第17Q District convention
スポーツものなので、大会というのはファンタジーもので言うところの魔王討伐に関わるポイントの一つ的なところがあります。そのため避けて通れない要素の一つなのですが、大会が進むに連れて、対戦校も多く登場するわけなので、その相手校の学校名や選手の名前を最低でも5人は考えるしかないというポイントにとても苦労しています(笑)
もし今作の人気が出たら主人公たちが最後に戦う相手校の選手の1人を募集してもいいかもしれませね(笑)
それでは楽しんでいってください!よろしくお願いします!!
地区大会当日―――今回の会場は電車で3駅という距離にある市営の体育館である。前日の話し合いで会場へは集合してではなく、各自で体育館に向かうことになったのだが、その日の夜に木山さんから連絡があり―――
「会場まで不安なんだけど、一緒に行かない?」
「うん、いいよ」
ものの数分の電話で一緒に会場へ向かうことが決定したのであった。そんなこんなで現在、木山さんと会場に向かう道中である。しかし、生まれてこの方、女子と2人で歩くなんてことはなかったため、ドキドキしている。このドキドキは公式戦だからドキドキしているのか、木山さんと2人きりだからドキドキしているのか、もう訳がわからない。なぜ俺は二つ返事で一緒に行くことを承諾してしまったのだろうか。それに心なしか木山さんはウキウキしている。そんなに今日の試合が楽しみなのだろうか。
「もっと楽しそうにしなさいよ」
木山さんが振り返って、少し後ろを歩く俺に言った。
「え、あ、ごめん?」
「なんでハテナなのよ」
「いや、逆によくそんな楽しそうだな」
「逆に楽しくない訳?」
「え、まぁドキドキするというか、なんというか……」
「変なの」
そんな会話をしながら、電車に乗り込み下車して15分程度歩いたところで体育館にたどり着いた。会場には既に相田、大滝が到着していた。
「玉置先生と築村は?」
「まだ来てないと思うっス」
「そうなのね。じゃあ、先に中に入ってましょう」
俺たちは玉置先生と築村の合流を待たずして会場入りした。体育館内は選手や観客たちで賑わいを見せていた。
「うお!すごいっスね!」
「地区大会でも観客って意外といるもんなのね」
体育館内を歩いていると、今日対戦する吉満高校の選手たちを見かけた。
「あの人たちが今日の相手か……」
「なにビビってんだよ」
声がする方を向くと、築村が立っていた。
「築村!」
「うるせぇな。そんな大声で名前呼ばなくて大丈夫だっての」
「お前今までどこで何やってたんだよ!」
「心配すんな。俺がちゃんとお前らを勝たしてやる」
築村が以前よりも頼もしく感じられた。
「築村………。カッコつけんなよ」
俺は築村にそう言った。
「はぁ!?今そんなこと言う流れじゃなかっただろ!」
「いや、あんまりカッコつけるもんだからつい……」
「ちっ、ふざけやがって」
俺たちがそんな話をしていると、玉置先生も合流した。
「揃ったみたいだなぁ!俺たちは今やってる試合の後だからなぁ。ハーフタイムに入ったらアップできるように準備しとけぇ」
「「「「はい」」」」
コートでは既に上仙高校と翔葉高校の試合が行われていた。今回の吉満に勝利するとこの試合で勝った方と対戦することになる。現在、上仙高校が優勢で試合が展開されていた。そしてハーフタイムに入り、俺たちはハーフコートを使って、シュート練習などのウォーミングアップを開始した。ハーフタイムも10分しかないため、その間に試合前の調子を整える必要があるので、これが結構慌しくなってしまう。俺たちと反対のハーフコートでは対戦相手の吉満が練習していた。
見たところ、部員数はそんなに多くない。しかし、高身長の選手が多く在籍していることだけはわかった。
「吉満の持ち味はインサイドプレーってことかぁ」
玉置先生は吉満の練習を見て呟いた。
「もうすぐハーフタイム終わるよー!」
ハーフタイムが終わるかという頃、吉満サイドから女子の声が聞こえてきた。
