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籠球クインテット♪  作者: 千園参
第1章 Gahare and the beginning of everything.
18/58

第18Q Versus Yoshimitsu

「やったれ魔法少女」の時は誰も読んでくれない日なんてざらにあったのですが、今作は1日に誰かしらが読んでくれているという状況になっています。

とても嬉しいです!!

これからも頑張りますので、よろしくお願いします!!

それでは楽しんでいってください!

 試合前日の夜、俺は体育館に残ってシュート練習をしていた。大事な公式戦ということもあって、とても緊張している。すると―――


「明日試合なの?」


「だ、誰!?」


 まさか人がいるとは思っていなかったので、焦って声がした方を見ると、そこには川端さんが立っていた。


「ビックリした……。川端さんか」


「ごめんなさい。脅かすつもりはなかったんだけど」


「いや、いいんだ。川端さんはダンス部の練習だったの?」


「うん。今終わったところ。もうすぐ大事な時期だから、それに向けて練習してるの」


「そうなんだ!こんな遅くまで凄いな!」


「ふふ、それは藤崎くんもでしょ?」


 川端さんは笑いながら言う。


「あ、それもそうか。ははは」


 俺も笑い返す。


「もしかして緊張してる?」


 川端さんが俺に問いかける。


「うん。すごいしてる。この間の練習試合で負けちゃったってこともあるし、正直自信がないんだ」


「そっか。試合とかそういうのってどれだけ練習しても緊張しちゃうよね。わかるなーその気持ち」


「川端さんも?」


「うん。私も結構緊張しちゃうんだよねー。それでいつも上手くいかないの」


 川端さんの顔が少し曇る。どうしてそんなことを思ったのか今でもわからないけれど、川端さんにはそんな顔して欲しくないと思ってしまった。


「いつか見せてよ。君の踊る姿を」


「えー。どうしよっかなー」


 川端さんはいたずらに笑う。


「ねぇ、手を出して!」


 川端さんが言う。


「手?どうして?」


「いいから出してっ」


 俺は右手を出した。すると、川端さんが俺の手を取って、黒にピンクのハートが刺繍されたリストバンドをはめてくれた。


「え?これって?」


「私が普段使ってるリストバンド。御守りとして貸してあげるっ」


「いいの?」


「うん。いいよっ。そのかわり!明日は絶対勝ってね?」


「わかった!絶対勝つよ!」


 そんなことを思い出していると、自然と笑みが溢れた。そんな俺の様子を見て、木山さんはムッとしていた。


「(あんなリストバンド前はしてなかったわよね?誰からもらったのよ!!)」


「よしぃ!全員集まれぇ!相手は昨年の県大会出場校だぁ。故に今回も成旬の時と同様に厳しい闘いになるだろうぅ。だがぁ、お前たちは負けてから必死に努力したぁ。その成果をここで出しきれぇ!出し惜しみしたらぶっ飛ばすぅ!行ってこいぃ!!!」


「「「「はい!」」」」


 築村は相変わらず返事をしない。俺たち5人はコートに入る。

 その頃、吉満ベンチでは―――


「じゃあ、スタートを発表するぞ。塩山、榎本、松田、山谷、馬場。この5人で行こう」


 監督の紺野正道さんがスタート(スターティングメンバーの略)を発表した。


「「「「「はい」」」」」


 黄色いユニフォームに身を包んだ吉満の5人がコートに向かう。そこへ先ほどのマネージャー植木結奈さんが塩山さんの手を引く。


「幸助くん、頑張ってね!」


「任せとけ!」


 そう言って塩山さんもコートへ入る。

 マネージャーとのやり取りを見ていた俺たちはさらなる闘志が燃え上がる。


「(羨ましい!!ぶっ倒してやるっス!!)」


 いよいよ試合が始まろうとしている。


 選手プロフィール

 賀晴高校 ユニフォーム白と桃


 相田侑亮  4番   PG  171cm

 大滝慎太郎 5番   C   188cm

 築村溱   7番   PF   177cm

 木山玲奈  10番  SF   166cm

 藤崎綾二  12番  SG   163cm



 吉満高校 ユニフォーム黄色


 塩山幸助  4番  SG  179cm

 榎本直登  5番  PF  181cm

 山谷    6番  PG  178cm

 松田弥一  7番  SF  180cm

 馬場    11番  C  187cm



 審判がセンターラインに立ち、号令をかける。


「これより吉満高校 対 賀晴高校の試合を始めます!」


「お願いします」


 一同が礼をする。

 そしてジャンプボールに備える。ジャンプボールではうちからは大滝が、吉満からは馬場さんがセンターサークル内に入った。そして審判がボールを真上に高く上げ、試合が始まった。大滝がボールを弾いて、それを築村がキャッチした。


