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籠球クインテット♪  作者: 千園参
第1章 Gahare and the beginning of everything.
19/58

第19Q Versus Yoshimitsu Part 2

前にも言いましたが、一応この吉満戦で私の中では第1章的なものが完結なのかなと考えています。それでその後第2章が幕を開けるわけなので、ここら辺から第2章に向けての伏線を混ぜないとなと思いながらも、試合を書くのに必死すぎてそんな余裕がなかったです(笑)

それではそんな今作ですが、楽しんでいってください!よろしくお願いします!!

「またスリー!」


 俺はスリーを決めた。今日はとても調子がいい気がする。このリストバンドのおかげかも。第1Q開始5分、12-6で俺たちが6点リードしている状態である。


「今の流れは辛いな」


 塩山さんは疲れと焦りから大量の汗を流す。


「柳さんに比べたら、止まって見える」


 築村はそう言って、榎本さんのボールをスティールし、速攻を仕掛ける。ヘルプで詰め寄るディフェンスをことごとく躱し、強烈なダンクを決めた。


「賀晴やべぇよ……。まさかこのまま吉満負けちまうのか?」


 俺たちが吉満を圧倒したことで、会場は熱狂からざわつきへと変わった。試合の様子を先ほど翔葉と試合をしていた上仙の選手たちも見ていた。


「この試合どう思う?」


 徳田さんが伊沢さんに尋ねる。


「俺たちとの接戦で勝った吉満がここまで押されるとは、正直驚きだが、まだ試合は第1Qだ。何が起こるかまだわからない」


 伊沢さんは冷静に試合を見守る。


「吉満もスリー決めた!まだ死んでない!!」


 塩山さんがスリーを決めた。


「ディフェンスだ!」


「相手も調子が出てきたって感じっスね。ここは!」


 相田が木山さんにパスを出す。木山さんがドライブで切り込むのに合わせて俺はスクリーンをかけた。馬場さんがヘルプで前に出たところをワンバウンドパスで大滝ボールを渡す。大滝は冷静にシュートを決めた。


「大滝ナイッシュー!」


 俺は大滝とタッチした。

 その後も、築村き木山さん、大滝と確実にゴールを決めてリードを保っていく。そして第1Qが終了した。現時点での点差は22-13である。


「お前どっちが勝つと思う?」


 仲本さんが上野くんに尋ねる。


「うーん、どうですかね。去年先輩は吉満とやってるんでしたっけ?」


「質問を質問で返すんじゃねぇよ!県大会でやり合ったことがあるな。まぁ当然俺様たちが勝ったが、もっと骨のある奴らだと思ったんだがなー」


「ちなみに先輩はどっちを応援してるんですか?」


「なんで応援なんかしなきゃなんねぇんだよ。勝った方と当たるそれだけのことだろ」


 2分のインターバルも終了し、第2Qへ突入する。


「(流れは完全にうちにあるぅ。相手が本調子になる前が勝負だなぁ)」


 玉置先生は汗を拭う。

 山谷さんがボールを入れる。


「こっちだ!」


 塩山さんがボールをもらう。そして俺とのマッチアップになる。


「さっきは散々やられたけど、もうそうはいかないよ!」


 塩山さんがドライブで抜きに来る。しかし、なんとか抜かれないように食らいつく。180cmの大きさでとても速い動きをする人だと思った。そして高さを活かした上からのパスでボールは榎本さんに渡る。榎本さんが築村を抜きにかかるが、そこはさすが築村というところであり、全くと言っていいほど、抜かれる気配がない。


「だから、止まって見えるんだっての!」


 築村が榎本さんのボールをカットし、速攻に転じる。俺もそれに合わせて築村の前を走る。築村はディフェンスをギリギリまで引き寄せてから、俺にパスを出した。俺はダメ押しのスリーを決める。


「またスリー!?あの12番凄すぎだろ!その前の7番のドライブもキレッキレッだったぞ!!」


「取り返すぞ!」


 俺に対して山谷さんがスクリーンをかけた。その隙に塩山さんはドライブで切り込む。


「スクリーンっス!」


 相田が俺の代わりに塩山さんをマークする。


「もらった!」


 塩山さんは冷静にシュートを決めた。


「(こっちが優勢で攻めてはいるがぁ、突き放せないなぁ)」


 玉置先生は試合の様子を慎重に見つめる。

 相田がディフェンスの隙をついて、ドライブで素早く切り込む。俺は相田の後ろにまわり込むと、相田はノールック(こっちを見ないで状態)で俺にパスを出した。そのままスリーを決めた。