「「なんだと!?」」
俺と相田は声を揃えて吉満高校の方を見た。すると、吉満にはそれはそれは可愛らしい女子マネージャーが制服を着て立っていた。
「マネージャーなんて本当に実在するんスね!?なんで俺たちにはマネージャーがいないんスか!!?」
「泣くな相田!」
「くそぉ!許せん、許せんぞぉ!!」
玉置先生も乗っかってきた。俺たちが吉満のマネージャーの存在にヒートアップしている後ろで、木山さんは色気を放つが誰も見向きもしなかった。
「(こいつらぶっ殺してやる!私というものがありながら、何よ!)」
別の意味で燃えていた。
しかし、俺たちが吉満のマネージャーを見ていたように、吉満の選手たちもこちらを見ていた。
「おい!幸助!おいってば!」
アップ中に榎本さんがキャプテンである塩山幸助に声をかける。
「なんだよ?練習に集中しろよ」
「違うんだって!あれ見ろよ!賀晴の!」
「ん?賀晴がどうしたんだよ?」
「ほら!ちょうど今レイアップしたあの子!」
榎本さんは木山さんを指差した。
「まさか!?」
木山さんを見て塩山さんも驚く。
「そうだ!あの子は女だ!男の試合に女だぜ?やばくね?これってやばくね!?」
「賀晴高校……。無名のチームだから、情報がなかったがまさかこんなトリッキーなチームだったなんて……。許せん!お前ら!必ず勝つぞ!!」
「おー!!!」
吉満の部員たちが一致団結した瞬間であった。
そんなこんなでタイマーのブザーが鳴り、ハーフタイムが終了した。そして第3Qが始まった。試合は終始、上仙が翔葉を圧倒していた。
「田中」
上仙のキャプテンである伊沢さんが田中さんからパスをもらって、そのままシュート決めた。
「よし。後半も順調な立ち上がりだ。このまま油断せずにいくぞ」
インサイドプレーでは沼津さんがリバウンドなどを支配し、ゴール下の流れを完全に掌握していた。沼津さんは身長はそこまで高いというわけではないが、ガッチリとしたガタイを活かし、スクリーンアウトで相手をゴール下から追い出し、確実にリバウンドを取っていた。
「沼津!」
安藤さんがパスをもらい、速攻を仕掛ける。翔葉の選手を二枚抜きし、レイアップを決めた。
俺たちは試合の様子を真剣に見ていた。すると、玉置先生が口を開いた。
「昨年の地区大会ぃ、優勝して県大会に出場したのは吉満だがぁ、それまでこの辺の地区で県大会に出場していたのは上仙なんだよなぁ」
「そうなんですね」
大滝が相槌を打つ。
「全く乱れの出ない正確なフォーメーションでぇ、勝利を固いものにしているんだなぁ。吉満を突破したら次は上仙で間違いないだろうぅ。今のうちによく見とけぇ」
上仙は相手に流れを与えることなく、淡々と攻撃を仕掛けていく。その様はまるで精密機械のようであった。
試合に見惚れていると、あっという間に第4Qも終盤に差し掛かっていた。
「スクリーンだ!」
翔葉の選手に徳田さんがスクリーンをかける。そしてその隙に伊沢さんがドライブで切り込み、シュートを決めた。
そして試合終了のブザーが鳴り響いた。
「ふー!とりあえず勝ちましたな!」
徳田さんが伊沢さんに肩を組んだ。
「勝って当然の試合だ。問題は2回戦だ。今年も決勝戦で当たれると思っていたが、こんな早いタイミングで吉満とやることになるとは思っていなかったよ。昨年のリベンジを果たす。着替えて偵察するぞ」
伊沢さんはそう言って、ベンチを後にした。
次はいよいよ俺たちの試合が始まるので、ベンチに入る。今回のユニフォームは白ベースの方で試合に出る。ユニフォームの上から着ていたシャツを脱ぎ、ユニフォーム姿になった。そして右手にリストバンドをはめた。リストバンドをはめた時に、昨日リストバンドをもらった時のことを思い出した。
今回は私が好きなギャグ寄りの展開が多めの話だったような気がします。次回からは大真面目な展開が続きますので、ご期待ください!
それでは今回も読んでいただきありがとうございました!次回もお楽しみに!!




