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籠球クインテット♪  作者: 千園参
第1章 Gahare and the beginning of everything.
20/58

第20Q Versus Yoshimitsu Part 3

20話まで来ることが出来ました!またブックマークしてくださった読者の方、ブックマークはせずともわざわざ探し出して読んでくれる読者の方、皆様のおかげで私は楽しく作品を書くことができます。

これからも応援よろしくお願いします!

それでは楽しんでいってください!!

「45-22……。吉満って去年県大会出場したんじゃないのかよ……。賀晴、強すぎだろ」


 第2Q開始から3分が経過した今、点差は23点差で俺たちがリードしている。この間の成旬との試合が嘘のような得点である。そして吉満が2度目のタイムアウトを取る。


「吉満高校、タイムアウト」


「くそ……。強すぎる………」


 塩山さんはベンチに座り込み、呟いた。ベンチメンバーたちは吉満の5人にドリンクを渡したり、うちわで扇いだりしている。またマネージャーも必死になってメンバーをケアしているようであった。

 俺たちはそれを横目で見ていた。


「マネージャー……やっぱいいっスね……」


「これじゃどっちが勝ってるかわからねぇなぁ……。耐えろ今は耐えるんだぁ……」


 相田と玉置先生のそんなやり取りを見ながら木山さんは―――


「アンタたちまだそんなこと言ってんの!ホント信じらんないっ!!」


 プリプリに怒っていた。

 俺たちがそんなことをしていると、隣から強烈な音が聞こえてきた。慌てて隣に目をやると、植木さんが塩山さんに強烈なビンタを浴びせていた。


「な、何事!?」


 タイムアウトが終了した。コートに入ってきた塩山さんの顔には真っ赤な紅葉が添えられていた。とても痛そうである。


「だ、大丈夫ですか?」


 俺は塩山さんに声をかけた。


「ん?あぁ、大丈夫だよ!こうでもしないと君たちに勝てないと思ってね!」


 そう言った塩山さんの顔は今までとは明らかに違い、ここからは苦戦を強いられるようなそんな気がしてならなかった。そして俺の感は的中することとなった。さっきまでとは打って変わって、吉満が強烈な攻めを見せる。


「山谷!」


 塩山さんがパスをもらい、俺をドライブで抜く。


「しまった!」


 大滝がヘルプに向かうが、その前にシュートを決められてしまった。


「よし!ディフェンスだ!!守ってもう一本取りに行くぞ!!」


 塩山さんのシュートで勢い付いた吉満は今までにない一体感を放っていた。

 相田が木山さんにパスを出そうとするが、それを榎本さんがカットした。


「よっしゃ!速攻いくぞ!!」


 榎本さんがそのままドライブで駆け上がる。なんとか俺は自陣まで戻ったが、塩山さんが走り込んでおり、まんまと出し抜かれ、塩山さんにパスが渡る。塩山さんがレイアップを決めた。


「うおお!吉満連続ゴール!!調子出てきた!!」


「おっ、流れが傾いてきたな。ここからが本当の勝負だな。さーどうする?チビ助にモジャモジャ」


 仲本さんはこうなることを予測していたかのように語る。

 吉満の怒涛の攻撃で点差を一気に詰められてしまう。気がつくとその点差は50-36と14点差まで詰められていた。


「これが吉満の本当の実力……」


 その後も吉満の攻撃が緩むことはなく、俺たちは追い詰められていた。その様子を見ていた上仙もまた―――


「マジかよ!伊沢の言った通り、本当に流れが変わってきたな!」


「いや、まだわからない」


 伊沢さんは吉満の優勢であっても、表情一つ変えず試合を見守り続ける。

 やはり流れを持っていかれてしまうと、それまでは感じなかった疲労感が襲いかかってくる。しかし、吉満の流れを断ち切ってくれるかのように、第2Q終了のブザーが鳴った。ハーフタイムによる10分のインターバルに突入した。第2Q終了時点での点数は54-42と確実に点差を縮められていた。


「はぁ……はぁ……」


 俺はベンチに崩れ落ちるように座り込んだ。


「正直、キツいっスね……」


「キツイどころじゃないわよ……。大幅リードしていたのにこんな短時間で一気に詰められるなんて……」


 相田と木山さんも意気消沈という感じであった。今の展開を後半でも持ってこられると正直勝ち筋が絶たれていくのだろう。それだけは何としても防がなければならない。


 俺は頭を冷やすために一度体育館の外へ出た。すると、後ろから声をかけられた。


「よう!」


 振り向くとそこに立っていたのは仲本さんと上野くんだった。


「仲本さんに上野くん」


「この試合、勝てそうか?」


「それは……、まだわからないです……」


「まぁそりゃそうだな。試合は最後の最後まで何が起こるかわからないからな。現にお前らが追い詰められてきているようにな」


 インターハイ予選となる地区大会がまさかここまで大変だなんて想像はしていたけれど、想像が甘かった。


「でも、こんなところで負けてられない………。必ず県大会に出場して、この間のリベンジをしたいんだ!」


 そう現状は打破する以外に抜け道はないのだ。


「そうかよ。それを聞いて安心したぜ。仕方ねぇから県大会で待っといてやるよ。必ず上がってこい。ほら行くぞ上野!」


 仲本さんはそう言い残して去っていってしまった。


「ありがとうございます……」


 俺は体育館内に戻ることにした。すると、吉満の塩山さんとマネージャーの植木さんが外で何やら話しているようであった。


「さっきはありがとな。お前のビンタすげぇ効いたよ」


「私的には勝ってもらわないと困るんだからね」


「わかってる。今年は俺たちにとって最後の年だからな……。死んでも勝つよ」


「期待してるっ。私をインターハイに連れて行ってよねっ!」


 次の瞬間、2人は唇を重ねた。


「はあうわぁ!?」


「きゃっ////」


 物陰に隠れて2人の様子を見ていたら、とんでもないものを見てしまった。ん?俺とは別の反応をしてる人がいなかったか?俺は後ろを振り向くと木山さんが顔を赤らめて立っていた。


「木山さんも見た?」


 木山さんは手で顔を覆ったまま無言で首を縦に何度も振った。


「見ちゃったか……」


 何で俺たち2人が気まずくならなければならないのだろうか。何も見なかったことにして俺たちはその場を離れることにした。その間、俺と木山さんは無言であった。これが俺たちにはなかった、青春なんだなと実感させられた。

 俺たちはベンチに戻る。


「何かあったんスか?」


「いや、何も!」


 これから俺は塩山さんと植木さんを見るたびに、さっきの出来事を思い出すことになるのだろう。なんだか、心が痛い。

 インターバルが終了し、俺たちはコートに入った。まさか勝ったらまたするのか!?


「そんなのダメだ!」


「どうしたんスか!?」


 相田が驚く。


「あ、ごめん。何でもない!勝つぞ!!!」


「「「おー!!」」」


 俺たちは今一度気合いを入れ直し、リア充を倒す決意を固めたのだった。

私自身コメディが好きなので、どうしてもコメディ要素を入れたいんですよね。例えそれが試合中であっても。ちなみに今対戦している吉満が何故キスしたり、こんなことをするのかというと、イメージとしては主人公のチームをイメージしているからです。主人公だとこういうことってよくある気がするんですよね。それと相対したチームが今回の主人公ということですかね。頑張れ賀晴!リア充を打ち倒せ!!

それでは今回も読んでいただきありがとうございました!!次回をお楽しみに!!

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