「このまま一気に攻める!」


 築村は山谷さん、塩山さんを抜き去り、ダンクシュートを決めた。

 観客席から歓声が上がる。


「うおー!!すげー!!先制点は賀晴だ!!!開幕早々ダンクだ!!あの7番そんなにデカくないのに凄いジャンプ力!!」


「よし、しっかり一本取り返そう」


 塩山さんがボールを中に入れ、試合を再開させる。山谷さんがボールをドリブルで運ぶ。そしてボールは山谷さんから松田さんへと渡る。木山さんとのマッチアップとなった。


「(榎本の言ってた通り、この10番マジで女だ。やりづらいな)」


 松田さんはもう一度ボールを山谷さんに戻し、その隙にインサイドに切り込み、ワンツーになる形でボールをもらい強引にシュート放つ。しかし、シュートは外れる。


「リバウンド!!」


 塩山さんが声を出す。うちの大滝も負けておらず、しっかりとスクリーンアウトし、リバウンドを奪われないような位置どりで構える。スクリーンアウト勝負の末に大滝がリバウンドを制した。


「速攻!」


 俺は大滝からパスをもらう。


「そう何度もさせるか!」


 塩山さんが立ち塞がる。


「(斜め後ろに7番が張り込んでる!パスか!!)」


 そう読んだ塩山さんが俺と築村のパスコースに立つ、しかし、俺もその動きを読んでドライブで塩山さんを抜き去る。


「しまった!」


 そのままレイアップを決める。

 またしても観客席から歓声が上がる。


「あのチビやるな!今のドライブ凄かったぞ!」


 流れを完全に掴めている。


「(やるな……。賀晴、正直言って、無名校だと油断していたが、油断していると足をすくわれるな……)」


 塩山さんが顔をペチペチと両手で叩き、エンドラインからボールを入れる。


「頑張れ!」


 植木さんが必死に声を出す。


「(俺たちはもう一度県大会に行くんだ!こんなところで負けてなんていられない!!)」


 塩山さんがドリブルで駆け上がる。

 その頃、観客席では―――


「おい!もう始まってんじゃねぇかよ!」


「いや、先輩が来るの遅いからですよ……」


「なんだよ?俺様のせいだって言いてぇのか!?」


「(いや、絶対それしか考えられないでしょ。集合時間30分もオーバーしてるのに。なんで図太い人だ………)」


 上野くんはそう思った。


「まぁいい。どれだけ強くなったか俺様に見せてみろよ」


 仲本さんは二階席で俺たちの試合を見守る。

 尚も俺たちの優勢が続く。


「相田!」


 築村が相田からパスをもらい、榎本さんを抜く。


「(速っ!?)ヘルプ!」


 センターの馬場さんがヘルプに入る前にシュートを決めた。


「落ち着け!」


 塩山さんが声をかけるが、一度崩れたリズムはそう簡単には戻らない。山谷さんが塩山さんに向けてパスを出したところを俺はパスカットした。そして前を走っていた木山さんにパスを出す。


「ナイスパスね」


 木山さんはレイアップを決めた。

 さらに猛攻は続き、塩山さんに相田がスクリーンをかけた。俺はドライブで抜き、スリーを放った。


「スリーだ!!」


 観客からもそんな声が聞こえてくる。

 そして放たれたスリーはゴールへと吸い込まれた。


「決まった!!あのガタイでスリーを打てるのかよ!!賀晴強ええ!!なんで今まで出て来なかったんだ!!」


 観客も大騒ぎであった。

 ブザーがなり、吉満がタイムアウトをとった。


「本当に創部して1ヶ月程度のチームなのか。とても信じられないほどの実力を持っているな」


 監督の紺野さんも驚きが隠せない。


「いいかぁ?試合はまだ始まったばっかだぁ。油断せずにいけぇ」


 玉置先生が俺たちに言う。

 タイムアウト終了のブザーがなり、俺たちはコートに戻る。


「絶対勝つぞ!!」


「「「「「おー!!」」」」」


 吉満は気合いを入れ直してコートに入った。

 県大会出場を賭けた死闘は続く。


 続く。

ついに吉満との試合が始まりました。果たしてどちらが勝つのか、もちろん私は結末を知っていますよ(ドヤっ)。

今も吉満戦を書いている真っ最中なのですが、試合展開が被らないようにするのってかなり難しいですね(大汗)

それでは今回も読んでいただきありがとうございました!次回をお楽しみに!!

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