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籠球クインテット♪  作者: 千園参
第1章 Gahare and the beginning of everything.
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第21Q Versus Yoshimitsu Part 4

第1話の設定を大幅に変更しました。吉満戦を書き終えて、現在第2章を書き始めているのですが、そこで第1話の設定を絡めてのエピソードがあるので、読み直していただけると助かります!よろしくお願いします!!

それでは楽しんでいってください!!

 第3Qが幕を開けた。雑念がプレーを鈍らせる。俺は塩山さんにシュートブロックされてしまった。


「あ、」


「よし!速攻だ!」


 塩山さんがドライブで駆け上がる。しかし、その攻撃は築村がなんとか防いでくれた。


「何やってんだよ。集中しろ!」


「ごめんごめん」


 確かに集中しなければ、ふざけて勝てる相手ではないということはさっきの第2Qでもう分かりきっていることだ。集中しなくては。

 相田が鋭いパスでディフェンスの穴を突き、木山さんにボールを回す。パスのおかげでフリーになった木山さんはシュートを放つが外れてしまった。


「ありゃりゃ、今のは決めないとな」


 変なおっさんが声を漏らす。


「でも、その前のパス。人じゃなくて、スペースに出して選手をフリーにしてたな。賀晴、結構見所あるチームだな」


 また始まってしまった変なおっさんの独り言に、まわりの観客は恐怖を感じていた。


「リバウンド!」


 木山さんの外したシュートを築村が回収し、ボードに当ててシュートを決めた。


「フリーで打てた時は決めないと意味ないぞ」


 築村が木山さんに言う。


「ごめん……」


「ディフェンスだ!」


 ボールが馬場さんに渡る。パワードリブルで大滝を押し込んで、シュートを決めた。


「馬場!ナイッシューだ!」


 吉満がさらに勢い付いてきた。ここで流れを断ち切らないとそれこそ県大会なんて夢のまた夢になってしまう。

 俺は相田からパスをもらい、塩山さんと1on1の状況を作る。


「それにしてもあの12番と4番のマッチアップ、体格差あり過ぎだよな」


 観客からもそんな声が聞こえてくる。そんなことはいちいち言われなくてもわかっている。こういう場面が突破できないようじゃ、この先に進んだって行き詰まるだけだから。

 小柄な人間の売りはスピードにある。俺はフェイクではなく、スピードで一気に抜き去る。シュート体勢に入ると、榎本さんがヘルプに来た。そこでワンバンでフリーになった築村にパスを出し、築村はダンクを決めた。


 塩山さんがボールを入れる。榎本さんにパスを出そうとしたところを築村は冷静にスティールし、レイアップを決めた。


「うおおお!なんかすごい試合になってきた!」


 吉満の負けじとゴールを決めてくる。


「ドンマイドンマイ!取り返そう!」


 相田から築村へとボールが渡る。すると、ディフェンスは築村に対して榎本さんと松田さんでダブルチームを組んできたのだ。


「マジかよぉ。ここに来てエースを叩きに来たかぁ」


 玉置先生もこの展開には驚いたようであった。


 ダブルチームとはオフェンス1人に対して2人のディフェンスが付くことである。こういったプレーはどうしても止めなければならないエースがいるなどの際に使われるものである。しかし、1人に2人を割いているため、4人を残りの3人で止める必要があるなどの穴埋めが必要であったりもする。


「築村にダブルチーム……」


「ちっ!」


 築村が2人のディフェンスに苦戦を強いられていた。


「エースとしてバスケをする以上、ダブルチームを組まれるのは必須と言える。正念場だな」


 仲本さんが見守る。

 しかし、築村はボールをカットされてしまった。


「よし!走れ走れ!」


 松田さんがボールを投げて遠くの塩山さんに渡す。


「ナイスパスだ!おりゃあああ!!」


 塩山さんはそのままダンクシュートを決めた。


「うおおお!吉満もダンク決めた!!」


 観客も大いに盛り上がる。


「いいねいいね!あの吉満の4番意外と選抜とか選ばれたりするかもな!まっ、勝ち上がれたらの話だけどな」


 変なおっさんが独りで盛り上がる。しかし、変なおっさんが独りで盛り上がる度にまわりはドン引きしていく。


 俺たちはエースと認めたくはないが、築村のダブルチームによる大幅な攻撃力ダウンと勢い付いた吉満の攻めによって、とうとう点差をひっくり返されてしまった。


「62-67………。吉満大逆転だ!!まるで漫画みたいだな!!」


 吉満の奇跡の逆転劇に観客も見に来た甲斐があったと大盛り上がりを見せる。


「(築村君のダブルチームはキツいっスね……。なんとかしないと点差を離されてしまうっス)」


 相田は木山さんにパスを出す。木山さんに山谷さんが厳しくマークにつく。


「(ったくだらしない男共ね!ここはやっぱり賀晴の紅一点の私がどうにかするしかないわねっ!)」


 木山さんが山谷さんを鮮やかなフェイクで抜き去る。


「なに!?ヘルプ頼む!」


 松田さんがヘルプに向かう。


「松田!ダメだ!!」


 榎本さんが焦って声を出す。


「もう遅い!!」


 ダブルチームにほんの一瞬だけできた隙を築村は見逃さなかった。木山さんからパスをもらい、レイバックシュートを決めた。

 レイバックシュートとはゴールに背を向けたまま、レイアップのようにボールを後ろに放るシュートのことである。


「65-67!!すごいクロスゲーム!!これが本当に地区大会なのかよ!!!」


 クロスゲームはちなみに追い追われの接戦のことを指す。


「伊沢!お前はこの試合どう見る!?」


「何度も言わせるな。試合は最後の最後まで何が起こるかわからない。昨年、接戦の末に俺たちが吉満に負けたようにな」


 上仙の伊沢さんは盛り上がる会場の中でも冷静に試合の流れを見ていた。


「こっちだ!」


 俺は木山さんからパスをもらい、スリーを決めた。


「しまった!」


 築村がディフェンスの流れを崩したことで、攻撃のリズムを取り戻しつつあった。認めたくはないが、こういうところも含めてエースということなのだろう。


「おいおい、点取合戦かよ。ホント何が起こるかわっかんねぇな」


 仲本さんもまたポテチを食べながら、試合を観戦していた。


「先輩どっからポテチ持ってきたんですか?」


「お前も食うか?」


「いただきます」


 続く。

今回はわりと笑いなしの試合オンリーな回だったような気がします。果たして綾二はリア充を倒すことができるのか。次回をお楽しみに!!

それでは今回も読んでいただきありがとうございました!!

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