「今のプレー凄くなかったか!?あの4番、今12番のこと見てなかったぞ!?」


「ナイスパス!」


「ナイッシュー!」


 俺は相田とハイタッチした。

 俺たちが白熱した試合を展開している最中、二階席に1人の男がやってきた。


「おお、やってるやってる!茂さんが言ってた通り、本当に玉置が監督やってんだなー。どれどれ、どんな試合展開してんだ?」


 二階席で1人でぶつぶつと喋りながら試合を観戦しているので、まわりから変な目で見られていた。


「なんか1人でぶつぶつと言ってるし、怖いんだけど……」


「しっ!見ちゃダメ!」


 この変なおっさんは一体誰なのだろうか。


「賀晴の7番すげぇいい動きするな。身長もそんなに高い訳でもないのにダンクいけんのかよ!こりゃ来て良かった!いい収穫があった!」


 おっさんが見守る中、俺たちは攻撃の手を緩めることはなく、チャンスを逃さずにゴールを決める。


「遅い!」


 築村が榎本さんをあっさりと抜く。


「(嘘だろ!直登はうちのエースだぞ!そんな簡単に!?)」


 そしてそのままジャンプし、シュート体勢に入る。しかし、ヘルプで馬場さんがシュートブロックする。ボールを弾かれるかと思いきや、築村は一度ボールを下げ、逆の手でシュートを決めた。馬場さんは咄嗟の出来事で体勢を崩し、築村に強く接触してしまった。

 審判が笛を吹く。


「ディフェンス、黄色11番!バスケットカウント!ワンスロー!」


「ダブルクラッチ!しかもバスカン!?」


「あのモジャモジャやるじゃねぇか」


 仲本さんが築村のダブルクラッチを見て、言葉を漏らす。

 バスケットカウントとはシュートを放った時に、ディフェンスが接触などによるファウルが発生した際にゴールがそのまま決まった時に起こるもので、ゴールは有効となり、フリースローを1回与えられることを言う。バスカンという略され方をよくするものである。

 築村は冷静にフリースローを決めた。


「(3点プレー!やられた!)」


 塩山さんに焦りの顔が見え隠れする。

 フリースローは1点で、最初のゴールは2点なので合わせて3点プレーと呼ぶことがある。ちなみにスリーを放った際に起こった場合は4点プレーとなる。


「まだまだいくっスよ!」


 相田は木山さんにパスを出す。木山さんはワンツーの形で切り込む相田にパスを返し、相田がシュートを決めた。


「オフェンス1本大事に!!」


 植木さんが腹から声を出す。

 山谷さんがボールをドリブルで運び、榎本さんにパスを出す。パワードリブルで大滝を押し退ける。そしてシュートを決めた。パワードリブルで体を押し込んでくる相手に対してなつき方は少し難しく、負けじと体を押し出していくと、ファウルを取られかねないので、大滝はそれを危惧したようであった。


「ごめん……」


「大丈夫!取り返そうぜ!」


 俺は謝る大滝に声をかける。

 相田からパスをもらい、塩山さんを抜く。その際に大滝と目で連携の合図を出し、大滝がスクリーンをかける。俺はフリーとなったところでスリーを放つ。いいシュートを打てた時は見なくたって入るとわかる。俺は振り向かずに自陣へ戻る。後ろでスパッとゴールが決まった音がなる。


「またスリー!あのチビ今日何番目だよ!!しかも、入るの確認しなかったぞ!!まるで入るってわかってたみたいだ!!」


 観客の歓声を聞いて、変なおっさんが俺を見る。


「へぇー!あの12番、なかなか見所あるな!7番と12番が要のチームってことか。今度うちの連中と戦わせてみたいもんだな!まぁそうなると必然的にうちが勝つんだけどさ」


 おっさんは不気味に笑った。

変なおっさんは確実に伏線ですよね(笑)

さて、変なおっさんは今後どんな活躍を魅せてくれるのか、乞うご期待ください!

それでは今回も読んでいただきありがとうございました!!次回をお楽しみに!!

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