前らも付き合えよ」


「えぇー!マジかよ!部活なんてそんなめんどくさいこと誰がやるんだよ!」


 榎本さんは猛反対した。


「いいじゃないか!俺たちを縛る先輩もいないんだし、むしろ自由に部活ができるんだぞ?これって魅力じゃないか??」


「うーん。確かにそれは魅力だな……」


「な!やろうぜ?」


 塩山さんの猛烈なアタックに負けた榎本さんは、2人でバスケ部を創部させた。しかし、その後松田さんを加えた以来、バスケ部は誰も入部することはなかった。そのため試合を行うこともできず、残りの数ヶ月は来る日も来る日も3人での練習であった。


「確かに先輩に絞られることはないけど……。試合できないのはつまんねぇな……」


 榎本さんは体育館に倒れ込んだ。


「そうだな……。来年は必ず最低2人は入れよう!さっ!練習再開だ!!」


 塩山さんはいつも前向きに部を引っ張っていった。時に衝突することもあったが、それでも来る春まで潰れることなくやって来れたのは、塩山さんの人格があったからだろう。

 そして春になると待望の新入部員が大勢入ることになった。その中には今俺たちと試合している山谷さんに馬場さんの姿もあった。


「おっ!君マネージャー志望なの!?マジ?超可愛いし大歓迎!!」


 植木さんの入部に榎本さんは大喜びであった。


「コラコラ、植木さんが怖がってるだろ!やめろ!」


 塩山さんがはしゃぐ榎本さんを叱る。


「やれやれ、お前は本当に真面目ちゃんだな。もうちょっと喜んだらどうだ?なっ?君も喜んで欲しいよな?」


 榎本さんは植木さんに尋ねる。


「はい!喜んで欲しい!」


 植木さんは大声で言った。


「こりゃ参ったな……」


 塩山さんは面倒臭そうに頭を掻きながらも、その表情にはどこか嬉しさが滲み出ていた。

 そして新チームになってから練習試合を重ね、昨年の地区大会決勝戦、接戦の末に上仙を打ち破ることに成功した。


「やった!勝った!!あの上仙に勝ったぞ!!」


 塩山さんはチームメイトたちと抱き合いながら喜んだ。

 そしてある時―――


「先輩!私、先輩のことが好きです!」


 植木さんは塩山さんに告白した。


「ま、参ったなー。まさか俺モテてたなんて!本当に俺でいいのかい?」


「はい!私、先輩と同じ景色を見たい!!」


「こんな俺でいいなら、よろしく頼むよ」


 2人は結ばれた。

 しかし、現実はそんなに甘くはなく、県大会の初戦で対戦することになった成旬によって、インターハイの夢は脆く崩れ去った。


「インターハイに行くのは俺様たちだ!!また来年出直してきなっ!!」


 仲本さんは豪快なダンクを吉満ゴールに叩きつけた。成旬高校の力は凄まじく、県大会を突破することすら地獄のように思えた。しかし、県大会決勝戦で成旬は敗れることになる。あれ程までに強かった成旬が負けるなんて、インターハイで勝ち上がることは不可能なのではと思える程の力の差がそこにはあった。

 それでも3年生最後の年には必ず、インターハイという舞台に立つことを夢に見てここまで努力してきた塩山さんは今ここで俺たちと対峙し運命を決しようとしている。


「負けるものか!」


 塩山さんが物凄いプレッシャーをかけてくる。


「俺だって負けられないんだ!」


 俺はドライブで塩山さんを抜き、シュートを決めた。


「くそっ!」


「幸助くん……」


 塩山さんが悔しそうにしていると、植木さんも悔しそうにする。この2人はとても強い絆で結ばれているのかもしれない。


「心技体ぃ……。お前らは勝てるかぁ」


 玉置先生は固唾を飲んで見守ってくれていた。


「お前らが勝ちたいと思うように俺たちだって勝ちたいんだよ!!」


 そう言って築村は榎本さんのレイアップをはたき落とした。そのままドライブで松田さん、山谷さん、塩山さんを抜き去り、ダンクを決めた。


「3枚抜き!!?あの7番化け物かよ!!!それに得点見ろよ!!同点だー!!!!!」


 そして第3Q終了のブザーが鳴った。

 現時点での点差は70-70で同点となった。


 ベンチに座る俺たちに玉置先生は―――


「あの追い込まれムードからよく巻き返したなぁ。褒めてやるぅ。次が泣いても笑っても最後だからよぉ、悔いなくプレーしてこいぃ」


「「「「はい」」」」


「築村ぁ、お前はいつも返事しねぇなぁ?反抗期かぁ?」


 玉置先生が築村に肩を組みながら言う。


「うるせぇ!絡んでくんな!」


「おおぉ、怖い怖いぃ。どうでもいいけどぉ、お前にこのチームはかかってんだぜぇ」


「ふん」


 築村はそっぽを向いた。


 一方、吉満ベンチでは紺野監督がチームに声をかけていた。


「お前たちは本当に最高のチームだったよ」


「監督……そういうのは今言うタイミングじゃないと思う」


 塩山さんがハッキリと言う。


「それもそうか!ははははは」


「監督、マジ何言ってんだよ!」


 ベンチ内で笑いが起こる。


「冗談はここまでにして、勝て!勝って成旬高校を倒しに行くぞ!!」


「「「「「おー!!!!」」」」」


 2分間のインターバルが終了し、両チームがコートに戻る。


「「同点か。一瞬でも気を抜けば負けが確定するなこの試合」」


 仲本さんと上仙の伊沢さんが同じことを言った。


 いよいよ最後の戦いが幕を開ける。

吉満にスポットを当てて書いてたらマジで誰が主役なのかわからなくなってきました。別に吉満求めてないけどって替え歌ができそうな程ですね(笑)

それでは今回も読んでいただきありがとうございました!次回をお楽しみに!!

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